白と黒なら多分、白



※性的表現有・女体化


「あれ?クロウってこのハード持ってたんだ?」

「んーまあな。つか知ってんのか?結構マイナーなんだけど」

俺がそう言うと、鬼柳は「うんほしかったんだ」なんて目を輝かしてハードをいじる。

鬼柳と俺は所謂、友人、ゲーム友達。
ゲームが主流なこの社会、ゲーム好きなんて少なくない。だがそれを校内で公にする女子は珍しく、同級生の鬼柳がそれだった。
昔からの友人である遊星と同じクラスの鬼柳は、遊星に会いに行くとよく出くわす。遊星と仲が良かったらしい。

ある日新作のゲームについて遊星と話していたら、ちんぷんかんぷんな遊星の横で鬼柳が目を輝かしていた。それが鬼柳とより仲良しになった大きい理由。
鬼柳とはゲームの話がよく合った。鬼柳は男友達となんら変わらないような性格で、その為よく家に遊びに行ったり、遊びに来て貰ったりしていた。

周りから「恋人」だとか「熱々」だとか囃し立てられた時期もあったが、今では周りも公認の男女越えたゲーム友達。
そういった関係が鬼柳と俺の関係だった。

「てか前から思ってたんだけど、クロウの家ってさー……」

「ん?」

コントローラーや身近にあったくだらない雑誌をいじりながら、鬼柳は呟く。俺のベッドの上は鬼柳の定位置だ。当たり前な顔でベッドの上に寝る鬼柳が、俺も当たり前。

「……もしかして、両親居ない?あれ?つか聞いちゃダメか?」

「あー。別に?海外出張っての?2、3年は会ってねェな」

そういえば今朝、調子はどうだとかの両親から手紙が来ていた気がする。両親は高校の事を考慮して、海外出張は二人で向かった。俺自身、まだ親がいないと淋しいなんて事もない訳だし、この生活には納得している。

「……兄弟は?」

「いねェけど」

「じゃあほぼ一人暮らしじゃん」

「そうだな」

土曜日には毎週両親の知人が様子見に尋ねてくるけれど、確かに、この小さめの一戸建てに一人暮らししているようなものだ。
喉が渇いて、床に置いたままだった炭酸飲料のペットボトルを引き寄せる。キャップを開けて、それから意味もなく沢山喋るのが特徴の鬼柳が静かなのに気付き、そちらに目を遣った。
鬼柳と目が合って、二人してしばらく黙って見合い、それから鬼柳が笑った。

「はは……あ、のさ、クロウ」

「…なんだ?」

ベッドからずるりと身を乗り出し、鬼柳は俺の近くにある紅茶のペットボトルをたぐり寄せる。ひょいと手に取って再びベッド上に戻り、鬼柳はベッド上に胡座で座った。

「俺らって友達だよな」

「……ああ、そうだけど。どうした?」

「…親友?」

「そうだな、親友だな」

「そっかー…」

嬉しそうに笑い。とは言いにくい笑顔で、鬼柳はペットボトルの蓋を開けた。意味がわからなくて、少しだけ首を傾げる。それから気にせず、ペットボトルに口付けて炭酸飲料を飲んだ。
時計を見ると、まだ4時とか5時とか。俺の家と鬼柳の家は比較的近いから、普段7時頃に帰る。
物騒だから毎回送って行くのだが、その度に妹さんのあの好奇心に満ちた目で見られるのが、かなり辛い。そう、さっきも言ったがただの友達だ。それ以上ではない。


「んー…ちょっとトイレ行ってくるわ」

「わかったー」

俺がゲームして、それをベッドの上から鬼柳が眺める、というふうにしていた。鬼柳は俺がそう言うとごろんとベッドの上に寝そべり、俺に手を振る。
まるで自宅だな、と茶化して言うと、鬼柳はただ楽しそうに笑った。

飲みきったペットボトルを置きにリビングに入る。リビングの時計を見ると、もう6時30分だった。じゃあそろそろゲームも止めないとな、と一人頷いてトイレに向かう。



トイレから帰って来て、扉を開く。ゲームのアイテム画面で停止しているテレビを見てから、扉を閉めた。

「おい鬼柳、そろそろ帰った方が……」

「…クロウ」

ばたん、扉をきちんと閉めてから部屋を見る。ベッド上に変わらず居る鬼柳に目を移し、血の気が引いた。

「……鬼柳、おい、それ…」

「…クロウも読むのな、こういうの」

所謂エロ本。数冊のそれをパラパラと読み、鬼柳は顔を赤くしている。
血の気が引いて引いて、それから恥ずかしさやら気まずさやらが酷くなった。更に勝手に出すなよ、とか怒りまで込み上がる。
やはり隠し場所の定番、ベッドの下はダメだったのか。初めて鬼柳がベッドに寝た時、心底焦った事を思い出す。慣れとは怖い。

