※性的表現有


俺の体に跨がる鬼柳。この体制で鬼柳を見上げるのは何度目だろう。鬼柳は笑う。可愛いらしい笑みだ。しかし身に何も纏っていない事から、それは酷く妖艶にも見える。上気した肌を撫でると、鬼柳は艶やかな声を上げて俺に微笑んだ。
なあ遊星。懲りずに何度も何度も掛けられた言葉。俺は何度も何度も繰り返すそれに、その都度、丁寧に真新しい反応を返す。どうした、鬼柳。聞くと鬼柳は笑う。

「遊星は優しい」

「そうか…?」

「すごい優しい。だって俺の事愛してくれる」

それは心の中の事を指すのか、それとも、体を重ねる行為を比喩しているのか。鬼柳の綺麗な髪に指先を伸ばして撫でる。首筋に触れるそれに、鬼柳は擽ったそうに身を攀った。

「俺、遊星の事好き」

「俺も、鬼柳の事が好きだ」

「本当?」

「ああ」

鬼柳は、ありがとう、と嬉しそうに笑った。酷く愛らしい。とても可愛い。体を起こして抱きしめる。鬼柳は俺の名前を小さく呼び、それから俺のズボンに手を掛けた。好きなようにさせるとベルトを抜かれ、そのまま性急にズボンを脱がされる。

「なあ、遊星、もう欲しい」

「…今日はどうがいいんだ?」

鬼柳は毎日要求を変える。
吐き気がするくらいに優しくして、と要求する日があれば、目隠しして散々焦らして、と要求する日もある。また、遊星のを挿れないで指だけでシて、とか、逆に俺はいいから遊星だけを気持ち良くする、だとか言われた日もあった。

「遊星のやりたいように、でいい」

「……やりたいよう?」

「遊星には迷惑掛けてるから、好きにしていい。殴ってもいいし、放置してもいい。フェラさせたかったらするし…」

鬼柳は笑う。鬼柳の笑顔は可愛い。だが総じて元気がない。言うなればそれが可愛いのだが。
最後に鬼柳の元気な笑顔を見たのは、まだジャックとクロウが居た時だ。二人はもう居ない。鬼柳に愛想を尽かしたのだと言う。二人が居なくなってから、鬼柳は俺に体を重ねる事を求めるようになった。最初は泣いていた。ずっと泣いていた。もしかしたら、俺だけは繋ぎ止めたいから日々俺に体を提供しているのかもしれない。鬼柳の思考は以前から読めないが、現在は更に読めない。
以前から鬼柳に好意を抱いていた俺は、鬼柳が最後の手段として取っているのだろうこの手段に甘んじていた。鬼柳が好きだ。夜になると鬼柳は俺に体を寄越す。俺は仕方ないという顔で鬼柳を抱く。鬼柳は可愛い。
俺に嘘ともわからぬ愛を囁いて、愛らしい嬌声で俺の一挙一動に反応した。
俺への献呈なのだとしても、俺はそれが嬉しかった。だから拒まない。


結局おかしな要求はせずに、正常位を取った。鬼柳の細くて白い両足を肩に担ぎ、両手を鬼柳の顔の横に付く。
鬼柳は俺の背中に手を回し、俺の顔を見上げて喘いだ。嬌声混じりに俺を呼ぶ鬼柳。愛しくて動きを早めると、余裕ない声で制止を促す。それがまた酷く愛しい。

