女体化鬼柳が生理に来た話
京ちゃんと満足同盟と鬼柳好きな遊星



*



チームサティスファクションの朝は食事当番の奴がメンバーを起こす事から始まる。
その当番ってやつが今日は俺で、今は遊星とジャックを起こし終わって鬼柳を起こしているところだ。俺達の部屋から鬼柳の部屋には少し距離がある。深い意味はない配置ではあったが、唯一の女なのだから多少は距離があった方がいいのかもしれない。
ただ遊星が言うには、何かあった時に離れていると不安だという事らしい。何かというのが火事なのかチームに仕返しに来た奴らなのか、よくわからないが今の所はなんともないから大丈夫だろう。

「おーい鬼柳、朝だぞー」

ごんごんと扉を叩き返事を待つ。遊星やジャックなら扉を開けるのだが一応鬼柳は女だ。開けたら着替え中で「きゃーヘンタイ」なんていう事態は避けたい。なんたって俺の好みは小柄で胸は大きめな子だと決まっていたからだ。鬼柳は視野にないくらいだから、変な誤解はされたくない。

返事がないのでまた扉を叩くと、少し間を空けた後に扉が開いた。寝起きで着替えました、とばかりに髪が乱れて服も乱れた鬼柳が顔を出す。肩丸出しの開けたTシャツを直しながら鬼柳は「おはよ」と眠そうに言った。

「おはよう」

「……なんかダルい」

「お前の場合は今日に限った事じゃねーだろ」

「んー……そうかもな」

小さく小さく苦笑して見せた後、鬼柳は俺の横を抜けて洗面所へ向かう。あまりに女らしくない奴だったが、朝の身嗜みだけは小まめだった。

鬼柳へ早く来いよと声を上げて伝えてから、朝食の為にテーブルを出した広間に入る。眠そうに俯きながら腕を組んで座るジャックと、食器を並べたりと準備をしている遊星が目に入った。
当番じゃないのに悪いな、と準備の済んでいる様子を確認してから遊星に告げる。椅子に座ると、遊星は構わないとばかりに首を横に振った。

ふう、と座って、それから数分。鬼柳が来ない。

「鬼柳はどうした?」

暫くは俯いていたジャックが、流石に少し呆れたように言ってみせる。同様に遊星も俺を見た。俺はと言えば、さあ、と言うしかない。朝は全員揃ってから食事をする事になっている為、鬼柳が来なくては朝食は始まらないのである。
朝、食い意地の張った鬼柳は誰よりも早く来るのに、と少し不安になった。洗面所で何かあったのか、それか体の不調を訴えていたからもしかしたら倒れたのかもしれない。
立ち上がって鬼柳の様子を見に行こうとして、扉板の付いていない扉へ目を遣ると、ふらふらと廊下を歩いている鬼柳が見えた。

「鬼柳…!大丈夫か?遅かったじゃねー…か?」

駆け寄って一喝、そうする予定だったのだが鬼柳がぐすぐすと泣いているのが分かり張り上げた声は言葉尻に向かって下がってしまう。どうしたのだろうか。
鬼柳は先程は着ていなかった大きめの服を着ている。ズボンは履いておらず、膝上まで伸びるその服のお陰でなんとか隠す場所は隠せていた。
そうして俯きながら下腹部辺りの服をぎゅうと掴み、子供のようにボロボロと涙を零している。

「き、鬼柳?」

「どうした?」

俺がわたわたと困っていると遊星が俺の横へ立った。鬼柳の肩に手を遣り、鬼柳の顔を覗き込んでいる。
遊星は鬼柳に好意がある、結構深めの好意だ。ここは遊星に任せておくかと一歩後ろへ引くと、やはり心配そうに近くへ来ていたジャックの隣に立つ事になる。ジャックが殆ど声にならない小さい声で、どうした、と聞くが如何せん全くわからない。肩を竦めて返した。

「鬼柳、泣いているばかりでは何も分からない」

「っ、うー…ぅ…っ」

泣きたくなさそうに嗚咽を堪える様に、なんだか不安になってしまう。何か言おうにも辛いらしい。
下腹部をぎゅうと抑え、鬼柳は顔を覗き込んでいた遊星の耳元へ、必死に何かを言っている。俺に聞こえる限りでは嗚咽で何が何やら、だ。

「……鬼柳、本当か?」

「う、…ん」

遊星は聞き取ったらしく、鬼柳へ確認を取る。鬼柳はそれへ必死に頷いた。
どうしたのだろうかと見ていると、遊星はこちらへ目を遣る。深刻そうなその顔にこちらまで険しい表情になってしまう。

「ジャック、クロウ…鬼柳のこの部分から血が溢れ出るらしい」

「……え」

「何かの病気だろうか…」

この部分、と、遊星はそう言って鬼柳の足の付け根を指した。告白すらできないくせに好きな女のそういう部分へ触れられるのだから遊星は怖い。
と、いうか。その部分から血が溢れ出ている、とは、それは所謂あれだろう…女性なら誰しもがなる…

「それは生理とは違う現象なのか」

「せいり…?」

ジャックはびし、と、言ってくれた。ありがとうジャック。
遊星と鬼柳の反応を見遣ると、二人は分からないという顔で困惑している。知らないのか。
ふと鬼柳を見れば、太股を血が垂れて行っていた。おいおい下着履いてないのかよ…紅一点があまりにも無防備だろが。

「女ならば14も超えればその内に訪れる現象だ。簡単に言えば、子を産む準備だな」

「……病気じゃないのか?」

「ああ」

きょとん、と、鬼柳は下腹部を抑えながら言う。鬼柳は確か今年で17の筈なのだが、まさか今日が初の生理だという事なのだろうか。性教育なんてありもしないサテライトだが、あまりに知らな過ぎだろうと思う。

「良かったな、鬼柳」

「ああ!病気じゃねーならいいや!」

なんつー簡単な頭なんだろうか。
ジャックは最早なにか言うのも面倒か、さっさと椅子に座ってしまった。

「あー…と、生理用品ってのもあるんだけど、遊星貰いに行ってやってくれよ」

可哀相に剥き出しにされた馬鹿みたいに白い鬼柳の太股と血液を見て、目を逸らす。恐らくマーサなら早めに生理になってしまった子の為、とかで生理用品代わりになる何かでも持っているだろう。
言えば遊星は分かったと二つ返事でアジトを出て行った。本当、鬼柳にはとことん優しい男である。

「鬼柳、浴室で下半身を洗い流して来い」

「あ、うん」

「暫くは腹や頭が痛むが仕方のない事だ、四日もあれば終わる。それから、生理は月に一度は来るからな」

ジャックの説明を聞き、鬼柳は嫌そうに顔を顰めた。考えた事はなかったが、そうか女は月に一度生理が来るのか。大変だな。
とまで考えてヤケに詳しいジャックが気になった。何人もの女とよく付き合っているからなのだろうか。一応ジャックは最年長だった。




 






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