「鬼柳、とりあえず…何も見なかった事にして、元に戻してくれ……じゃねェと俺…恥ずかしくて死にそうだ」

「そっか。ごめん」

やたら素直な返事を返される。男友達なら色々と察してくれるか、または読ませたりだとか出来るのに。なるほど、女友達だとこういう時に困るのか。なに冷静に考えてんだろ。

「……なあクロウ」

「…なんだよ」

元あった位置。ベッド下に大雑把に戻して、鬼柳はまたベッドに寝た。俺はと言うと目茶苦茶気まずくて、まだ扉前で立っている。

「やっぱりクロウも、ああいう事したくなるのか?」

「…ああいう?」

「……せっ…くす、とか…そういうの」

顔を赤くしながら聞かれ、言葉の意味を理解するまで数秒使う。理解した途端、俺まで顔が赤くなった。

「ななな、何…聞いてんだよ!!」

「…クロウって、やっぱり誰かとセックスしたいの?」

「おい、鬼柳止めろってマジそういう話は…」

「俺は、クロウとしたい」

「は?」

クロウと。とまた呟き、鬼柳はベッドから起き上がる。泣きそうな目でこちらを見られ、困惑して目も反らせずに息をするのも忘れて黙った。
鬼柳が俺と、したい?聞き間違いな訳がない。なにをいってるんだ、こいつ。

「俺クロウが好きなんだ。ずっと好きだった…友達じゃヤなんだ」

「…鬼、柳」

「俺、クロウになら何されてもいい。なんでもいい。性処理でもいい」

ぎしとベッドが軋む音がする。鬼柳はベッドから下りて、俺に抱き着いた。困惑して成されるままにして鬼柳を見遣る。
屈んで抱き着かれた為、珍しく鬼柳は俺の目線より下に居た。

俺を見上げる鬼柳の目は異様に潤んで居て、無意識か意識下か、小さくも大きくもない胸が俺の下腹部に当たっている。
目が反らせなくて、暫く互いに無言で見つめ合った。普段なら絶対にしない。
鬼柳は今もそうだが、私服がジーパンにシャツだけだったりとか制服以外のスカートを穿いている所を見た事がなかった。つまりこう、異性として見れない、というのか。
だが眺めて見ると、睫毛は長いし目は大きい。口紅もしてないだろう唇は可愛いらしく赤いし、見下す形でシャツの隙間から胸の谷間が見えたりだとか。
紛れも無い女だ。女にしか見えない。しかも世間一般可愛い方の。

「…クロウは、俺の事嫌い?」

「……鬼柳」

「一人称が俺な女は嫌か?」

「…いや、別に」

必死にそう聞く鬼柳が、普段じゃ有り得ないくらいに可愛く見えて、思わず目線を反らす。
正直、友達の関係から一線越えるのが怖かった。どんなに可愛くて、日常で気付かない間に実は少しずつ惹かれていたのだとしても、良い友達であったから。

「嫌いじゃ…ない?」

「……嫌いではねェよ」

鬼柳の腕が俺の肩に伸びる。きちんと立って抱き着く形になり、鬼柳の顔が今度は俺より高い位置に来た。赤い顔で、躊躇うようにソワソワと視線を彷わせている。

「…キス、してくれない?」

「……は?」

「……一回でいいから…そしたら明日から普通に友達としてクロウと話すから、だから…一回だけ」

クロウが困ってるのわかる。ごめん。小さく小さく続けて呟き、鬼柳は目線をがくりと床に落として俯いた。
キス、とか、自慢じゃねェけどした事ないわ。するとして、するのならやはり…唇にするんだろうか。
正直、絶対にしたくない訳でもない。寧ろ鬼柳に退いて貰う為に、という都合の良い口実が出来ている状態だ。

「…い、一回だけな」

「……いいの?」

「…一回だけだから、な」

「…うん、ありがとう」

鬼柳は嬉しそうに笑って、それから俺を見た。確実に身長差を気にする様子で屈んだりして、それから困ったように眉を潜める。なんだか失礼だな、いや仕方ないけれど。キスするとなるとやはり俺が屈むくらいが調度いいんだろう。そうだなと辺りを見回し、ああ、と鬼柳の肩を叩く。

