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サティスファクションタウン

*

セキュリティのお陰で鉱山から帰って来る事が出来た。はっきり言って休み無しの労働なんて慣れていないので、助かった。まさか一日で助かるとは。よかったよかった。町に帰るとそこは酷く荒れていて、それから無意識に先生を探す。先生を見付けたが、先生はあの先生と知り合いらしい青年と、俺の知らない青年二人と楽しそうに話していた。あんな笑顔は初めて見た。

もう鉱山の主権争いは無意味らしい。今度この町と鉱山の主権を誰が持つかは、暗黙で定まっていた。ただ発表は町が完璧に直ってからだと言う。当然先生だ。先生は気付いていないようだが。
先生は彼らが去るまで、ずっと彼らと一緒に居た。そして俺はというと、酒場の修理担当だった。
彼らは先生の過去の友人だったらしい。ウェストという小僧が言っていた。先生は始終笑顔だった。

彼らが去った晩、先生は酒場の前で佇んでいた。以前勧めて飲まなかった銘柄の酒瓶片手に、ただ佇んでいた。あの笑顔はない。

そんな顔をするのなら、着いて行けば良かったじゃないか。
工具道具を片付けながら、思った。その表情は先生が初めてこの町に来た時と全く同じ表情だったけれど、だけど今はとても辛そうに見える。

腹立たし気に頭を掻き、先生はその場に座った。新しい名前の掲げられた町の看板を見て、それから肩を震わせて声は無く笑う。未練がましいな、と小さく呟いた。確かに聞こえた。

翌日、修理の指揮をする先生は明るかった。あの笑顔だった。
死神と呼ばれていた面影はない。ただそれが遠い人物になってしまったようにしか思えなくて、俺はただ、淋しかった。



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