楽しみ
雪が降る。とテレビ画面の中の女子アナが告げた。
寒そうに着込んで東京都心を見下ろす位置からの中継。
そのアナウンサーが何気に京介や俺が気に入っているアナウンサーだから、朝のニュースはこのチャンネルで決まっている。狂介がしゃあしゃあとチャンネルを変えようとするのを京介が阻止するのも日常の光景だ。
「雪だぜ?何ミニスカはいてんだよこの女」
「サービスだろ。コート着ておいてミニスカ、イイじゃんか」
うえー、と狂介は肩を竦める。なんだろうか、狂介はこの女子アナ…というか女性が苦手なんだろうか。年頃の男だから素直になれない、とかだろうな。キチンとミニスカに目が行っているのだから、そういう事だろう。なんだか微笑ましい。
素直にミニスカにテンションを上げる京介も、とても微笑ましいく思える。
「雪か」
ぽつり、トーストをかじりながら呟くと、京介と狂介が俺の方を見た。
「初雪だな」
もう少しバターを付けるか、と箸立て近くにあるバターを引き寄せる。京介と狂介は、初雪、と俺の言葉を復唱した。
「大雪になって学校休みになりゃあいいのにな」
「…おいおい」
外寒いもん。狂介が笑いながら言い、呆れたように咎める。
確かに外は寒い。窓を見ると、結露が出来ていた。
「雪遊びしたいな」
「ガキか」
「うるせぇーよー」
京介は寒いのが得意なのか、違うのか。よく分からないが、ただ言い合っている二人を見るのが大変微笑ましかった。
***
弟が大好きな馨介兄やん。
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