ふいに鏡を見る。見慣れた輪郭、見慣れた髪型。それに混じって浮かぶ、自分の黒い目。

鏡に触れる。冷たい表面に暫く触れるが、同様にあまり暖かくはない自分の体温が鏡に映る事はない。
そのまま自分の目尻に触れる。


目、綺麗な色してるな


そういってこの目尻を触られたのは、いつの事だったろうか。
昔の事が、最近は少しずつ霞み掛かる。じくじくと端から消えて行く感覚。
怖くはない。ただ、自分はもう死人なのだと、そう認識させられる。
鏡を覗き込めば、自分の目の色はよく伺えた。

その目は、とても綺麗には見えない。
もう胸が痛む事もない。



***



別に遊鬼でもいけますね。







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