※性的描写有
血液表現注意
鬼柳先生病弱設定です


錠剤を5種類。投与しないといけない。だから今日も部屋で飲む。味気無い瓶に入った水は綺麗で冷たい。水をコップに入れて、その横に5種類の錠剤を合計10個置く。

俺の体は頗る酷い状態なのだと医者は言っていた。それはそうだ、今の俺はダークシグナーであった時より前の、セキュリティで暴力を受けていた時の体になっているのだから。あの生活を耐えた体が健康体である訳がない。しかもセキュリティは囚人達への衛生管理等せず、環境も放置し通しの悪い環境であったから、だから俺は気付かぬ内に慢性の病気とやらに襲われたらしい。病名は妙に長かったから覚えていないが、ただよく聞く名前だった。誰々が死んだ、という話の時に。
ダークシグナーから復活した俺に、シティの医者は通院しろと言ったのだが、翌日俺はシティを飛び出した。そして今はこのクラッシュタウンに居る。

最近はダークシグナーであった時の俺の事をよく思い出す。きっかけもなく、ふと記憶が甦るのだ。同時に激しい罪悪感に襲われる。
遊星は俺にシティで暮らそうと優しく言ってくれたが、だが俺は傷付けてしまった遊星や、遊星の新しい仲間達と笑顔で過ごせる気がしなかった。というより、ダークシグナーとして何年と空白を過ごした俺に、居場所なんてなかった。

死にたい。だがどうせ死ぬのならこんなちんけな病気ではなく、デュエルで死にたい。室内で血を吐いて哀れに泣いて死にたくはないから、だから俺は今日もデュエルをした。

今この部屋で夜の服用をしようとしているのだから、勝敗は勿論俺の勝ち、という事。いつ負けるだろうか、ぼんやりと考えて錠剤を握るように取った。

病気を治すつもりはない。だから俺が服用しているのはほんの一時凌ぎの物。発作を抑えて痛みを無くす。その分死期は確実に大きい尺で縮まっているのだと、薬をくれた奴は言っていた。



朝のクラッシュタウンは恐ろしい程に静かである。この町は昼から夕方が人々の活気ある活動時刻であり、夕方から夜では弔いや勝鬨の宴が始まるのだ。
夜も大分遅い時間まで活動するのだから、明朝は本当に閑散としている。毎朝食事も取らずにこうして外を歩いていた。町並は人がおらず綺麗に見える。
ああそろそろ薬を服用する時間だろうか。ふらりと日陰になっている建物の近くへ歩き、左手に持った小瓶を持ち上げてポケットに入っている薬を探す。
胃に何も入ってないのに飲むのはよくないのだろうけれど、サテライトに居た時はそんなの常で、寧ろ安全性のある薬を飲めるだけ良い方だと俺を思う。一瞬浮かんだ思考を気にせずに、指先で見付けた薄い紙に包まれた薬を取り出す。掌に乗せ、小瓶のコルクを抜いた。

と、同時か。がこんと大きな音と、後頭部に激痛。いきなりの事に唖然として感覚を捉えられずに俺の体は地面へと無抵抗に落ちた。遅れて引く血の気と下卑た笑い声。状況が読み取れずに前方の地面に落ちた数個の錠剤を眺め、それから痛む頭に眉根を寄せて笑い声の方を見遣る。

褐色の肌に革製の服。黄色のマーカーが幾つか刻まれており、赤いバンダナを首に巻いている。その風貌の男は長身でとても高い位置から俺を見下ろしていた。その後ろにも数人、同じような格好の男が居る。
マルコムグループの、と理解した瞬間、手前の男がしゃがみ込んで目線を俺と近い高さにした。

「なんだ30連勝の死神でも、血は赤いんだな?」

「……ぁ…」

引いていた血の気は次第に感覚を取り戻す。血流が今度は逆に焼けるような熱さに捕われ、急に頭からの出血を理解した。首筋まで伝うそれに何も言えずにいれば、男は下卑た声色で下卑た笑みを浮かべる。
そうして俺に掌を向け、足からするりと触れた。先程の激痛とは対照的に、あまりに優しい触り方はしかし慈しみからは掛け離れている。性的なそれを思わせる仕種に全身が総毛立った。





連れ込まれたのは近場の倉庫。埃の臭いがして、木の板で出来た壁は隙間から少しばかり日の光を取り入れている。入口は一つ、一人の男が誰も来ないようにと見張りをしていた。木箱は幾つもあり、どれも煤けた茶色をしている。全員が土足で踏み込む床は綺麗ではなく、汚ない、基準はよく知らないが、まあ病人に害を為す程度には汚いだろう。中は大分暖かいが、だが裸では些か寒さを感じた。

「っ…はっ…ぁ…」

「おい、顔を下げるな」

ごり。床と床に堕ちている砂と小石に額の皮膚が擦れる。眩暈がする。気持ちが悪い。気色が悪い。体に力が入らない。落ちた肩と力の入らない腕。こひゅ、と情けない呼吸が喉から漏れ、目尻に涙が浮かぶ。

俺の後孔に精器を突っ込む一番格のあるらしい男は、文句を言いながら弱った俺の体が存外気に入ったようだ。労るような仕種で、力の入らない腕から肩甲骨までを撫でる。前方に居る男は俺の咥内で精器を奉仕するように言っていたのだが、この男の命令で今は俺の眼前で自ら精器を扱いていた。俺の顔を見て興奮する意味がわからないが、だが俺の髪や顔に出したいのなら好きにすればいい。

