※性的描写有


慈しまれる事が好きだった。愛される事が好きだった。構って貰う事が好きだった。誰かの体温を感じるのが大好きだった。誰かに側にいて欲しかった。
幼い頃から、いつも自分の周りには誰もいなくて、気付けば一人で生きていた。人に枯渇する俺は人の心地好さを知りたがって困惑する。想像だけで思う人の暖かさは想像する度に大きくなって行って、実際に仲間や友人、恋人(何も異性だけを指さない)を何人作っても想像には及ばずに終わった。もっと一緒に居て暖かくなるものの筈だと、そうとだけ考えて意味もなく沸き上がる焦燥に混乱する。

そうして俺の側に居てくれたあの三人は、想像よりずっとずっと最高だった。性格は合うし、何より俺を必要としてくれる。

俺の居て良い場所。

それは本当に素晴らしくて、最高だった。その筈が、今はどうだろうか。

ダークシグナーになった俺。あんなにも好きだった仲間が憎くて仕方ない。違う、そうじゃない、あれは俺が悪かった。そう考えるも自分の中に渦巻く得体の知れない感情が憎しみを増幅させる。感情に伴わない感情。不可思議なそれに吐き気すらした。

「地縛神を受け入れろ。そうすれば楽になる」

苦しむ俺を見て、ルドガーはいつもそう言う。畜生冷たい奴だ。俺は涙をぼろりと流す。別に悲しい訳ではない、ただ吐きそうで生理的に出てしまっただけだ。

うだうだと旧モーメント内を歩き回る。こういう時は何も考えたくない。例えば寝てしまうだとか、そういう事をすれば楽になる。だがこの吐き気の中寝れる気もしない。

ああじゃあまたアレするしかないか、と俺は一人頷いて、荒れた廊下に散らばる硝子を一破片拾った。
痛みは思考を奪い尽くすから。剥き出しになっている左腕目掛けて硝子を振り下ろした。すると腕から赤い液体を滴り出す前に、右腕が止まる。それから腕の付け根が異様に痛んだ。
ぐるりと振り返ると、すぐ後ろにはディマクが居る。腕を抑えられて上手い事腕は動かない。見上げる高さにあるディマクの表情は特に色もなかった。

「なんだよ」

「腕を傷付けるな。それは貴様の神への冒涜だ」

出たよ神好きが。はあ、とうんざりとして硝子を手中から落とす。この気持ち悪さはそのカミサマのせいだっての。ああ腹が立つ。いやまあ確かに俺を蘇生してくれたのは嬉しいぜ?だが俺の感情を揺さ振るなんて契約違反だ、そうだろ。感情操作をされるだなんて聞いてはいない。

「……部屋に帰る」

「ああ、待て。ルドガー様からの命令だ」

「あ?」

喧しいからもう部屋で腕かっさばくなりするか、と考えた矢先。再び肩を掴まれる。
俺は一般青年としては背が高い方の筈だが、ディマクやルドガーは俺よりずっと高い。まるで俺がチビみたいだ。
……クロウもこんな気持ちだったのか、とまで考えてまた気持ち悪くなってきた。あいつらはもう関係ない。忘れろ。忘れなきゃならない。

がし、とディマクに両肩を掴まれ、壁に押し付けられる。突然の行動に吃驚して体を強張らせると、ディマクは心底面倒臭そうに溜息を吐いた。

「殴られる事と犯される事、どちらがいいか選べ」

「……は?」

「ルドガー様からの命令だ。貴様は放って置けば自傷するか、見境なくサカるからな」

また面倒臭そうに溜息を吐かれる。
確かに俺は、自傷以外にもセックスでこの気持ち悪さをどうにかする。大体の場合は、旧モーメントを出てダークシグナーという事を隠しつつセックスする相手を探す、という事が面倒なのでルドガーとセックスしていた。ルドガーがセックスするのを渋る場合は、仕方ないので地縛神の生贄として連れて来ていた奴とセックスしている。その後に情を持たれるのが面倒なので殺してるのだが、どうやら最近それがルドガーにバレているらしい。それは自負していたが、まさかディマク伝いに説教されるとは。

「自分で自分痛めるのはいいけど、テメーに殴られるいわれがねー。ルドガーならともかく」

「しかしそのルドガー様からの言い付けだ」

「セックスのがいい。気持ち良いし、後始末が暴力沙汰より楽」

大分高い位置にあるディマクの目を見て言うと、ディマクは楽しそうに口角を上げて笑んだ。ああなんだコイツも溜まってんのか、なんて俺もへらりと笑って返す。

どうせヤる事は一緒だ。俺が突っ込まれんのも決まりきった事。だったら楽しんだ方が良いに決まってる。

ディマクが何か行動を起こすより先に、するりと高い位置にあるディマクの肩に腕を回して胸元に頬を擦り寄せた。
な、と吃驚したように声を上げているのを聞きながら、そのまま引き寄せて顔を上げる。
背伸びして耳元辺りに唇が届くようにし、それから囁いた。

「俺、実はアンタの事好きなんだ」

つ、とディマクの首筋を指先でなぞり、性的な好意を意識して様子を伺う。
その辺の奴らはこうすれば大体俺に夢中になってくれる。まあ以前ルドガーにした時には容赦なく殴られて、その生意気な口をどうたらと散々虐められたっけか。あのオッサンは少しくらい他人を信用すればいいと思う。

「……ディマク?」

なんか反応がないな、と少し戸惑ってディマクを見上げる。随分と長時間黙っていたが、大丈夫だろうか。
見上げたディマクは真っ直ぐに俺を見ている。驚いたような表情なので、異様にウブなその反応に俺も吃驚した。
それからすぐに状況を読み取って、内心笑いながら嘘を並べる。ぎゅうと再び抱き着いた。

