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ルドガーの私物を持って来てくれないか、と鬼柳に言われたのだが、正直気があまり進まなかった。
乗せた包みを眺めて目を細め、はあ、だなんて随分と重いため息を吐いてしまう。

旧モーメント内にあった物や機材は全て治安維持局に保管されていたので、俺は仕方なく牛尾に連絡をした。これでも忙しいのだと文句を言う牛尾を嗜め、ボマーに会いに行く為に旅行へ向かう前に遊星のくれた助言も生かし、上手い事言い包めて保管されていたルドガーの私物を借りる事が出来た。
現在の治安維持局内で、ルドガーは単なる故人だと扱われていた。その為に、ダークシグナーとの戦いの一部始終を見ていた牛尾にそれらしい理由を話すだけで簡単に私物の一部が受け取れたのである。

運搬する包みの中身を確認して、入れ忘れた物はないなと頷いて、閉じた。

ルドガーが遊星の親父さんの助手をしていた時の白衣と、それから身分証付属のキーカード。白衣は比較的綺麗なのを見ると、ルドガー本人がダークシグナーになった後に少しばかりの未練からか、丁寧に保管していたのだろう事が悟れた。キーカードは爛れて掠れ、キーカード本体を包むビニール製のカバーが溶けて身分証に張り付いていた。名前は辛うじて読めるが、顔写真は黒くなってしまっている。
それからルドガーのデッキだ。中身は遊星とデュエルをしていた時と寸分違わぬレシピなのだが、一枚だけ白紙のカードがあるのが気になった。エクストラデッキが2枚に、デッキが39枚、それから白紙のカードが一枚。
そして俺が一度、旧モーメント内で見かけた写真だ。ルドガーと遊星の親父さんとゴドウィンの写った写真。ヒビが少し入り、写真を囲むフレームも多少削れたり色が落ちたりしている。しかし写真本体とフレームに張られたガラスは手入れの後が伺えた。何回も写真を眺めて、そして汚れや埃で見づらくなると手入れをしたのだろうか。何回も、眺めたのだろうか。
…あとは分厚い手帳。内容は遠慮なく確認したのだが、日記のような物であった。しかし日記と言っても、まるで事務の報告書である。地震があった、事故があった、ダークシグナーが増えた、ダークシグナーが一人消えた、日々の変動が書かれているだけだ。几帳面な字面ではあるが、感情はないと思われる。

ルドガーの私物を、と、鬼柳は言った。深い理由は言わなかったが、きっとそれはルドガーの記憶を取り戻したいからなんだろう。ルドガーの私物が、どうにか記憶を取り戻す弾みにならないか、そう考えているんだろう。

(……本当、昔からよくわかんねぇ奴…)

頭の中どうなってんのか知りたいもんだ。最近はまだわかりやすくなった方だとばかり思っていたんだが、どうにもやはり奇行が目立つ。サティスファクションタウンという命名しかり、いきなりの町長就任しかり、今回の事も、だ。
やる事が決まるまで誰にもなんにも言わないで、そして理由やメリットやデメリットを自分の中でだけ清算して、そして鬼柳は一人で何かを始めてしまう。そして上手く熟す。昔からそこに憧れていて、でも最近では呆れていた。しかしそれが鬼柳の良さなのだとは理解している。

そんな鬼柳の頼みだからこそ運搬は二つ返事で引き受けた。鬼柳だってまさか俺が断るとも思わなかっただろうし、勿論俺も断るつもりはない。
しかしただ、どうにもあまり乗り気にならなかった。ルドガーという人間がまだ居て、それが親友の傍に居るのだというのが引っ掛かる。
ダークシグナーの長であった彼が、一切の思い出だけをなくして生きている。それ自体が最早なにかきな臭いというのに、何故鬼柳は進んでルドガーと進んで一緒に居るのだろうか。理解出来ない。
遊星も遊星だ。俺達がイリアステルの存在を強く意識した昨今、以前にイリアステルに良いように小手先で扱われていたルドガーに、何故ああも簡単に油断出来るのだろうか。何があるかわからないだろうに。
ルドガーにも相当な過去があり、決断をして今に至る。そういう経緯もあるのだろうが、俺は遊星とは違って人の犯した罪に情を挟んだ判決をする事は滅多にない。罪は罪だ。

