超中途半端に書いた話
鬼柳先生が大好きなラモン



*



今日こそは上手くやってやる。そう考えながらラモンは酒を煽った。何を上手くやってやるのかといえば、それは彼の恋の話なのである。
ラモンは先月辺りから自らのグループの所謂用心棒的ポジションについた鬼柳京介という男性に恋心を抱いていた。しかもその鬼柳京介にラモンはかなり熱を上げており、酒が回れば引っ切り無しに彼の話をする始末。
その為ラモンの部下である奴らは全員が全員、彼の恋心をよく知っている。
鬼柳京介本人がその事に全く気付いていないというのは、彼が他人に無関心であるのもあるが、まず酒場を好まず滞在しないのが理由だろう。

「すっげー可愛いんだよ」

「はい」

「先生の嫌そうな顔がすっげー可愛いんだよ!」

先生――鬼柳京介への告白にも聞こえる言葉がだらだらと。ラモンの寄り掛かるテーブル付近に居る部下達は「また言ってるよ」という態度でラモンの言葉を聞く。ラモンから鬼柳京介の話を聞くのが慣れてしまった、という事もあるが、どうにもラモンが優柔不断で告白をしない辺りにこの話に不毛さを感じてしまうのだ。

告白してしまえ、とも言いたいが、まあ今までのラモンと京介の雰囲気を見てしまっては彼等に出来る事は告白を促す事よりはただ応援するくらいしか出来ないのだろう。
今までのというのは、例えば、ラモンが京介へそれらしいアピールをした時の話だ。

体よく流される、とか、そういう事ではない。京介はラモンがアピールをすると、まあ無視をする。無視を決め込む訳だ、無言でラモンの行動を見遣り、無言で「それで?」ともしない雰囲気を纏わせてラモンの行動を制した。自分のテリトリーに入られるのが嫌なのだろう、会話で関与しようとするラモンに京介は人一倍無関心な態度を見せていた。

普通ならそこで断念、あきらめる。この人にはこんな行為無駄なんだと思う筈だ。
しかしそこで引かないのがラモンなのである。更に関与しようとヌケヌケとテリトリーへ侵入する、そして京介はそこで初めて怪訝な表情をする、なんだこいつは、と。確実にラモンへの軽蔑だ。
しかしラモンはそんな京介の表情が堪らなく好きだったのである。

だが今日こそは、怪訝な顔をどうにか笑顔に変えたいとラモンは考えていた。京介の怪訝な表情はラモンには大変素敵なものではあるが、如何せん怪訝は怪訝だ。軽蔑されてばかりではラモンが喜ぼうが評価は下がる、あまりよろしくない訳である。
なのでラモンは考えた、京介どうにか笑顔にさせ










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