鬼柳、孤児パロ
レクスとルドガーと鬼柳



*



弟は妻を持っていなかった。自分が人に言えた事ではなかったが、弟はもう良い歳でありながら家庭を持っていない。
私はいい。残す物がある存在ではなかったからだ。
だが弟は違う。弟は昔からやりたかった夢を叶えた、所謂起業家。大変壮大な事業を手腕と運で手に入れた。
そんな弟に家庭がないのは、いや跡取りがないのは問題だったので、私は以前から妻を持つよう責っ付いていた。


ある日弟から知らせが届いた。
内容は養子を取ったという話。その内容は私に対して、これでいいか、と訴えているように見える。
違うだろう。いや違わくはないか。跡取りは出来た。だがしかし、私の望んだ内容とは相違があった訳だ。釈然としないながら「是非見に来て下さい」とご丁寧に書かれていたので、見に行く事にする。弟との交流は度々あったが、弟の家に尋ねるのは久しぶりであった。



薄い白銀に綺麗で薄い水色が乗っている髪、肩より上辺りにあるその髪は綺麗で美しい。瞳は恐ろしいくらいに透き通った黄色で、髪同様に綺麗な色彩の睫毛に縁取られている。肌は病的に白く、白銀の髪と薄い肌の色素にあった黒いスーツを着ていた。
弟に紹介されたその少年は、ちょこんと椅子に座っている。正直な感想は、まるで人形のようだ。という事。あまりに整った容姿に、少しは小言を言うつもりであった思考は消えた。
しかしそんな私の思いを殴打するように、少年は口を開く。レクス、この服脱ぎたいんだけど。粗雑な声色。声質自体は綺麗なのだろうが、ウンザリしたように言う声色は汚れていた。そう言って少年はスーツを脱ごうとする。弟はそれをやんわりと笑って止めた。

これはどういう事だ、と弟に尋ねた。弟は笑う。あははと呑気に笑う。孤児院でね、見掛けたんですよ。わしゃわしゃと少年の頭を撫でて弟は私へ微笑んだ。何故、孤児院で。孤児である必要はないだろう。頭が痛い。
不躾に足を組む少年は私を見上げ、レクスの兄さん名前なんての?と弟へ尋ねている。何故そいつはタメ口なんだ。



 

小説置場へ
サイトトップへ


 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -