いつも一緒




葬式が終わって、最後に正月とかに会った親戚のおばさんに抱きしめられた。

いいのよ泣いて。辛いでしょう?馨介君

おばさんはそう言って泣いている。辛いのはおばさんでしょう。思うけれど言わない。涙は出なかった。


お父さんの遺骨は俺が、お母さんの遺骨は京介が持った。京介の後ろにはさっきの親戚のおばさんがいて、支えてくれている。その横には狂介。状況がわかっていないのか、辺りをキョロキョロ見ている。親戚のおじさんが手を引いていた。
京介は泣いている。あんなに泣いた京介は初めて見た。


親戚の人達が居間に仏壇を設けてくれている。京介と狂介を俺の部屋に連れて来て、何も話さずにただ一緒に居た。
俺は中学の制服で式に出た。けれど間違いだった。線香の臭いはつくし、それに、お経を聞いている間中見下ろしていたこの制服を授業中にも眺めなければならないなんて。耐え切れる訳がない。
泣き続ける京介と、京介にどうしたのと聞く狂介。狂介はまだ3歳だ。状況はよくわからないだろう。死を説明するような年齢でもない。
狂介の頭を撫でて、抱きしめた。意味もわかっていないだろうに、狂介は俺の頭を撫でて「なかないで」と笑う。いつの間にか、俺も泣いていたようだ。「大丈夫だよ、ごめんね」言って強く抱きしめると、狂介は俺の頭を撫でる。嗚咽が止まらなかった。



狂介は親戚のおばさんに、京介は遠い親戚の人に引き取られる事になった。
親戚のおばさんは仲の良い人だったが、住まいは相当遠くで大分離れてしまう。
京介を引き取ってくれる親戚の人は、確かな財力のある人だが子供の恵まれる家庭ではないらしい。快く引き取ってくれた。
俺も親戚の人に引き取られる。この思い出深い家にそのまま暮らすらしい。ロクに仲の良くない親戚の方だ。借金が多くてよい噂を聞かなかったから、多分この家目当てなんだろうな。

「京介、狂介、公園行こうか」

「…公園?」

「いきたい!」

京介の泣き腫らした目元を撫でて、はしゃぐ狂介の頭を撫でる。親戚のおばさんに「すぐ戻ります」と言って、外に出た。
近所の人が何やら噂したり、弔いの言葉を掛けて来たり。適当にやり過ごして近所の小さい公園に向かった。京介は左手、狂介は右手で手を繋ぐ。

「兄ちゃんは、絶対お前らを迎えに行くから」

「……無理だよ」

「無理じゃない」

「……」

京介はぎゅうと俺の手を強く握る。また泣いてしまいそうだから、俺も強く握り返した。狂介は意味もわからないだろうに笑って、俺を見上げる。

「おれ、にいちゃんたちだいすき!」

「俺も、狂介が大好きだよ」

明るく笑顔で言う狂介に笑顔で返すと、狂介は嬉しそうに照れた。京介が小さく「…俺だって」と呟くので、そちらを見る。恥ずかしそうに目線を反らす京介体を抱き寄せて、強く抱きしめた。それを見て抱き着いてくる狂介も抱きしめて、もう目の前が公園なのにその場に佇む。

「いつか迎えに行くから、絶対行くから、だから待ってて」

二人の頭をがしがしと撫でて、ぎゅうと二人纏めて抱きしめた。狂介は楽しそうに「くるしいよ」と笑う。京介は小さくだが、確かに頷いてくれた。



***



両親事故死で散り散りに引き取られる設定がなんか基本だったりします。はい。馨介は頑張っちゃう子。

狂介は3歳、京介は7歳、馨介は12歳、かな…。

これの後に 正義 を見ると狂介グれ過ぎですね(^ω^)







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