〜2011.08.05.までの詰め込み
現パロ限定

京介総受け

**

「体育、二人ペア組むんだってよー」

鬼柳は次の授業である体育の楽しみさを振り撒きながら着替えをしていた。鬼柳は体育が大好きだ。俺は普通。ジャックは運動神経はいいけどやっぱり普通。遊星も運動神経はいいけどインドア派。

「二人ペアって?何すんだ?」

俺は純粋に疑問を返す。
バスケではないだろうし、サッカーでもないだろう。キャッチボールだろうか、と思いつつも、なら俺鬼柳と組みてぇなあ、なんてぼんやりと考えた。
鬼柳は運動神経良くはないけど、一緒にやると楽しい。し、何より鬼柳は可愛い。認める。男だけど鬼柳は可愛い。

「んーとな、確か…柔軟だったかな?」

「鬼柳、ペアを組もう」

「ちょっと待て遊星。鬼柳、俺と組もう」

内容を聞いた途端に、鬼柳の着替えをガン見してた遊星とジャックが鬼柳にずいと寄った。俺はというと、柔軟、という授業内容を考えて気付くまでに時間を要して少しばかり行動に出るのが遅くなってしまった。が、急いで声を上げた。

「俺も鬼柳と組みてぇ!」

「え?なに、俺モテモテ?なんでなんで?」

鬼柳は意味がわからないというようにキョトンとしながら、俺達をぐるりと見回す。体育着を着替え終え、ジャージのファスナーを上げて、鬼柳はああ、と納得したように声を上げた。

「確かに俺、超体柔らけーけど、だからってペア組んだら特に得する訳じゃないぜ?」

「か、体柔らかいのか鬼柳」

おい何食いついてんだよ遊星。俺は思わず苦笑した。
しかし鬼柳は「おう!」と笑って腰を数回捻った後にすとんと床に座る。そうして足を大きく横に開き、そのまま前のめりに。そして最終的にはべたりと床に上半身をくっつけてしまった。そうして余裕な顔で「な?」と笑って見せる。
確かに体は相当柔らかいようだ。

しかしこれは…


(……エロいな)
(ああエロい)
(こんなに体柔らかいのか…)

「ん?お前らなんか言ったか?」

「いや、何も」

「ああ」

「その通りだ」

「そっか。よいしょっと…」

鬼柳は前屈の体制を止め、ぴょんと立ち上がった。なんともまあ残念だ、と埃を掃う鬼柳を眺める。
体超柔らかいとか反則だろう。どうもこうお年頃としては色々と想像してしまう。
にしてもペアを組めば、本当に美味しい事だらけだし、それに何より後の二人と組むのもなんだか嫌だ。ちらと伺った二人は俺同様に考えていたのだろう、睨み合っていてそれから睨まれた。

「あ、でもさあれだよな」

「あれ?」

「うん、あのさ、柔軟って背近い方がいい場合あったりするだろ?」

「……」

「だからさ、俺はジャックと組んだ方がいいよな」

うんうん、と鬼柳は数回頷いてからジャックに「宜しくな!」と笑い掛けた。俺はというとその状況を文句を言えもせず眺めている。
だって身長の話とか、なあ、だって、なあ?確かに俺とジャックで組んだりすりゃあ身長差酷いけど……畜生。

「…残念だったな遊星」

「ジャックが体育を病欠すれば俺が鬼柳と組める…な」

「お前怖ェよ…」

**


鬼柳三兄弟

**

今日は休日だった。晴天快晴、せっかくだから洗濯物でも干そう。と、干した洗濯物を取り込んだのがついさっきの話だ。

京介はバイトで、狂介は昼過ぎまで寝る子だから、まあ一人でやっていて、それは別に文句もないからいい。
ただやはり仕事の疲れがあったらしくて、取り込んだ洗濯物をぼんやりとテレビを見ながら畳んでいた為か、いつの間にか寝てしまっていたらしい。

ぼんやりした頭で「ああ寝てたのか」と理解して、座っていたソファの感触を確かめながら壁に掛かった時計を見上げる。まだ5時だ。

「……ん?」

ふと、視線を下げる。するとソファに積んで置いた畳み終わった物が正面の机に置かれていた。つまりはソファ上から移動されているという事だ。
そうすれば必然的にソファの上は俺だけが座っている筈だが、しかしソファ上にはもう二人居た。

「……風邪ひくぞ…」

膝に重量感。畳んだ洗濯物だと思っていたが、なんと膝には衣服でもタオルでもなく、愛する弟京介の後頭部が乗っていた。それから、俺の膝を枕にして寝る京介の腹を枕にして、床に座りながら眠る狂介も居る。
二人はあどけない表情で、同じように「くー…」と間の抜けた寝息をたてながら寝ていた。

バイト帰りのままなだれ込んだのか、鞄を肩から下げたままな京介は、ぎゅうと俺の服を掴んでいる。狂介は起きてそのまま二度寝を決め込んだのか、パジャマ代わりのだぼついたスエット姿で遠慮なく京介の腹を枕にして寝ていた。

「二人共、起…、せないな…」

なんて無防備に寝るんだろうか。起こそうと上げた右手を膝に落とす。そうして、その右手でさわりと京介の頭を撫でて、それから必死に体を揺らさないようにして狂介の頭も撫でる。
二人は少しばかり唸り、しかしすぐに身じろぎし再び深い眠りに付いた。

(……可愛いな)

自分と血が繋がってるなんて信じられないくらい、二人の存在は愛らしい。人から愛される性格をしているし、俺自身二人を誰よりも愛している。命を懸けて守れる自身だってある。

「……おやすみ」

そう呟いて俺はもう一度瞼を綴じ、安心出来るこの幽玄な空間に身を任せた。

**


ラモ馨

**

「ラモン」

「はい?」

名前を呼ばれ、ラモンはパソコンの画面から声の主へと視線を移した。そこには実に興味深そうに仕事をしていたラモンを後ろから眺めていたらしい馨介がいた。
腕を組んでじいとラモンを眺めていて、表情は真剣そのもの。ラモンはその視線に吃驚し、自分は何かまたやらかしてしまったのかと心配になりながら馨介を畏まって呼ぶ。
二人は恋人同士ではあったが、職場では上司関係を保っていた。馨介はラモンの頼れる上司で、ラモンは馨介の一癖ある部下だ。

「……それ、職場に置いて行ってるのか?」

「…どれですか?」

「それだ」

「…?」

それ、と言われてラモンは馨介にびしりと顔面を指さされた。ラモンは暫し意味がわからずに瞬いたが、しかしすぐに意味を理解して、顳辺りに手を当てて馨介の指す物を外した。

「真面目にやる時だけ付けるんで、デスクん中置いてってますね」

「そうか…」

なんだか興味があるようなので、ラモンはその取り外した物―――眼鏡を、馨介に手渡した。
ラモンは元来生活に支障ある程度にまで視力は悪くないのだが、やはり集中した作業を行う際には眼鏡があった方が確実らしい。
シンプルな作りの眼鏡を受け取り、馨介は暫く眺めた後にそれをラモンへ返した。受け取ったラモンは再びそれを付けて、椅子に座ったまま馨介を見上げる。

「で、用件は眼鏡だけですか?」

「あ、ああ……まあな。それじゃあ」

そうしどろもどろと言い、馨介はラモンのデスク付近からそそくさと離れて行った。ラモンはその馨介らしからぬ行動に小さく首を傾げたが、仕事の途中だったと思い出せばさして気にもせずにパソコンに向き直った。

そうして5分程作業を続けていた時か、パソコン横に置いておいたラモンの携帯がバイブ音でのみメールの着信を伝える。ラモンは作業の区切りが付いたあたりでようやくキーボードとマウスから手を離し、その携帯を手に取った。

着信は馨介からで、ラモンは大いに首を傾げる。馨介のデスクを身を乗り出して確認するも、そこには誰も座ってはいなかった。
そしてラモンは疑問を残したままメールを確認する。

「……え」

ラモンは、画面に展開されたその内容に思わず赤面した。滅多にメールしないくせに、とラモンは俯いて恋人の可愛さに身もだえる。そうしてすぐにそのメールへ保護設定を施した。

――

from:鬼柳馨介
件名:すまない


本文:
一生言えないと思ったから仕事中に悪いがメールした
眼鏡姿かっこいいな
仕事頑張ってくれ


――


(いやいや頑張れない訳がないですよ…)

携帯をぱたりと閉じて、恋人の愛らしさに暫く悶えた。

**


ブル馨

**

馨介さんは今日も綺麗だ。


僕はそう呆けた思考でぼんやりと考え、ソファに座って雑誌を読む馨介さんをただただ見詰めた。カーテンの隙間から差し込む昼下がりの強い陽射しは、馨介さんの色素の薄い髪に当たって馨介さんの神秘さを助長している。まるで神話に出て来る女神みたいだ。
なんて、彼に出そうとわざわざ用意したお茶の入ったシンプルなガラスコップを持ったまま暫く見つめる。

すると、馨介さんは少しばかり身じろぎした後、ゆるゆると視線をこちらに移した。表情は苦笑と言えるそれで、僕は思わず首を傾げる。

「……なぁ、ブルーノ…?」

「なんですか?」

「……どうしたんだ?」

「何がですか?」

ぱたんと少しだけ音を立て、馨介さんは閉じた雑誌をソファに置いた。苦笑混じりだった表情を、花も綻ぶような繊細でいて綺麗な薄い微笑に変え、馨介さんは置いた雑誌を膝に乗せて、その雑誌があった場所をぽむぽむと優しく叩く。意味が分からずに首を傾げると、馨介さんは薄く唇を開き、少し迷ったようにしながらも遅れて言った。

「…そんな場所に立っていないで、此処に座ったらどうだ?」

「あ、ああ…そう…ですね。ははは」

「…大丈夫か?」

「大丈夫ですよ、馨介さん」

本当に心配そうに尋ねるものだから、僕は思わず笑ってしまった。言われた通りに馨介さんの示す場所に座り、持ってきたグラスを馨介さんの前へ置く。馨介さんは小さく「すまないな」と言った後、間を開けながらも躊躇いはなく掌を控え目に俺の膝へ置いた。

「……馨、介さん?」

「なにか悩み事があるのか?」

「へ?」

「あるなら聞くから…その…笑顔で、ごまかさないでくれ…」

しゅん、とあからさまに落ち込んだように馨介さんは僕の膝に手を置いたまま肩をすぼめた。それを眼前で確認し、僕は首を傾げる。
別に悩みなんかない。確かに先程から馨介さんに見とれて何かと行動が疎かになってはいるが、別に悩みはないし笑顔で隠したつもりもない。
馨介さんは良い意味で勘繰り過ぎる所がある(勿論、そこが愛おしいのだが)。

「馨介さん、顔上げて?」

「……?」

少しばかり意地悪な心が芽生えて、僕は漏れそうな微笑を堪えながら深刻そうな声色を出した。馨介さんはゆっくりと顔を上げ、深刻そうな僕の声色に合わせ、深刻そうな表情で僕を見る。

「馨介さんがキスしてくれたら…立ち直れるかも、なんて…、」

ものの数秒だろうか。言ってすぐに訪れた、唇に当たる柔らかい感触とフンワリと香る落ち着いた良い香りと、馨介さんの大人しい鼓動は、確認するのがやっとな程にすぐに離れてしまった。

「……立ち直った、か…?」

だが眼前に捉えた、ただひたすらに心配そうな表情をこちらに向ける馨介さんの表情とその唇が自分の唇に触れたという事実に、僕はありもしない悩みが吹っ飛んだような、そんな気がした。


