愛敬セグメント




冬休みになった。職場から家帰って来ると、リビングで何気なく過ごす二人が「おかえり」と言う。

「今朝言って置いたが」

見せろよ、と言うや否や、二人は手元にあった紙を俺に見せた。それは数ヶ月に渡る所業がいかなる物だったかを示す紙で、そう、俗に通知表なんて呼ばれる物。
通信簿を渡す京介と狂介。自慢気に差し出す京介と、渋々差し出す狂介。正反対なその様が異様に愛らしくて、微笑みながら受け取る。コートを脱いで鞄をテーブルに置き、まず京介の通信簿を見た。

暫く3が並んで、後半は4が目立つ。一つ5があって、その科目が主要科目であったから、思わず目の前にあった頭を撫でて遣った。中の上に分類される成績だったが、だが頑張りは褒めてやりたい。

「いい成績じゃないか」

えへへと京介は笑う。
自分は当時4と5だけで、4より5が多かった成績だったが、だが褒めてくれるような保護者はいなかった。だからわかるが、褒めてもらう事が重要だと思っている。

さて、と片手に持っていたもう一枚の通知表と持ち手を入れ替える。不服そうにしている狂介に苦笑して、頭を撫でて遣ってから通知表を見た。

2が数個、3が幾つかあった。中の下…くらいの成績に、正直京介と比べてしまう。いやだが比べるだなんて絶対にいけない、と考える。欠席数も少々気になるなと頷き、それから少しだけ違和感を感じて再び数字の羅列を見た。

よく見ると5が一つある。見間違いか、とよく見るがどう見ても5だ。しかも主要科目。
吃驚して、もう一度よく見てから狂介を見る。狂介はやはり不服そうにしながら「なんだよ」と聞いた。

「……いや、狂介もいい成績だな。5がある」

「え?5?」

「おお、すごいじゃねェか狂介!」

吃驚する狂介、はしゃぐ京介。
狂介は首を傾げて俺の手から通知表を取った。

「なんで吃驚してんだ?」

京介はそんな狂介の様子を見て苦笑。俺は京介の通知表を京介に渡して、それから京介と一緒に狂介の通知表を覗き込んだ。

狂介はわからない、とばかりにただ首を傾げる。身に覚えが無いのか。いやだが5なんて頑張らなくては取れない成績だ。プリント提出、欠席不可、テストで良い点数。狂介には正直それが出来るようには思えない。

「あー…ルドガー先生の科目か。まあルドガー先生、優しいからな」

京介は言って近くの椅子に座った。狂介はやはりまだ不思議そうに通知表を見ている。
あ、と京介は声を上げて再び立ち上がった。忙しい奴だなと苦笑すると、京介は「約束!」と笑う。

「クリスマスプレゼント、お願いな!」

京介は嬉しそうに言う。そう、約束では良い成績ならリクエストのあったクリスマスプレゼントを買ってやる約束をしていた。なかなか高価な物だったが、まあ仕方ないだろう。
どうせ年末も仕事するので給料の心配は要らないし、年末も仕事するという事はこいつらの側にいれないという事だ。高価なクリスマスプレゼントなんて安い。



***



鬼柳三兄弟で馨介というリクエストでした!こんな感じで大丈夫でしょうか?文句は受け付けますのでorz

そして密かにルド←狂でサーセン…!

馨介兄やんは弟達が大好きです!もういっそ愛してます(^ω^)

では、リクエストありがとうございました!







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