リビドー




※師匠に無理言えなかったんで7〜8歳くらい若い師匠です
※あと師匠とナンの過去捏造あります




ナンと言う子供を先日、ギルドに加えた。小さな子供だ。まだ7つで、俺の腰の高さにも満たない体を小さくして泣いていた。女の子だ。魔物の襲撃に遭った場所、母親の腕をきつく抱きしめて荷馬車の下で泣いていた。魔物に食い荒らされた為、少女の母親は少女の抱く腕しか残っていなかった。
その姿を見て、絶望に声を失って、しかし無言で泣き叫ぶ少女の姿を見て、俺は抱きしめてやる事を何も考えずにしていた。母親の腕を強く抱きしめる少女の姿を自分の過去と照らし合わせて、慰めていたのではないかと聞かれれば首を横には振れない。だが、魔狩りの剣とはそういう人間の集まりだ、だから、その少女をギルドに入れたのも自然な話だった。少女が笑える日がいつ来るか、来るかすらわからなかったが、だがそういう人間が何人もいるギルドにいるのが他所よりずっと心の支えになるのでは、と、思った。

結論から言うと俺はナンという少女をいたく気に入ってしまった。最初は母親の腕を抱きしめたまま頭をずっと振っていたが、少しずつ涙を流すのを止めて落ち着いてくると俺を見上げ、言ったのだ小さな唇で「強くなりたいです」と。赤く腫らした目元をそのままに、ナンはもう一度同じく事を言い、強い口ぶりとは裏腹に俺の服の袖をきゅっと不安そうに掴んだ。それを見届けて、首領であるクリントに簡単に断りを入れて、俺はナンを自身の弟子に迎え入れた。頭をくしゃりと撫でると、ナンは再びどわっと泣き出したのだった。


さて話は本題に入る。ナンを弟子にしてから一年が経った。とっても筋が良い奴で、最近は訓練をする反面で書物を読みあさっては新しい事を沢山覚えている。師匠馬鹿というか親馬鹿と言っていいのか、とにかく覚えが良い。8歳にしてあの筋の良さは将来が恐ろしいなと先日クリントに言ったら骨抜きにされ過ぎだと言われた。確かにナンの前では目茶苦茶厳しくしてるが、裏でこれじゃあいつナンの耳に知れるかはわかったものではないなとは思う。だが娘を持ったようでただひたすら嬉しいのだ。もし娘…だとしたら、18の時の子だと計算しても少し大きいが。

まあとにかく、俺はナンをいたく気に入っていた。弟子であり娘のような存在である少女を、厳しくしながらも可愛がってきている。その為、例えばだがナンが魔物に襲われていたら自らの命を省みず助けにいく(まあ俺が負ける事なんてそうないが)し、ナンが病気に倒れたら全力で看病して薬を買いに行くだろう(まあナンの体調管理は完璧だが)。それくらいナンを気に入っていた。

「ふっ…ぅ」

まあこれは例えではないが、ナンを人質に取られたらそのクソ野郎の言う事を聞いてしまうくらいには、余裕でナンを気に入っている。笑えない話だが。
押し込まれた荷馬車の荷台の中で、声を押し殺す。荷台に張られた布の隙間から、反対側にある荷馬車の荷台が伺えた。力なくくったりと寝ているナンが目隠しをされている状態で倒れている。その光景を見れば見る程、腹が立ってきた。俺はともかくあんな小さな少女に何をしやがったんだ。殺してやろうか。とは、流石に言えなかった。相手は数人いるし、下手な事をするとナンに危害が及ぶ。

よくわからないが、本当によくわからないのだが、憶測で言うと多分こいつら(ギルド崩れの放浪人共だろう)山奥で随分と難儀していたようだ。据え置きタイプの小さな弱い結界魔導器を持っていたところを見るに、調子に乗って山奥まで来たはいいがこの付近の魔物に敵わず、結界魔導器から外に出るに出られなくなり、何日も此処に滞在しているのだろう。そしてそこに偶然居合わせた修行中の俺達を不意打ちで襲った…考えれば考える程ゲスである。

食料や武器を奪われたのはともかく、ナンに触れようとしたのには頭に血が上った。全力で、ナンだけは止めろと暴れたところ流石にそれは止めたが、だが代わりには俺だった。笑える話である。
この腐りきった世界の中で男の汚いモノをぶち込まれたのは何も初めてではないが、だがそれにしたって随分と昔の話だ。まだ魔狩りの剣に属さず、両親を魔物に殺されて一人で生きていた頃の…9歳頃の話だ。

相手は3人である。俺が全力で暴れたって3人には流石に負ける、だが、相手としては下手に暴れられて怪我するよりはナンを人質にして男だが無抵抗の俺で我慢する方が良いと判断したらしい。魔狩りの剣の一員なら全員が所持している気付けと手当用の酒を奪って飲んだ男は、久しぶりの飯と酒に大層上機嫌だ。胸糞が悪い。

「あー結構あれだな、好みだコイツの顔」

「んだよお前そっちのケがあんのかよ、初耳だわ」

先程からひたすらに布の隙間から隣の馬車を見ていた顔が、ぐいと引かれて無理矢理に真上へ向かされる。俺の上へ覆いかぶさる男は無意味に巨体だ。俺の知っている巨躯な男ってのは、皆一様に強いのだが例外もいるようで何か残念な気持ちが否めない。
正直激痛しか走らない下肢を機嫌が良さそうに割り開かれ、眉根が寄った。ひ、と漏れた悲鳴を更に機嫌が良さそうに聞いた男はぐちぐちと音を立てて腰を進めて来る。頭ががんがんしてきた。死ねと呟いてもなかなか音にならない。

「名前なんて言うんだ?」

「っ……ぅ…」

「おい聞いてんのかよ」

聞こえてるが声が出ねぇんだよ察しろクソ野郎共が死ね。ぱくぱくと唇は動くが出るのは絞り出した悲鳴だけで、口惜しい。今一度確認した隣の馬車で、ナンは身じろぎせずに横たわっている。呼吸で静かに揺れる体に安心した。気絶させられただけだろうが、それだけにしたってどこかしらにショックを与えられたのだ。武器魔導器さえあればこいつらを一人残らず殺しているのに。

「う、ぁ……ぁっ」

どくん、と嫌な感触がして酷く腰をよじらせてしまった。いきなり過ぎて正直頭が着いて行けていない。冷や汗をかきながら男を見上げると眉根を寄せて満足そうに俺の頭を撫でて来やがった。
血まみれの排泄器官にどろりとした熱い粘着質な液体がへばり付き、不快感と屈辱につい涙が零れる。と、それを見逃さなかったクソ野郎が上機嫌に俺の顔を覗き込んで来た。死にやがれ、なんとか声になったそれを聞くと男は更に口元を弧にする。クソ野郎共が。何度目かわからないそれを頭の中で叫びながら、瞼を閉じた。


*



モブ×ティソンの裏、という事で微妙な裏になりましたが以上です!モブティソって初めて書きましたが興奮が半端ねぇ!ふひひ!
本当は師匠をあんあん言わせたかったですが、気位の高い師匠はモブ相手じゃあ舌噛み切るレベルで声上げないかなぁと私は妄想……想定してしまい、微妙な裏になってしまいましたぁぁあ…!すいません!orz

ではではリクエスト及びお祝いの言葉、ありがとうございました!これからも頑張って行きます!



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