淡い色
ルドガー先生ルドガー先生。
コンコンと職員室の扉付近の壁を叩いて、一人生徒が職員室内を見回している。
彼は確か鬼柳狂介。
ルドガー先生と仲が良いようだ。自分の隣の席を見るが、ルドガー先生は生憎今いない。だが午後から出張だとは聞いていた。まだ午前だが、何かしら忙しいのではないだろうか。
扉付近にあるごみ箱に雑紙を捨てるついでに、鬼柳狂介に話し掛けた。
「ルドガー先生は今いない」
「あ、本当?どこ行ったか知らねー?」
「…午後の出張の準備だろう。それから、教師を敬う言葉遣いを心がけろ」
「ルドガー先生みたいな事言うのな」
「………どの教師も同様の意見の筈だが」
「はーい」
とても軽い返事を返され、なんだかこの生徒のペースに調子が狂ってしまう。ルドガー先生はこんな生徒を担任に持って、更にこんな生徒と頻繁に補習やら談話やらをしているのか。大変だな。
「……何か用事があったのなら、伝えておくが」
「ああ、大丈夫。直接じゃないと意味ない…ので」
苦笑しながらぎりぎり繋ぎ合わせた敬語に、こちらまで苦笑してしまう。その生徒はそのまま笑んで、「失礼しました」と職員室を出て行った。
少しだけ目を追って様子を見ると、廊下の先で歩いていたルドガー先生を見付けている姿が見える。
廊下を走って行き、その勢いでルドガー先生に後ろから抱き着いていた。
思わず、うわ、なんて声が漏れる。あんな生徒を持つのは大変だな。
***
ただディマクと狂介を書きたかっただけの代物ですとも
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