クロウと女体化鬼柳
過去捏造の酷い話
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鬼柳と初めて体を重ねたのは地区の制覇を始めて2ヶ月経った頃だった。愛し合っていた俺らであったから、そういう行為に及んだのは必然だったと思う。
酷い緊張感と焦りと、それから頬を赤く染める鬼柳の姿とか、色々記憶に残ってる。
避妊具を用意するのを忘れたと焦って言うと、鬼柳は笑った。苦笑とも嘲笑とも取れるそれに、焦ったのを覚えている(何を隠そう俺は童貞であった)。
何を言われるのかと思い問うと、鬼柳は笑った。
「避妊具なんか必要ねーよ」
「…へ?」
我ながら呆けた声である。鬼柳はまた笑って、ああ、と呟くと俺の頬と頭を撫でて言い聞かすように笑み混じりの真剣な表情を見せた。
「言ってなかったけか」
「……何をだ?」
「俺昔、シティから来てた金持ちのオッサンに飼われてたんだよ」
何も苦でないように鬼柳は笑い、そして懐かしむようにぽつりぽつりと事を話した。
シティから来る富豪はたまに居る。大きな船を船着き場に留め、そしてセキュリティに金を握らせてシティの人間を物色するのだ。そして見目の良い奴を見付けて、小遣いを釣りに、犯す。自分より遥かに地位の低い者を虐げいたぶるのはさぞ快感なのだろう。生傷が絶えないんだと鬼柳は笑った。
13の時から4年間、鬼柳はそういう輩に飼われていたのだと言う。サテライトの船着き場に留められた小さな船は檻で、小さな船内の部屋で暮らしていたらしい。そして毎日、と鬼柳は流石に辛そうに言う。俺は鬼柳を抱きしめた。
「……で、な、まあ…ソイツは人間飼ったの初めてじゃなかったみたいでさ…」
「…鬼柳……」
「………妊娠とか、面倒…らしくてさ…」
「………言わなくていい」
抱きしめた鬼柳は、ぎゅうとと俺の肩辺りの服を握り締めて首元に額を擦り付ける。
頭を撫でてやるが、鬼柳の体は小刻みに揺れていた。背中を摩ってやると更に体が揺れ、次第に嗚咽が聞こえてくる。
首筋に当たる水の感覚は涙だろうか。きつく抱きしめて遣ると、鬼柳は躊躇うように何回か唇の開閉を繰り返した。
「……一回だけシティに連れていかれて…手術?されたんだ…」
「……言わなくていいから、震えてるから、な?鬼柳?」
「……終わった後、に……赤いの…ッ袋に入ってて…お腹、切った跡があって…」
せいりこなくなって、と悲痛な声色で言う鬼柳を力強く抱きしめて遣る。痛くてもいい、潰れてもいい。とにかく強く抱きしめて掻き抱いて名前を何度も何度も呼んだ。
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