「……普段あんな生意気な態度とってっけど…本当はもっとアンタに甘えたいし、セックスもしたい」

「…な、…」

ああもうお前は思春期の女子かよ。ウブ過ぎる反応に内心大爆笑。でも次第にエロい雰囲気になってくのが楽しくて、俺は調子に乗る。

「ディマク、シよ?俺…ディマクの部屋でシたい」

「……あ、のな」

「本当はルドガーでも地縛神の生贄の奴らでもなくて、ディマクとしたかったんだ、俺」

ああもう嘘つき過ぎだな俺。いい加減笑えねー、と下げて見えないだろう表情を笑顔に変えつつディマクに擦り付く。

そうすると、頭を撫でられた。優しい動作のそれは予想外で少しだけ吃驚する。
頭からじんわりと暖かくなるようで、呆然としたままディマクを見上げるとディマクは俺のつむじにキスを落とした。

「後悔はするなよ」

とだけ言い、俺の体はひょいとディマクに担がれる。
え、なにこれ。状況を把握出来ずに体を揺らすと怒られた。体が浮いてるんですけど。えなにこれ俺どうなんの?あ、そっかディマクの部屋行くのか。
理解して、いきなりなんか怖くなる。この高い位置のせいもあるだろう。
先程のディマクの台詞も思い出して、いきなり恐怖が煽られる。思えばダークシグナーになってから、長い付き合いだが感情的なディマクなんて見た事がない。ぞわりと怖くなった。




予感は的中と言うべきか、俺はきつくシーツを握り締めながら、震える足を攣らないよう気をつけつつ快楽に喘ぐ。はあはあと息は荒く、開きっぱなしの唇からは涎が垂れていた。
後ろ手に両手をベッドに付き、両足はディマクに抱え上げられている。中にはディマクのデカいそれが入っていて、どくんどくんと脈打っている。激しい律動に合わせてがくがくと体が震えるが、ディマクの律動は容赦なく続いた。

「あん、ああぁあっ!やっ、だ…め、ディ、マクッ…ぁあ!!」

唇からは狂ったようにディマクの名前と喘ぎだけが零れる。ディマクは俺の中で一度達しているが、俺はまだ一度も達していない。理由は簡単。

「あっ、イく…!イく、イきたっ…!ディマ、ぁク…ぁあああっ……なっ、またぁ…やだぁっ…!!」

「……ああ、良い表情だ」

ディマクはなんだか鬼畜だった。俺が達しそうになると、俺自身の根元を強く握り締めて律動を緩める。達したいのに達する事の出来ないもどかしさと、激しかった律動が緩い律動に変わる事。それらがとても残酷で、その度に俺はボロボロと涙を流して腰を揺らす。

「…も、っ…やら、でぃ…まくと一緒に……イきたっ…いッ…」

「…可愛い事を言う。……だが、まだだ」

耳元で囁くように言われ、低くて落ち着いた声色のそれに俺はびくんと体を震わせた。
はあはあと息が荒くなる。疲れて来たけど、快楽を追う思考は圧倒的に強い。

「ふ、っ…ぁああっ…!でぃまく、でぃ…まくッ…んっああ…!!」

「……イきたいか?」

「うんっ、イきた…ぃ…!!ディ…マクッ…ぁあっ…!」

がくがくと頷くと、頭を撫でられた。やはり優しいそれは、現状では違和感しかないが不思議と胸が暖まる。
荒い息の中ディマクを見上げると、ディマクは汗で髪の張り付いた俺の額にキスをした。

「…では、一緒にイこう」

「ぁあぁ、…うんっイく…ディマクと、イくっ…!」

涙でぼやける視界で、無我夢中に眼前にいるディマクを見詰める。慈しむように頬を撫でられ、それから自身を抑える事なく律動が始まった。いきなりのそれに強く瞼を閉じる。

「ひっ、ああぁあっ…ディマクっ……きもち、いっ…ぁあ…!!」

「……っ」

「イ、くっ…ぁっ…でぃ、まく…すきッ…だい、すき…んっ…ぁああっ――――…!!」

頭が真っ白になるくらいに激しい快楽に達してしまった。強く瞼を閉じて、背筋を弓なりに反らす。すぐに中で熱い白濁を出され、体はばたりとベッドに落ちた。
荒い息の中ディマクを見上げると、優しく頬を撫でられる。その動作に瞼を開くと、真剣に慈しむ表情のディマクと目が合った。

ああまるで恋人同士みたいだ、と思うと自然とにこりと笑ってしまう。ディマクも少しだけ笑って見せて、そこでこのやり取りも恋人同士そのものだと気付く。

それから最中や誘う際に散々告白紛いな事をしたのも思い出した。俺ってその時がよけりゃなんでもするから、ダメなんだよなぁ…。
地縛神の生贄の奴らなら、こういう風になって面倒臭いから殺すんだけど、ディマクは地縛神に認められてるしそうはいかないよな。ああどうしよう、と思案しているとディマクはまた頭を撫でてくれた。

優しいそれに瞼を閉じて任せる。暫く撫でられて、気付く。ああ俺これ好きだって。あ、だったらいいじゃんそれで。これからディマクにたまに頭撫でてもらって、そうしてディマクを好きになればいいじゃん。よし解決。俺はそうして思案もそこそこに、眠いからそのまま寝た。



***



マイナー書こうと思いたったら夜中のテンションで無駄に長い駄文にorz

ディマ狂が好きです(^p^)







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