「鬼柳、ベッド座れよ、身長差埋まんだろ」

「……ベッ…ド?」

「…………あのな、深い意味はないからな、俺の部屋にはイスが無いんだ」

顔を赤くしてあからさまに何やら想像していた鬼柳。の背中を押して、座るよう促す。そう、椅子ならなんでもいい。椅子がないから仕方なくベッドなだけで。
聞くと、鬼柳は更に顔を赤くして、けれどそそくさとベッドに座った。いつもの定位置なのに恥ずかしそうに隅に座る様子が、不思議と酷く可愛く見える。
………さっさと済まそう。

「…目は瞑ってろよ」

「…うん」

言われてすぐ瞼を閉ざす鬼柳。
可愛いななんて思えて、必死に顔を横に振る。馬鹿か俺は。

ベッドに座る鬼柳の前に立ち、肩に手を添える。ひく、と鬼柳の肩が揺れた。気にせずそのまま身を乗り出し、自分より低い位置にいる鬼柳の唇にキスする。唇が合わさると同時に、鬼柳が「ん」と声を上げた。肩を撫でて遣り、そのまま少し角度を変えて続ける。
すると無気力に下がっていた鬼柳の腕が俺の首に回され、抱きしめられた。ぐいと引き寄せられ、それから遠慮がちに鬼柳の唇が開く。ちろ、と唇を舌に小さくなぞられ、何も考えずに俺も唇を開いた。同様に舌で鬼柳の唇に触れ、無抵抗に開かれた口内へ差し込む。

ただのキスはドラマとかで見た事あるけど、深いキスはAVとかエロ本でしか見た事がない。つまりはそう言う事だ。今かなりヤバい方向に向かっている自覚はある。

口内をひとしきり荒らし、唇を離した。互いに鼻先すれすれくらいの位置で荒い息を整える。

「はっ…クロ、ウ…っ」

「……」

息荒くしながら名前呼ぶなよ。キスだけで熱持った自分自身が情けなくて、意味なく天井を見上げたりする。この時期の男だから仕方ない。だけど情けない。

悶々としていると、まだ抱きしめられたままだった腕に強く引き寄せられた。そのままボスンとベッドに体を倒して、一瞬の事に吃驚して思考が追い付かずに困惑する。

「あ、あの…ク…ロウ…ごめ、ん」

モジモジと顔を赤くして身じろぐ鬼柳。俺の今の体制は鬼柳の顔の両横に手を着いて、なんだか鬼柳を押し倒したような体制。
状態を認識して、そしてなんだろう…何かしらがプツンと切れた気がした。
そう、俺はそういう時期の男の子で、鬼柳は俺が大好きらしい。俺も鬼柳は可愛いと思う。
ただ友達という関係が崩れてしまうのが怖いだけで。そうそれだけだ。

「…ひっ…あ…ク、ロウ…?」

首筋に添って舌を這わす。びくりと肩を跳ねさせて、鬼柳は反射で俺の頭を押した。鬼柳を見て、それから再び続ける。

「鬼柳、俺も好きだ」

「…へ、本…当?」

「…まあ」

「……うそ、…うれし…」

泣きそうな声色で言い、鬼柳は笑った。その動作が可愛くて、頭を撫でて遣る。再びぎゅうと抱きしめられて、俺からも抱きしめ返した。

 





いつもの鬼柳の定位置であるベッドの上に寝かせ、俺も同様に乗る。あからさまに緊張している様子の鬼柳を見下ろし、笑い掛けて遣った。
鬼柳の普段とは違う元気のない笑顔に苦笑して、上の服を脱ぐ。俺も緊張はしてる。知識とかってAVとかエロ本とかしか無いし。

「…結構…筋肉、付いてるのな」

「ん、まあな」

帰宅部だけど。言われて自分の腹筋を見た。まあ付いるっちゃあ付いてるか。
次に、鬼柳に座るよう言う。素直に座ったのを見て、少し躊躇ってからシャツを脱がした。
始終顔の赤い鬼柳が可愛くて、理性が持つか不安になる。俺の服と鬼柳の服を一まとめにして、床に落とした。

普段見れる訳のない上が下着だけの姿に、直視出来ずに静かに視線を反らす。シャツ着てると、あるかなしかの胸のような気もしていたが、実際あるとデカく見えるのだから不思議だ。
そのまま向き合って触れるだけのキスをして、ブラを外す。
勝手が良くわからず少し時間が掛かった。情けない。

下着もない女子の体を見るのは初めてで、目線が合わせ辛い。互いに妙に緊張して静かな空間が恥ずかしくて、そのまま何も考えずに鬼柳をゆっくりと押し倒す。鬼柳はただ何もいわずに俺を見上げた。

