※ラモンと鬼柳の出会いを捏造


雨が降っていた。この辺りには珍しく、大雨だった。

最近は、自分のグループに負けが続いていて気分が悪い。その上この雨だ。腹が立つ。
昼間だというのに外は暗く、酒を飲みながら外を眺めていた。楽しくはないがする事なんてデッキを組み直すくらいだから、必然的にこうなる。晴れなら、Dホイでその辺りを走って来るのだが。

ふと楽しくもないざあざあと雨の降り続ける外を見ていると、一つ人影が見えた。
厚手の薄青のコートを着ていて、この辺りでは見ない奴である。雨でやんわりとした輪郭しか見えないが、だが近付いて来るので少しずつ姿が見えて来た。

薄白銀の髪は肩より上辺りまで伸びており、肌は白い。顔には黄色マーカーが入っていた。ふらふらと衰弱しきった様子で歩いており、自分後ろから「行き倒れか?」とか「物乞いじゃねーのか?」だとか野次馬らしい声が聞こえる。

ばたり。ふらふらと歩いていたその人物が、雨で泥水の溢れ返る地面に倒れた。見ていたらしい数人が「あーあ」なんて声を上げる。

俺は何も言わずに、酒をテーブルに置いてその人物に駆け寄った。雨で髪が濡れるのも気にせず、泥水が自慢の靴に掛かるのも気にせずに。

俺は親切な人間ではない。ただこの人物が大雨の中歩いて来るのを見たら、駆け寄らなくてはいけない気になったのだ。それだけだ。

逸る気持ちや、煩い心音を無視して倒れた人物を抱き起こす。
ざあざあと煩い雨で髪が濡れる。泥水に塗れながらも綺麗だと分かる、しかし汚れてしまった顔を拭って、うっすら開いた目に視線を合わせた。男は不思議そうに俺を見上げ、それから唇を開く。

「…、……、…」

音がない。しかし唇の開閉は繰り返される。大雨で音が聞こえないのと、衰弱しきって声が出にくいのか。抱き上げて軒下まで連れていく。その体は想像以上に軽かった。

何故ここまで親切にしてしまうのかと自分を嘲笑いたかったが、だが理由は一つしかなく、しかもその理由は笑えないものである。一目惚れなんてしたのは何年ぶりだろうか。しかも相手は紛れも無い男だった。



***



出会い捏造してみた。

鬼柳はラモンに拾われたんだっていうのが私の中で当たり前になってます。怖い怖い。







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