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二年目の花見は、少人数で行った。メンバーは俺と、せんせいと後二人。理由は覚えていない。別に大した理由もなかった気がする。

「よっしゃ!二枚目!」

後二人の内の一名である、高杉が歓声を上げた。
花見のスポットに着くと、ヅラが去年に引き続き花びらを捕まえ始めた。去年と違うのは、俺と高杉も参加していること。せんせいは、相変わらず敷物の上に座って笑っている。

予測不能な動きで上からはらりはらりと降ってくる、桜の花びら。

「よし!」

どうやらヅラも捕まえたようだ。そこそこ風があるので必然的に降ってくる花びらの量も多い。が、しかし。俺は、なんというか、ぜんぜん捕まえらんねえ。

別に競っているわけでもないのだが、高杉が二枚でヅラが一枚で俺が0枚というのはなんとなくむかつく。
むきになって追いかけても、指をすり抜けてこぼれ落ちる。あ、今の惜しかったのに。

「銀時、焦りは禁物だぞ」

うるせえよ。

「へたくそ!」

高杉が言った瞬間、ブチッと頭の中でなにかが切れる音がした。気がする。桜の花びらが溜まっているところまで歩いていくと、手でかき集めてたくさん抱え込んだ。そして、花びらを捕まえることに再び夢中になっている高杉の方へ近づき、頭のあたり目掛けてぶっかけた。

「花ふぶき」
「てめえ!」

花びらの中に微妙に土が混じってたりしたけど、大した問題じゃない。高杉が頭のてっぺんから爪先まで花びらだらけになっているのも、別に大した問題じゃない。じゃあなんでこいつ怒ってるんだ。最近の若者がキレやすいのがいけないのだ。

「銀時っ!」

高杉が追いかけてきたので逃げ出す。そういえば俺も、一応最近の若者か。覚えていないだけでもしかしたら百年くらい生きている可能性がないわけでもないのだけれど。髪も白髪だし。
走っていく進行方向にヅラが居たので、丁度いいと盾にして後ろに回り込む。

「おら!」

掛け声と共に飛び蹴りをかましてきた高杉をヅラで防ぐ。後ろから俺が押さえているのでヅラは逃げられず、もろに喰らっていた。肩辺りに。そのままたたらを踏んで、うわ、

「痛って」

倒れてきたヅラに巻き込まれて地面に激突した。土とはいえ、痛い。しかも、ヅラは俺を下敷きにして倒れたのでダメージはない。不本意ながらヅラを庇ったような図だ。不本意ながら。もともとは俺が悪いんだけど。
…ん?いや、悪いの俺じゃないだろ。元はと言えば高杉が悪い。

というか、ヅラ早くどけよ。重い。

「銀時、上を見てみろ。上」

上?

寝っ転がったまま見上げた頭上では、青く晴れ渡った空を背景に、これでもかとばかりに桜が咲き誇っていた。生命力みたいなのを、感じた。
ふと、目の前に降ってきたものに反射的に手を出す。手を開くと、ひらりと舞い落ちたもの。

…どんな願い事をしようか。





アンバーさま
リクエストありがとうございました!
書き終えてみると、先生がほとんど出てきてませんでした。申し訳ないです。あと、一応ほのぼのつもりで書いたのですが、ちゃんとほのぼのしてますでしょうか。気に入っていただけたら幸いです。

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