**


おまけだったやつです
鬼柳三兄弟で狂介無双。
下ネタとか。ギャグになったらいいなぁ、なんて思った記憶があります。

馨介→勘が鋭い弟好き
京介→天然な優しい子
狂介→例に漏れずビッチDQN

**


狂「最近夜が淋しい」

馨「………狂介、夕食中にそういう話題はやめろ」

狂「だって最近、皆都合悪くてよ」

京「夜が淋しいって?」

狂「一人が怖ぇんだ…誰かに一緒に布団に入って貰って愛を育みてぇ…」

馨「狂介、本当にやめてくれ…き、気まずい…」

京「……じゃあ狂介!俺が夜は相手してやるよ!一緒に色々(ゲームとか話とか)しようぜ!」

狂「え、マジ?色々シてくれんの?」

京「おう!」

馨「……………」

狂「そっか、じゃあ京介は下と上どっちがいいよ?」

京「んー?(寝るのがベッドか床かって事か?)……下?かな?(狂介の部屋だしな)」

狂「おっけー下な。よしじゃあ今日の夜早速な」

馨「………………」

狂「あんだよ馨介顔真っ赤だなぁ。混ざりてぇの?」

馨「そっ……そんな訳あるか!!」

狂「ははは、馨介可愛いー。興味あったら今晩来いよ俺の部屋」

馨「行くか!というか、京介も行かせないからな…全く狂介お前は本当どうしてそうなんだ…!血を分けたたった三人の家族なんだからもっとこう、純粋に仲良く出来ないのか!」

京「…馨兄、なんでそんな怒ってるんだ?」

馨「あ…いや違うんだ、京介…これは…」

狂「馨介混ざりてぇんだってよ。仲間ハズレでしょげてんだよ。可愛いよなー、京介?」

京「そうなのか?じゃあ馨兄も今日一緒に狂介の部屋行こうぜ!」

馨「(なんていう純粋な眼差し…)………そうだな…(まあなんとか守りきればいいか)」




狂「じゃあ俺ベッドで寝るから、馨介の布団そこな。で、京介はそこ」

京「狂介の部屋綺麗だな!」

狂「汚れる理由があんまねぇからなぁー…それじゃあ電気消すぜ?」

京「おう!」

馨「…………」



――数十分後



京「で、クロウと掃除する事になったんだよ」

狂「ははマジかよ、クロウも大変だな」

馨「………」


――更に数十分後



京「で、仕方ないから遊星に弁当分けて貰ったんだ…」

狂「へえ…遊星は弁当なのか」

京「ていってもコンビニ弁当だけどな。ってかジャック弁当豪華なクセにくれないんだぜ?」

狂「けちぃなジャック、可哀相なー京介。今度から財布忘れんなよ。定期財布に入れときゃ忘れねーだろ」

京「そうだな!さすが狂介、頭いいな!」

狂「ははは、おだてんなおだてんな」

馨「…………」

狂「ん、もう2時じゃねぇか。そろそろ寝ようぜ?」

京「おう!おやすみ!」

狂「おやすみ」

馨「…………………」

狂「馨介?」

馨「……あ、いや、ああ…おやすみ」


―――翌日



京「おはよう!」

狂「あー起きてる起きてる…声デケェよ…」

馨「……」

京「馨兄、おはよう!」

馨「……………あ、ああ…」

京「?大丈夫か馨兄?まだ眠いのか?」

狂「……ははーん、なんか検討ハズレだったみたいだなー馨介ちゃん?」

馨「……うるさい」

狂「なになに、襲って欲しかったの?」

馨「……そんな訳あるか…!」

狂「顔赤いぜ、本当ウブだな馨介ってば。からかい甲斐があるわ」

馨「…………」

狂「まあ抱いて欲しけりゃあいつでも言えよ、まあ同じ顔犯すとか冗談でも笑えないからヤだけど」

馨「……最初からからかうつもりだったのか」

狂「さァな?」

京「朝飯食おうぜー!!パン食おうパン、あとスクランブルエッグ!!」

馨「……狂介、お前が作れ」

狂「………怒ってる?」

馨「………いや」

狂「なんかごめんな」

馨「………怒ってない」

狂「……」

馨「淋しくなかったか?」

狂「へ?」

馨「昨晩は、夜を淋しい思いで過ごさなくてすんだか?狂介」

狂「……お、おう」

馨「そうか…よかった」

狂「…………あんがとな」

馨「………ああ」



**



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