「…その、平気か?」

「…平気って?」

「怖かったり…しないか?」

俺何聞いてんだろ。鬼柳は聞いて、キョトンとした表情を見せる。
実際怖いのは俺だ。友人という境界線を越える事、初めてという事、痛い思いをさせるかもしれないという事、嫌な気分にさせるかもしれないという事。
怖いに決まっていた。

「…クロウの手、暖かい」

「……鬼柳?」

「俺、ずっと前からずっとずっとクロウが好きなんだ、本当に好き……だから別に怖く、ない。嬉しくてどうにかなりそうだけど…」

言って、鬼柳は俺の片手を取る。握り込まれ、それからその手を片方の胸に添えられた。
動かす訳にもいかない掌の所在に困惑して、無意味に唇の開閉を繰り返す。

「だから…その、クロウの好きにしていいよ」

「…」

「痛くても俺大丈夫だから…その、クロウが気持ち良ければ、俺は別に…」

苦笑しながら言い、鬼柳は俺を見上げる。嘘つけその顔は怖いって顔だろが。言うなれば健気、そう健気なその姿勢が可愛いし愛おしい。うん、俺はやっぱり鬼柳が好きだと思う。身近に居すぎただけで。
鬼柳の唇に触れるだけキスをして、さらさらと音の鳴る髪を撫でた。




二人共殆どもう何も着てない。俺がまだ足辺りにズボン引きずっているだけ。
は、と息の荒い鬼柳の頬を撫でる。涙目で見上げて、鬼柳は小さく開いた唇で俺の名前を呼んだ。

「んっ……痛ッ…」

「…痛い、か?」

「……ちょっと、…だけ」

続けていいから、と鬼柳は笑う。予想していた訳でもないが、鬼柳はその…処女だった。童貞な俺なんかが頂いていいのか。とか考えるのは後にしよう。
下準備は浅い知識ながら完璧に熟したつもりだが、俺自身を鬼柳の中に挿れる工程で鬼柳が痛みを訴えた。だから先端だけ挿れた状態。正直これは生殺しだ。

「でも…大丈夫だから、も…挿れて…いいから」

「…でも、痛いだろ?」

「大丈夫だって…ば、クロウ…」

息を必死に整えながら鬼柳は言う。汗で張り付いた鬼柳の前髪を払って、それから肩を撫でる。鬼柳は擽ったそうに笑った。

「…じゃ、痛いだろうけど…我慢してくれよ…?」

「…う、ん」

「…ごめんな」

身構えて固くなってしまった鬼柳の体を撫でて、抱きしめる。
鬼柳の手を俺の背中に回すよう言って、息を整えたのを見てから腰を進めた。ぐちゅと卑猥な音がして、同時に頭上から鬼柳の押し殺した悲鳴が聞こえる。
でも途中で止めたって仕方ないのだろうし、それに正直中が酷く熱く圧迫され、今までにない気持ちの良さに止められる自信もなかった。がたがたと震える鬼柳の体を強く抱きしめて、奥まで挿れる。

「ッ…ひ、……痛ッ」

「…ごめんな、ごめん」

始終痛みを訴える鬼柳の頬を撫でて、奥まで挿れきった。止まった事に安堵したのか、痛みが和らいできたのか、鬼柳は肩で息をしながらボロボロと涙を流す。
痛みをやり過ごす鬼柳の肩を撫で、抱きしめていた体を離した。鬼柳が不安そうに見上げるので、笑い掛ける。正直今から勢い良く揺さ振りたいのだが、流石にそれは酷すぎだ。だが挿れたままというのも中々残酷に思える。

「…クロウ、も、いいよ…動いて」

「…あ、え?でも…痛いだろ?」

「…クロウだって、辛いでしょ…?その、入ったままって…」

よくわかんないけど、と語尾に付けて、鬼柳はきつく瞼を閉じた。やばい俺顔に出てたかな。情けない。ベッドに着いた腕を撫でて、鬼柳はもう一度「動いていいよ」と笑う。

「…じゃ、その…本当ごめんな」

「謝ってばっか…じゃんか、クロウ」

は、と息を整えて鬼柳は笑う。愛しい。と思う。頭を撫でてから、片手を腰に添えた。
そのまま入りきった俺自身を引き抜く。ずるりと引くそれは、中の熱い肉壁に刺激される。自慰なんかじゃ有り得ない快感に、ぞわりと鳥肌が立った。止められずにそのまま中に挿れる。なけなしの理性が音もなく崩れた気がした。

