チーム解散後
遊星に依存した鬼柳



*



例えば俺が沈んだ時とか、俺の感情が少しでも揺れ動いた時だとか。側にいてくれたのはいつも遊星で、遊星は真剣に確実に俺を支えてくれて、だから俺は遊星を頼って遊星を愛して遊星と一緒にいて遊星に、遊星に依存した。遊星が居なければ落ち着けない程に、彼に依存した。定期的に彼の声を聞かなければ地に足付けていないような気分になり、定期的に彼に触れなければ焦燥にすら似た感情が駆り立てられ、定期的に彼と寝なければ生きている意味すらはっきりとしなくなっていった。これは完璧なる依存だった。彼が居なくては死すらどうでも良い気がして、そしてこんな自分を受け入れてくれるのも彼だけで、堂々巡りに俺はまた焦燥を感じ、何度も何度も何度も遊星を求めて必死に落ち着こうと足掻いた。そんな俺を受け入れる遊星は誰よりも優しかった。だからいつしか抜け出す術を探す事すら止めて、堕落するのを感じながら彼にしがみついて、俺は



麻薬の急速解凍は精神状態を狂わせ、体に異変を起こす



何処で見た記事だったか。大分荒らしてしまった室内は閑散としていて、雨漏りで天井裏に溜まった雨水が滴る音だけがする。落ちたコップ、割れた破片、散らばった本に自分の嘔吐物に血に塗れた床。苛立ちに耐え切れず切った太股がじくりと痛んだ。



遊星はいなくなった



俺を、拒んだ。俺は要らないと。俺から離れた。俺は遊星が居ないと生きれない、のに。遊星が居ないと俺は。

溢れた涙を拭ってくれる相手すら居ない。遊星が居ればいいと思っていたから、だから。遊星が居ないと俺には誰もいない。

遊星は麻薬のような奴だ。散々依存させて置いて、消えるのはあちらの都合。俺がいくら求めようと買手は売手の事情に左右されるしかないのだ。ただ違う点といえば、麻薬が切れた時の症状とは違いまだ冷静という事。いやまあ麻薬に関与した事はないけれど。



 

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