「っあ…ぁっ…遊星、ゆっ…せぇ…だめっ……むり、こ、れぇ…っ!!」

「鬼、柳…」

「イ…くっ……イっちゃ…!遊、星ッ…ん、ひ、ぁああ…ッふ…ぁあああっ…っ!!」

大きい嬌声を上げた後、鬼柳はがくんと体を震わせた。勢い良く吐き出された白濁は鬼柳の胸元に飛び散る。俺も続けて鬼柳の中に出した。中でどくりどくりと小さい間隔を開けながら吐精すると、鬼柳はその度に少しだけ体を震わせる。恍惚の表情で小さく喘ぎを漏らすそれは酷く妖艶で、俺のそれは鬼柳の中でまた熱を持った。
それに気付いたらしい鬼柳は嬉しそうに笑って、それから肩に担いでいた足を外して俺を押し倒す。中に挿れたまま、鬼柳は俺に跨がった。所謂騎乗位をされ、鬼柳を見上げる形になる。

「遊星…もっかいしよ?」

「……ああ」

「…遊星の大きいから好き。ああ勿論、遊星も好き。大好き。…なあ遊星、俺だけで動くから見てて?」

鬼柳は楽しそうに言う。汗がほんのり浮かんだ鬼柳の肢体はなまめかしく、言動すべてが性的だった。頷くと鬼柳は笑んで、俺の腹部に手を付く。ぐちゅりと卑猥な音を立てて、鬼柳の中から俺のそれが抜けた。ぞわりとする快楽に、眉根を寄せる。
抜けていく度、鬼柳は小さく抑えた嬌声を漏らした。そうしてそれから再び腰を下ろす。ぐぷりと中の空気の潰れる音がして、鬼柳はそれに比例して抑えられないとばかりに大きく嬌声を上げた。
そのままがくがくと揺れる足で鬼柳は動きを早める。ぐちゅりと音を立てながら、鬼柳は綺麗な髪を振り乱して体を揺らした。鬼柳の動きに奉仕される自身は確実に快楽を拾っており、視界に入る妖艶な鬼柳とも合間って酷く絶頂が近い。

「ぁっ、ふ、…ぁッ…ゆう、せ…ッ気持ち…いっ?…んぁっ…んっ!」

「…ああ、っ…」

「…よかっ、…た…ん…っ!ひ、あ…?え?…ゆっせ、なに…して…う、ぁぁあ…んっ!」

鬼柳の腰を掴んで動きに合わせて強く突き上げる。すると鬼柳は面白いくらいに体を跳ねさせた。そのままがくがくと腰を引き、動きを激しくする。鬼柳は俺の腹部に手を付き、背中を反らせて天井を仰いだ。だらし無く開いた口からは引っ切り無しに声が漏れ、閉じられた瞼からは涙が伝っている。

「やっ、だ…ゆう、せ…ゆっ、せ…!イく……変…っ…気持ちいいっ…!!っあぁあ…ゆ、せぇ…!!」

「……っ」

がくがくと体を震わせ、鬼柳は上げていた顔を下げる。俺を真っ直ぐに見詰め、腹部に付いていた手は爪を立てた。強く掴んだ鬼柳の腰に、最後、強く打ち付けると中に吐精する。鬼柳の自身は一度達したからか、大した量でない白濁をどろりと俺の腹に出した。
はあはあと息を整え、鬼柳はそのまま俺の上に寝る。そうは重くないその体を抱きしめた。鬼柳は擽ったそうに笑って身を攀る。

「……な、あ遊星、好き…大好き」

「ああ」

「……だから何処にも行かないで……お願いだから」

「…ああ」

笑って返すと、鬼柳も笑う。
元気のないそれは、酷く可哀相なのと同時に、俺に依存しているからこそ見れるものだと悦に浸れた。鬼柳は俺に依存している。俺の存在を欲していた。だから俺に抱かれる。俺も鬼柳が好きだから抱く。実にわかりやすいと思った。



***



ジャックとクロウのいなくなった後の鬼柳は、自暴自棄で遊星に依存してて遊星だけは離したくなくて遊星大好きでジャックとクロウの事を一秒でも考えたくなければいい。そんな駄目駄目な鬼柳は叱咤しないととことん酷い事になるのに、遊星は甘やかす一方だから泥沼。とかそういう救いのない話です。

やはり遊星×鬼柳は書きやすいですね。







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