ルド京♀
※女体化注意


*


鬼柳というダークシグナーがいる。巨人の痣を左腕に宿しており、つまり巨人の地縛神に見初められた女だという事だ。
仲間との決別の先にあった絶望により命を落とし、臓に身篭った憎しみを地縛神に毎日献上している。それは無意識のようだが。

今、旧モーメントに集まっているダークシグナーは四人。ディマク、ミスティ、鬼柳、そして私だ。
男二人に女二人。バランスは良いが戦地に相応しいかは別である。五千年前の戦いの男女比はどうであったのかを地縛神に尋ねたいとも思わず、結局はバランスは良いと納得している。

ミスティも鬼柳もそれなりの容姿をしていた。しかしまあミスティ・ローラは外界でトップモデルという役職に付いているのだから当然である。
どちらも尖ったイメージのある女性だが、互いに互いを嫌い合っているようだ。顔を合わせれば一瞬怪訝な顔をしあい、必要最低限の会話すらなくなってしまうので、どちらかと言えば嫌いなどでなく嫌悪しあっているのかもしれなかった。

だが当然だろう。かたやサテライトで不良じみた生活をしていた未成年、かたやトップス生まれのトップス育ちなモデル様だ。
互いに理解出来ない世界に生きている。

そうした事からミスティは旧モーメントに訪れる事が少ない。

「るどがぁ、聞いてんの?」

猫なで声につい目を遣ってしまい、私は思いきり眉をしかめた。先程から暗闇の中で静寂を無遠慮に破ってやりたい放題の女が腕に纏わり付いて来ている。
見遣る鬼柳は上半身は上着を脱いでインナー姿だ。BかAか、貧相な胸を押し付けてくるやり方はサテライト流なのか。だからミスティに嫌われるのだと叱咤する義理もなく、細い腰をわし掴みにして床へほうり投げた。

非難の声を無視して考える。地縛神はこの女のどこに目を付けたのか。不動遊星との因縁は好ましいが神々の戦いにはどうだろうか。

「ルドガー、俺、お前の子供産みたい!」

「一度死した貴様の子宮は機能していない。神の戦いに身を捧げろ」

「……じゃあ、いい、子供は。でもルドガーと色々したい」

私の意志は無いものとしているのか。それとも拒まれる理由が思い付かないのか。
まあ白い肌に華奢な体、整った顔立ち。これだけのステータスがあれば大体の男は思い通りだろう。

わかってはいたろうに、まざまざと突き付けられたのが効いたのか鬼柳は子宮を腹の上から撫でていた。そこには不動遊星への憎しみしか宿らない。一度説明してやったのだが、この女はどうにも頭が弱い。

「ルドガー、好きだ」

「そうか」

「俺に何してもいい、から、酷くしたっていい、だから、触ってくれよ…」

切なそうに乞う声に私の機嫌は悪くなるばかりだというのに、わからないのだろうか。

結局この女は自身より勝る異性に愛されたいだけだ。愛に枯渇して愛を乞う。そうでないと満たされないし生きている心地がしないのだろう。
だがそれでいい、ダークシグナーは生きていないのだから。








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