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「へ…」

こんな偶然ってあるのだろうか。

学校からの帰り道、エレンと二人で帰っているときだった。相変わらずエレンは楽しそうに喋っていて、私は聞いていたり聞いていなかったりで歩いていた。正直全然聞いてなかった。が、しかし。突然エレンがぴたりと喋るのを止めたら流石に気づく訳で。どうかしたのかと後輩を見ると、ある一点に視線を向けていた。なんだなんだとその先を目で追ってみると、え。

「へいちょう?」

***

所変わってとあるファミレス。さっき街で見つけた兵長をエレンと一緒に引っ張っきて今に至る。ちなみにエレンと私が隣で、兵長が向かい側にいる席順だ。特に意味はない。はず。
バイトさんが水を運び去っていった。それと同時に、兵長が口を開く。

「てめぇら、一体何なんだよ。誰だ」

その台詞を聞いて、思わずエレンと顔を見合わせる。あれまあ。
確かに、強制連行中の兵長は呆気にとられてはいた。けど大人しく着いてきてくれたので覚えているのだとばかり思った。そんなことを考えていたら、ふとテーブルの上に置かれた兵長の手が目に入る。赤くなった手首。そっちはエレンが引っ張っていた側の手だ。つまり。
エレン、強く握りすぎだろ…。

「へい、リヴァイさんですよね…?」

エレンが恐る恐る尋ねる。これで人違いだったら笑えない。いや人違いだったら兵長じゃないわけで、兵長じゃないんだったら殺されることはない。と信じてる。じゃなくて、人違いじゃない方がいいのか。いいんだよね?ややこしい。

「…なんで俺の名前知ってるんだ」

はい、人違いじゃありませんでしたー。どうしようかと、目線で会話。

「(兵長、覚えてないみたいですよ。どうします?)」
「(どうしますって言われても。…どうしよう)」

「なにコソコソ話してやがる」

低い声を出されて、反射的にびくーんとなる私達。やばい。怒っていらっしゃる。もしかしてこれは死亡フラグ立ったんじゃないかと、今は平成なことも忘れて冷や汗をかいた。多分エレンも。

「うっ…」
「兵長!」

突然、兵長が呻き声を上げて机に突っ伏した。慌てて兵長の名前を呼ぶ私達。慌ててたのでついうっかり兵長と呼んでしまっていたことには後から気づいた。
こ、これはこれでどうしよう。おろおろと、なにも出来ずに狼狽える。確かに死亡フラグは立っていたけれど、兵長が死ぬくらいだったら私達が死ぬ。ちゃっかりエレンも道連れに。

「……う」

数秒後。私からしたら、体感時間では何時間みたいなことよく言うけどそれって本当にあることなのかと体験したくらいの時間で。兵長はあっさり起き上がった。じゃないリヴァイさん。リヴァイさんの身に一体何があったのだろうか。

「お前ら…」
「は、はい」

つい咄嗟に敬礼しそうになったがこらえる私(と多分エレン)。

「…チッ。奢ってやるから好きなもん頼め」

クエスチョンマークが頭に浮かぶ私(と多分エレン)。どういうこと?再びエレンと目を合わせた。これはもしかして、思い出したということでいいのだろうか。その割りにはリヴァイさんは何も言わないけど。まあ、思い出話に華が咲くような世界でもなかったが。
何はともあれ、スーツ姿で明らかに社会人でいらっしゃるだろう兵長に私は何の躊躇いもなく注文することに決めたのだった。




翠玉さまへ
これはホノボノなのだろうかと考えましたが、シリアスではないのでホノボノですよね?ホノボノということにしてくださいお願いします。
一万打企画でリクエスト貰えるとは思ってなかったので嬉しかったです。リクエストありがとうございました!


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