「なっ、…ちょ……クロ……やだ早っ……痛ッ…!!」

「…ごめ、ん…な」

ダメだ俺、予想以上に本能に弱いらしい。痛いと言う鬼柳を気遣うのも忘れて、律動を早める。鬼柳はボロボロと涙を流した。頬に流れるそれを、腕を伸ばして律動しながら頬を拭う。

「っ…は、…ぁっ…ク、ロウっ………ぅ、あああ…!!」

「…っ、鬼柳?」

「…あっ…れ…?…変ッ…やだ…んぁ、っ…!」

びくびくと体を跳ねさせる鬼柳。怖いくらいに顔が赤く、肌も上気している。思わず律動を止めると、切なげに声を上げて腰を揺らした。

「……あ、気持ち良くなってきた…のか?」

「…えっ、わかんないッ…でも…クロ、……変、止めないでッ…やだ」

「…鬼柳、可愛い」

必死に両腕を伸ばされ、その両腕を掴んで抱きしめる。片足の膝裏を掴んで腰を進めるとより深く中に入った。ぞわりとした快感に、思わず眉根が寄る。
がくがく震える鬼柳の体を撫でて動きを再開した。びくんと鬼柳の体が揺れる。

「ッ…ふ、…ぁ…あ…クロ…!ぁあ…!…っん」

「…っ、鬼柳」

涙が流れっぱなしの目で、鬼柳は必死に俺を見上げる。どこ見てんのかわかんないくらい虚ろな目をしてるけど、必死なそれが酷く可愛い。甘い嬌声も、気持ち良いと伝える表情も跳ねる体も全部愛しい。

「ああっ…クロ、…イく…!!ひ、ぁあぁ…!!」

「……ん、わかった…鬼柳」

「ぁっ……ふ、…は…ぁあああっ…――――っ!!」

声に成らない高い声を上げて、鬼柳は俺の背中に強く爪を立てた。びくびくと小刻みに何度も震える体を撫でながら、その体を揺さ振る。
俺もイきそうになり、中から俺自身を抜き去った。鬼柳の下腹部にどくりと白濁を吐き出して、肩で息をする。

「……クロ、ウ…ありがと」

「…ん?」

「……大好き。ありがとう」

達した余韻でまだ肩で息をする鬼柳を見下ろす。幸せそうに笑っていて、俺もつられて笑った。頭を撫でて、力のないその体を抱きしめた。








「お帰り京介遅かったのな、バイト?あれ?」

「…こ、こんばんは」

鬼柳の家のインターホンを押したのは9時過ぎ。一応鬼柳が「帰りが遅くなる」とメールはしておいたが、やはり鬼柳の家の扉から出て来た妹さんはまず俺を訝しんで見遣った。それはそうか、9時過ぎに鬼柳を送ったのなんかは初めてだからな。

しかも鬼柳も鬼柳で家に送るまで始終べたべたくっついて、今もくっついている訳だ。離れてくれないかという願いは却下だった。

「…京介、早く入れよ」

「ん。そうだな狂介。……じゃあクロウ、また明日…!」

「ああ、またな」

可愛いらしい笑顔で手を振り、鬼柳は家の中に入って行った。乱雑に靴を脱ぐ様を見て苦笑する。すると妹さんがまだ扉を開けながらそこに居て、思わず首を傾げた。妹さんは鬼柳そっくりだけど、どこか鬼柳より目付きが悪い気がする。あ、睨まれてるのか?

「今、馨介姉さん居ないからいいけどよ…あんまり…」

「…あんまり?」

「……なんでもねェよさっさと帰れ、変態」

「変態…?…はァ!?」

なんで変態呼ばわりされんだよ。言う前にバタンと扉を閉められ、行き場のない苛立ちに意味なく拳を握る。変態?んな事言われる筋合いないっつの。
無音になった周囲を見回し、帰るかと溜息を吐いた。

……一応、遊星とジャックには恋人になったってメールした方がいいのかね。携帯を開いて、でもな、と閉じる。とりあえず明日、直接鬼柳と話して決めるか。うんと一人頷く。


翌日クラスの中心で嬉しそうに惜し気なく付き合う事になったと暴露した鬼柳に頭が痛くなった。
なんでこんな奴と恋人になってしまったんだろうか。まあ可愛いけど。



***



鬼柳三姉妹でクロ京、裏との事でこんな感じです!

なんだか異様に長くなりました…楽しかったです(^p^)

鬼柳三姉妹、なのに馨介さん出ませんでしたね…すいません、下手したら文字数オーバーで3ページ行きそうだったので…orz

では、リクエストありがとうございました!








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