「ひっ……ぁ、あ…痛…っ」

労るように触れた後、遠慮もなくがくがくと体を揺さ振られる。ごりと床に落ちた額は擦れ、まだ慣れてもいない後孔はぎちりと切れる感覚がした。男がロクに慣らさずに俺の中へ精器を捩込んだ為、後孔から太股へ血が垂れている。しかしどうやらこの男は相当な気違いらしく、その血に興奮するような特殊な性癖を持っているようだ。後頭部から首筋、鎖骨へと流れた血液も指先でなぞられる。

「…流石は、死神だっ……血が…似合う、なぁ?」

周りの男に聞いたのだろうか、男はそう言い指先に付いていた血液を俺の頬に塗り付けた。そのまま頬を上げられ、無理に上がった喉が圧迫され眉根が寄る。するりと解放され、咄嗟に床に両手を着いた。解放された喉の圧迫とつんとする血の臭いにけふ、と控え目に咳が出る。その間も激しい律動は続き、涙をぼろりと流しながら断続的に咳が出た。床に着いている手の片方を引き寄せ、意味もなく口元で拳にして咳を抑える。拳の隙間から漏れる咳は妙に間抜けで、ぐるぐるとよくわからない感覚に気持ち悪くなってきた。

「ぁ、…ふっ…ぁ…ぐ、…」

止まらない律動にぞわりと気持ち悪い感覚を纏いながら、次第に大きくなる咳に困惑する。けふ、と抜けるような音がしていただけの咳は次第に何かしらを吐き出す為の濁音混じりの咳に変わっていた。回数を重ねる毎に涙が溢れ、喉が痛む程大きな音のそれに男も異変を感じたのだろう、律動が急に止まる。

それを境に、俺は醜い程に濁った音で咳をし、怖いくらいに勢い良く床へ顔を落とした。力が入らない。そのまま、げほげほと不規則な間隔で何度も何度も痛む喉から何かを引きずり出すように咳を繰り返す。喉が破けてしまいそうだと錯覚した時に、俺は吐き気にすら襲われながら唾液混じりの血液を勢いよく床へ吐き出した。血液は勢い良くびしゃりと床を赤く染め、俺の口元と落ちた髪を濡らす。まるで他人事のように、俺はそれをぼんやりと眺めた。

咳はこの血液を吐き出す為に起きた生理現象だったらしく、もう咳は出ずにただぜえぜえと辛い息継ぎが続く。周囲で怯えや躊躇いの声が聞こえる。やめましょうよ、とか、死ぬんじゃないか、とか。
ああそういえば朝の分の薬を飲んでなかったな。だからか。こんなにも酷い発作は久しぶりだ。

「もう大丈夫だろ」

「……っぁ…ッ…!」

血まみれて放置されて終わりか、と思っていた。が違うらしい。そういえば男は妙な性癖を持っていたのだったか。
体を引かれ、精器を挿れままの状態で男の膝の上へ乗せられる。深くなる挿入にぞわりと悪寒がし、同時に前立腺を掠められたのか甘い痺れが背筋に走った。口元から垂れて顎からぼたりと落ちる血液を拭い、男は血液の付いた指で俺の胸から腹部にまで線を書く様に押す。

「死んだらそれでいいだろ?惜しむ奴はいるが、死神が死んだって誰も悲しみやしねェよ」

嫌なら出てけ、と男は笑った。その言葉を聞き、先程から顔を青ざめていた男二人が逃げるように出て行く。あとの三人は男の言葉に、それもそうだと納得したように俺へ歩み寄った。
じい、とズボンのファスナーを下ろす音を聞きながら、前方の男を力の入らない首に力を入れながら見上げる。ぐしゃぐしゃと乱暴に頭を撫でられ、手で精器を奉仕するよう言われた。逆らったって仕方ないので、少しだけ血の付いた手を伸ばして触れる。男はまた頭を撫でた。
そしてすぐに律動が始まる。両手で握った男の精器を拙く扱き、その律動に体を任せた。耳元で男の荒い息遣いが聞こえる。

「ぅあっ、あ…っ…あ…」

涙で滲む視界。後の二人は俺をにやけた表情で見下ろしながら自ら精器を扱いている。もう感覚が狂い、よく分からない。がくんと強い律動の中、太い精器で前立腺を押され、俺は必死に喘ぐ。

「ッ…あ、んっ…ぁ…はっ…、うぁ…っ」

次第に快楽ばかりが体に渦巻くようになり、それに比例して大きく喘ぐ俺は、不穏に痛む喉に寒気がした。まさか、と涙をぼろぼろ流しながら困惑する。いや逆に、もう起きないと思う方が不自然である。

俺は再び、げほ、と濁った音の咳をした。そして先程より急に咳は酷い様子になる。しかし男は律動を止めようとはしなかった。更に困惑して、俺に精器扱かせている男を見上げる。しかしその男も、横にいる男も下卑な表情を見せるが俺への心配等かけらもなかった。

そして俺はまた、嘔吐に近い感覚の中、俯いて涙を流しながらびしゃりと勢い良く床に血を吐き出す。先程より量は少ないが、出し切ろうとしているのか咳は小さく続いた。こひゅ、と痙攣する喉で必死に呼吸をしながらも、俺は与えられる快楽に全身を悸かす。もう訳がわからない。今自分が死んでしまっていると言われても、納得出来る気がした。



***



字チャ中に病弱先生の話題になって、「吐血しながらモブに強姦されればいい」と言う話になりまして、「書きたーい」とY子が涎を垂らしたら皆様応援して下さったので書きました!

文字制限的にも色々な意味でもぎりぎりで、最後尻切れです……いやでも書いてて楽しかったですぜ…!!(^ω^)







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