満足同盟期
変態遊星と女体化鬼柳と苦労人クロウ
*
「クロウ、鬼柳が断るんだ」
遊星は開口一番にそう言った。床に座ってデッキを組み直していた俺は、デッキをテーブルに置いて遊星を見上げる。
それがとても真剣な表情なので、俺は真面目に受け答えをしようと床に座り直した。
鬼柳と遊星は所謂恋人関係である。チーム内恋愛禁止と言いたいが、二人はルールを決めるより早く、チーム結成した途端に恋人になり、更にチームのルールを作るべきであるリーダーの鬼柳がその対象なのだから自由極まりなかった訳だ。
「何を断るってんだ?」
「夜の営み」
「バカップル乙」
はあ。俺は溜息を吐いて床に置いたデッキを拾い上げる。なんだよただの惚気か阿呆が。そんな話聞きたくねーっての。
「今までこんな事なかったのに…」
「倦怠期だろ。とりあえずどっか行ってくれ、遊星」
遊星はわなわなと握り締めた拳を震わせる。ああ喧しい。
そういうのは俺の見てない所でやってくれ、本当。
と俺がもう一度溜息を吐いたのと同時か、正面の扉から鬼柳が入って来た。タイミングがいいんだか、悪いんだか。
遊星を見て吃驚した表情をしている。
「……遊…星」
「鬼柳」
二人は俺とか眼中無しに見詰めあって気まずそうにしていた。だからどっかでやってくれって。もう一度溜息を吐いて、俺は面倒になったのでぞんざいに言葉を言う。
「鬼柳、なんで遊星とセックスしねーんだよ」
「な、ななな…っ…クロウ、おまえっ…」
顔を真っ赤にする鬼柳。しかしすぐに遊星をキツく睨んだ。遊星が俺に言ったと判断したからだろう。顔を赤くした鬼柳の可愛いらしい睨みに、遊星はだらし無い笑みを浮かべている。はあ。もうやだこいつら。
「生理だよ」
「は?」
「生理中なんだ。そう遊星にも言ってんのに…」
なのに、と鬼柳は嫌な事を思い出すように俯く。なんだってんだと遊星を見上げると、遊星は何か悪い事をしただろうかとばかりに首を傾げていた。
生理中にシよう、とは最低過ぎるだろう遊星。頭が痛い。
「……遊星は、遊星はっ……血まみれでもいいじゃないかって言うんだ…!」
「…うわぁ」
「血まみれの鬼柳は綺麗だと思う」
「………うわぁ」
遊星、キモいな。完璧にドン引きしてしまった俺は、デッキを片付けてこの場所を後にしようと考える。鬼柳も厄介な奴と付き合ったもんだ。
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