満足同盟期
クロウ→鬼柳


*



ただあともう一歩。それだけ、そんな些細な歩数だけを、鬼柳に踏み出せなかった。だから俺は後悔を何回も何回も何回も繰り返す。

男だったから。男でなく、同性でなく異性であったのなら俺は苦しまずに済んだのだろう。

ただ鬼柳の手を取って一言。すきだと三文字呟くだけで世界は変わったのだろうに。

同性に愛を伝える事が臆病で、俺は鬼柳に愛を伝えられなかった。それと、多分俺は鬼柳を嫌いになろうと必死だったんだと思う。

チームを去った後に俺がどれだけ後悔したか。思い出したくない。

鬼柳が死んだと知らされたのはいつだったか。必死に鬼柳を忘れようとガキ共と遊んでいた中で、遠くから知り合いに「鬼柳京介が死んだ。遺体は安置場に」という言葉を伝えられた。
安置場なんてあるんかね、と知り合いは呟いて去ったが、俺は動悸が止まらずにぐるりと意識が揺れ動いていた。

鬼柳が死んだ

それはそうだ。あんな事をして生きてあそこを出れる訳がない。だがこんなにも早くだなんて。



 

小説置場へ
サイトトップへ


 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -