ブルーノとクロウが好きな鬼柳



*



クロウと喧嘩したんだと泣く彼はあまりに綺麗で、僕は相談に乗りながらその泣き顔に見入ってしまっていた。俯くと垂れるさらさらとした薄白銀の横髪を耳にかけ直して上げて、彼が握り締めていたハンカチを取って涙を拭う。ひぐ、と嗚咽を漏らしながら彼は僕の名前を呼んだ。頼りにしてくれているのだろう、甘える声色。ああクロウの恋人でなかったら、なんて考えて苦笑する。もっと早く出会っていたら良かったのに、なんて。
僕は耳に掛けた髪を撫でて、彼の嗚咽を漏らして震える唇に、衝動的にキスをしてしまった。でも彼はただ泣くだけで抵抗も反応もしない。一旦は瞼を閉じて見せてゆるゆると瞼を開き、それから僕と目を合わせた。健気な仕種一つ一つがとても美しくて、神秘的で、僕はもう一度彼の唇にキスする。彼は何回も嗚咽を堪えながら、膝の上でぎゅうと掌を握り締めていた。



 

小説置場へ
サイトトップへ


 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -