ダークシグナー鬼柳



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生まれて初めて歩いてみた“シティ”ってヤツは、それ程輝かしい物なんかではないと俺に思わせた。確かにサテライトとは違い、道端にジャンクが落ちていたり小汚い服装の奴らが口論の末に取っ組み合ったりセキュリティが陰険な目付きで睨んだりはしていない。
だが“それがない”のでは無く“それと逆”であった。
何しもが“悪い事”と逆ならば“良い事”の訳ではないのだなと、俺は思う。

薄気味悪い程に清掃された街並み。取り繕いの笑顔で互いの真意を測る会話。権力のある奴に媚を諞うセキュリティ。
ああシティも存外汚い場所じゃないか。俺は被ったフードから垣間見た汚い汚い世界に嘲笑を向けた。


 

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