まあいつまでも考えていたって仕方ない。確認を済ませ、D・ホイールへ跨がる。
左腕の怪我は良くなってきていて、ギプスはもう要らないだろう程度だ。今日から仕事を再開するつもりではいたが、あまり多くは回れないと踏んでいたので、鬼柳に仕事を頼まれて良かったのかもしれない、内容はともかく。
まだ少し痛む左腕には包帯のみが巻いてあり、触れると結構痛んだ。あまり無理はするなと医者に釘を刺されもしたが、まあ他でもない自分自身が無理でも無茶でもないかなーと判断したのだからいいだろう。多分。



ネオ童実野シティからD・ホイールを飛ばしておおよそ3時間弱程度の距離に現サティスファクションタウンはある。以前はロクな道路もなく看板もなく、知る人ぞ知る悪名高い町だなんて雰囲気がしていたその町であったが、今では大分雰囲気が一転していた。
近場の大きな国道沿いにあるガソリンスタンドなんかではサティスファクションタウンの小さな案内広告が出ていたり、細々ながらと町への道路が出来ている。看板には3キロメートル先サティスファクションタウン、と書かれていた。
大分町らしくなって来ているようで、鬼柳の頑張りに微笑みと苦笑が入り混じって漏れる。あまり無理はしないでいればいいのだが。一度ガソリンスタンドに寄りガソリンを補給してから、砂漠地帯を抜けている途中だったのでブラックバードの簡単なメンテナンスを行う。
その頃には朝方に出掛けた筈だったのが昼も間近になっており、じりじりと太陽が昇って来ていた。



町の名前と共に「Welcome」と、そう書かれた看板の入口を潜る。当時この看板からの印象は、なんというかまあ「よく言うよ」と言った感じだった。
歓迎なんてカケラも感じない町並みに人々。もし歓迎されたとしたってそれは相手さんのご都合であり裏がありのだろう、なんて考えてしまった。
しかし今のこのサティスファクションタウンの看板に掲げられた歓迎の文字には信憑性を感じられる。入口から最早雰囲気が違うのだ。
酒場が目立った町並みは宿や喫茶店、小物売り屋なんかを見受けられる。町の人間や、まだ数は少ないのだろう観光客のような人間も居た。かつて鉱山の主権の奪い合いに使われていた十字路では平和にデュエルが行われており、観衆もあの時に比べてしまえばずっと健全に小銭で勝者を当てる賭けをしている。
どうやら今日は復興作業は全面休みらしい。全体が賑やかで、穏やかな平和さを感じさせる空気をしていた。
その中をD・ホイールを引いて歩いて行けば、にこやかに挨拶をされたり酒を勧められたり賭けに参加しないかと言われたり、逆にデュエルをしてみないかと言われたりだ。なんとも賑やかで楽しそうで、思わず断る時にも微笑んでしまう。

その人混みを抜ければ、鬼柳の家は目の前だ。鬼柳の住む家は町の中でも一番でかい家構えである。立派な庭付きなのだが、庭にはずらりとバイクやD・ホイールが無造作に並んでいた。…町の人間の駐車場役でも受け持ってんのかあいつ。
自分も同様にそこにD・ホイールを止めるか、と足を進めた。もうこの場所からだと町の騒ぎも遠くに聞こえるな、と考えながらなんとなく背後を振り返る。
すると数人の人間の後ろ姿が伺えた。結構な長身の人間らで、賑やかな町並みとは正反対の方向へ向かう。こちらには気付かないのか、気にしていないのか、そのまま建物の影へ入って行った。

(…あんな楽しそうなのに、参加しない奴もいんのか)

なんだか勿体ないな。なんて考えつつ深く思わずにそのまま歩を進める。
踏み付けた芝が結構質の良い芝でこれこそ勿体ないなぁと眉根を潜め、沢山のバイクやD・ホイールの並ぶそこへブラックバードを置かせて貰った。
それから荷物を荷台から下ろして玄関先へ運ぶ。中身が中身なのでそうは重くなく、完治しきっていない腕で支えるのでも軽々と運べた。片手で抱えたまま呼び鈴を押せば、待っていたのか近場に居たのか「はーい」と女の子の声が聞こえる。
ニコが来るのか、と考えながら荷物の入った箱を抱え直してガチャリと開く扉に目を遣った。
返事はニコのものだったのだろうが、扉から顔を出したのは鬼柳だった。珍しく長く伸びた髪を高い位置でくくっている。

「鬼柳京介さんにお届けモンでーす」

「お疲れ様でーす」

子供が悪戯しあう時みたいに笑いあって、荷物を渡して遣った。受け取った鬼柳は箱の割に軽いので、おお、だなんて声を上げる。箱をマジマジと見遣って、そこでやっと「久しぶりだな」と挨拶してみせた。思わず苦笑してしまう。

「おう、元気そうで何よりだ」

「そうか?やつれてない?俺?」

冗談めいた仕種でもって頬を片手でぺちぺちと叩く鬼柳に少し安心する。確かに少しやつれている気もするし、隈もあるようなないような…だがまだふざける余裕があるようなので正直ほっとした。
俺にはあんま想像出来ないが、町長ってのはそれなりに辛いだろう。学力や知力を伴う役職は適材適所で人に任せてはいるらしいが、だが交流や承認や折り合いや町の風紀、それぞれを熟す鬼柳はやはり色々辛いだろう。肉体的にも精神的にも。

「んー……まあでも、肉が落ちて凛々しくなったんじゃねぇか?」

「あ、それは役得かもな」

名案とばかりに言う鬼柳の笑顔は和やかだ。遊星の「鬼柳を元気付けてやってくれないか」という言葉を思い出し、やっぱりそんな心配する事でもないだろうと再認識。小さく頷く。

「まあ立ち話もナンだし、久しぶりなんだからさ、上がってけよ」

「ん。そだな」

言われ、遠慮なくお邪魔する。あまり長居するつもりもなかったが、久しぶりに親友に会ったのだからそこは話もしたい。しかし今は状況が違った。ルドガーがこの家に居る、その事態を俺は確認する。危険かどうかを確かめるだけ確かめたい。
と、案内されてリビングに入り、目に入った光景に思わず口が半開きになってしまった。

「あ!クロウ兄ちゃん!」

第一声はウェストの嬉しそうな歓迎の声。それから、ニコのぺこりと頭を下げながらの挨拶。
これは予想出来たからそんなに困る話ではない。
ニコとウェストはリビングから見える奥の方にあるキッチンに居るのだが、どうやら皿洗いをしているようだった。ニコが皿を洗い、ウェストがそれを拭く。
何に俺は衝撃を受けたのかといえば、そのウェストが拭いた皿を背の高い戸棚に入れるのをルドガーが行っていたという事だ。一生懸命背伸びをして皿を渡すウェストに合わせて少しばかり屈んでやり、皿を受け取っている。
おいおい誰だよあれ、と記憶にあるルドガー・ゴドウィンという男の印象を浮かべてみた。そう何度も見た訳ではないが、旧モーメントで遊星とデュエルをしていた彼への印象は、酷く冷徹で極悪で自己中心的で正しい事を分かっている上でそれを裏切るような、そんな人間という印象である。
記憶がないとこんなに人格が変わるのだろうか。いやしかしダークシグナーであった時の鬼柳の変わりようも、激的なものだった。つまりルドガーは元々こんな人格なのか、どうなのか。

「適当に座ってくれよ、あ、これ代金な?」

「…おう」

じろじろとルドガーを見てしまっていた目線を鬼柳に戻し、言われたように手近にあった四人掛けのテーブルの椅子へ腰掛けた。そのテーブルの上に置かれた封筒に触れて、大分厚みがあるのに吃驚してしまう。

