「なまえ」
そう名前を呼ばれて大きな腕に包まれた。体の小さいわたしは大きな体の彼に、いとも簡単に隠れてしまう。あったかい。ずっとこのままでいたい。彼に包まれているとそんな気分になった。でもここは公衆の面前だったりするわけ
「ま、真琴?み、みんな見てるからやめてよう…」
「恥ずかしい?」
「あ、あたりまえだよ!!」
わたしがそう言うと真琴は眉を下げてしゅんとしてしまった。そんな顔にも癒されてしまうわたしって、どうしようもないのかもしれない。ゆっくり離れると、真琴はわたしの頭を一撫でして自分の席に着いた。意打ちにキスされたり。もちろんわたしも嫌じゃないし、愛されてるなーって実感できるからいいんだけど。
「なまえ、今日急に雨降ったから部活なくなっちゃった。だから一緒に帰ろう?」
「うん。あ、七瀬くんはいいの?」
「ハルはひとりで帰るって」
「そっか。じゃあ一緒に帰ろっか」
「うん。……あ、のさ、俺んち来ない?」
「え?あ、うん、い、いよ?」
かあぁっと顔が熱くなる。
真琴の家に行くと心臓が持たないっていうか。キスばっかされるから死にそうなくらいドキドキしちゃうんだよね。そんなわたしの想いに気がついたのか、真琴はクスリと笑って手をぎゅっと握った。
◇◇◇
「ん、ふぁ、ま、こと」
「ちゅ……かわいいよ、ん」
「あぅ、べろいれちゃ、む、はっ!」
下の絡み合う濃厚なキスに目眩がした。じわりじわりと気持ちよさのせいで涙がにじむ。ぎゅっと真琴の腕を掴み、すがるようにキスに応えた。
ぺろっとわたしの唇を一舐めして、ふふっと真琴は笑う。そして、ぎゅうっと強く抱きしめた。なんで真琴にこうやって包まれるとしあわせなんだろう。なんにも考え
自惚れかもしれないけれど、真琴はすごくわたしのことが好きなようで、隙あらばくっついてくる。ぎゅうっと抱きしめたり、意味もなく手を繋いだり、誰もいない時なんか不られなくなってしまいそうなくらい幸せ。
「真琴だいすきだよ」
「おれも」
◎つつまれて
(140319)