落ちる鬼柳



*



落ちて行く夢を見た。あまりに鮮明な映像は頬や髪に当たる激しい風まで再現していて、これは夢なのだと分かりながらも俺は少なからず感じていたのだと思う、その、死と云うやつを。白い空間を俺は落下する。模様も影も匂いも音も無く、俺がどれだけ落ちて今何処に居てあとどれくらいで落ち終え、新しい時間を体験出来なくなるとらしいその死とやらを体験できるのかも分からない。落ちて行く中で、その内自分が何かも分からなくなって来た。俺は誰だ。俺はなんだ。なんだったのか、ただの肉片なのか。


 

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