「これ、ちょっと高くねーか?」

「ああ、いーよいーよ、受け取ってくれ」

「いやでも」

「どうせあっても使う予定ないんだよなぁ。…だからお前らのとこで、大会に生かしてくれよ」

大会でと言われては、封筒を見下ろすばかりである。デュエルレーンのレンタル料金って午前だけとか午後だけ、とかでも結構高い。それに遊星とブルーノが行う本格的なメンテナンスにだってそれなりにお金が必要になってくる、し、しかもそんなギリギリの中であのタダ飯食らいの為に資金削って旅行に行く事になるし。
と計算してしまえばもうなんていうか、受け取る他ない状態の訳だ。仕事中は持っている代金受け取り用の小さな鞄へ封筒を押し込む。

「悪ィな」

「いや、こっちこそ忙しいだろうに頼んで悪…か…ってあれ?クロウ、おまっ…怪我してんのか!?」

向かい側に座っていた鬼柳が、いきなりテーブルをばんと叩いた。怪我、と言われ暫し思案した後にああ腕の事かと包帯の巻かれた腕を見遣る。配達時に着るジャケットに隠れている為に、長く巻いて掌まで来ている包帯で鬼柳は気付いたのだろう。
心配そうにわたわたと動く鬼柳に思わず苦笑が漏れた。

「もう完治直前だから、んなに慌てんなよ」

「あ、ああ、そうなのか…」

「練習中にちょっとやっちまってな」

「…予選はどうしたんだ?」

「出たのもあるし、出てないのもあるな…つか予選の中継見てねぇのかよー」

「ははは、悪ィなーどうも忙しくって」

冗談めいた口調で言いあって、なんだか改めて親友っていう感触が確かめられた気がしてつい微笑んでしまう。
予選の中継を見ていない事は知っていたし、仕方ないだろうとも思っていた。逆に予選の中継を全部見ているよと言われたら仕事しろよと一喝していたとしか言えない。

それから多少だが今の状況と本戦についてを話した。鬼柳は嬉しそうに、心配そうに聞いてくれたのだが、どうにもイリアステルの話が入らなくては大会に熱意を注ぐホイーラー達の話にしか聞こえないだろう。まあ鬼柳をイリアステル達の一件に巻き込みたくないし、それに鬼柳はどちらかと言えば熱血漢な方なのだからそんな支障はない様子だった。

「…まあとりあえず、中身見てみろよ、荷物の内容言うから」

話が一段落した辺りで、鬼柳の左側のテーブル上に置かれた箱を示す。鬼柳は頷き返して少し急くように箱に手を掛けた。その際に俺はちらとキッチンにいるルドガーを一瞥して、鬼柳を見遣る。
箱の包装を解いた鬼柳に、なあ、と声を掛けた。

「?…なんだ?」

「……簡単に、ルドガーを信じて平気なのか?」

少し小さめの声量で言えば鬼柳はキョトンとした表情で俺を見る。箱を開ける作業は止まってしまっていて、数回瞬きをした。それから何かを考えるように目線を反らされ、キョトンとした表情が笑顔に変わる頃には箱を開ける作業が再開される。返事をじっと待つと、鬼柳は完璧に開けた箱からデッキケースを取り出して、また俺を見た。

「平気だ」

やけにアッサリと、単調な答である。今度は俺がキョトンとしてしまう番だ。
いやに自信ありきなその表情に「なんでだよ」と尋ねると、鬼柳は再び考えるように目線をさ迷わせる。

「ルドガーはそんな悪い奴じゃない」

「…そんなの今はどうかなんて、確かに分かった事じゃないだろ?」

「でもそれでいいんだ」

「は?理由になってないだろ?」

「俺はこの町を、元罪人でも誇らしく生きれる町にしたい」

そう言う鬼柳の目があまりにも真っ直ぐこちらを見遣るので、俺も目を逸らせずに鬼柳と目を合わせた。

「マーカー付きでも勿論隔たりなく接して遣りたいし、過去に何かをしたんでも今しっかりしてるなら評価したい」

確かにそれはマーカー付きには理想の話だ。境のなくなったネオ童実野シティではあるが、マーカー付きに出会えばよくない顔をする人間は溢れるくらいに居る。

「人は変われるんだから、そこを評価したいんだ。生まれた時から罪人って訳じゃ、ないしな」

「……まあ、な」

「マーカー付きなのに町長にして貰ったってのは、そういう事だろうなとも思ってんだわ」

けれど世の中、根からの罪人だって沢山居るだろう。何も改心するばかりが罪人ではないのだ。罪人全てが頑張りによれば改心するのであればそれは平和で良いのだが、世の中の罪人全てがそうならないのは一筋縄ではいかないからだ。
簡単に言ってみせた鬼柳のスローガンだが、正直無理無茶に思える。

「…だからルドガーを大切にしてやりたいんだ」

「まあ…」

「アイツ、まともな人生を過ごせなかっただろうしな」

そこで漸く鬼柳は笑った。嬉しそうにニコッと笑うそれにつられて俺も笑い返す。
まともな人生を過ごせなかった、と考えては少しばかり胸が重くなった。研究を進めて充実していただろう毎日が少しの興味で反れ、イリアステルの野望に人生を翻弄された。そして悪戯に神に選ばれたという事実。
確かにまともな人生ではない。そう考えれば、記憶を無くしてこの町へ訪れたというのはルドガーの第二の人生の始まりなのかもしれない。
先程見たキッチンでのルドガーを見れば、尚更だった。

「…鬼柳はルドガー記憶、戻したいのか?」

「…んー…そうだな、戻したくはあるな。…弟さんや遊星の親父さんとか、大切な人達を忘れちまってるし」

「だよな」

「でも戻さない方がいいのかもな」

言って、鬼柳は無遠慮に持っていたデッキケースを開けた。パチンと小気味良い音を立てて開けて、中身をばさーっとテーブルの上へ散らばす。「デッキあったのな」と呟く鬼柳へ肯定の意味で返事を返し、先程の言葉の続きを促した。鬼柳は思案して見せながら、俺を見る。

「昨晩考えたんだ」

「ああ」

「大切な人や、沢山の人を傷付けた事、思い出さない方がいいんじゃないかってな」

嬉しそうに提案して見せる鬼柳だったが内容が内容で、なんだか無理しているように見えた。
ルドガーにとっての大切な人とは、彼が裏切ってしまった遊星の親父の事だろう。沢山の人とはダークシグナーとしての使命を果たす為に犠牲になってしまった人間の事か。
しかし鬼柳の言うそれは、自分自身の事のように聞こえてならなかった。チームメイトであった俺達や、関係のない人間を恐怖に陥れた事。忘れていたそれを思い出してしまった鬼柳自身がいかに辛かったのか、俺には分からない。

「でも、この私物は見せようと思ってんだ」

「そうか」

「配達ありがとうな」

「…どういたしまして」

テーブル上に散らばせていたカードを一枚一枚確認して行き、鬼柳は再びデッキを揃えてカード達をケースの中へしまった。
一枚白紙のカードがあったのを鬼柳は気にしたのだろうか。じろじろと見ていなかったので気付けなかった。

「あ、そうだ。クロウさ昼飯食ってけよ」

「ん?ああ、おう。じゃあご馳走になるかな」

楽しそうに言う鬼柳に反論は出来ず、二つ返事で了解してしまう。しかし腹も減っていたし、ありがたい限りであった。

それから、昼飯の時間まで話で止まってしまった荷物の説明を始める。といっても見ればわかるだろう説明だったのだが、しかし鬼柳はきちんと頷きながら聞いていた。

…ルドガーはまだ完璧に安心出来ないとは思ってはいるが、何もただ警戒している訳ではない。偏に親友が心配なだけだった。
だけどまあ、なんでか鬼柳やニコやウェストと、そこに混じるルドガーの穏やかな様子を見ていると、そこまで警戒しなくてもいいんじゃないかだなんて思えた。



***



クロウは現実主義者。あんだけマーカー付いてればそうなります…よ、ね…。








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