「お邪魔します」
『どうしたん?そんなん言わへんのにいつも』
「いやっ、なんか...な」
付き合った日は泊まったけど、それ以来亮がウチに来るのは始めてで、なんとなくたどたどしい亮の姿がなんだか可笑しい。
『あ、忘れんうちに。はい、ウチの鍵』
渡したのは引き出しに閉まってあった合鍵。
「俺も、持ってきてん。はい」
『亮ん家の鍵?』
「おん、いつ来てもええから」
『ありがとう』
「なぁ」
『んー?』
着替えを済ませてリビングに戻るとソファーに座る亮が隣をポンポンと叩いた。
『何ですか?』
「俺たち付き合ってるやんな」
『どうしたん?急に』
「何か変な感じやなって」
『じゃあ別れる?』
「嫌や!」
急に腕を引かれると腕の中に包まれた。
「好きやで」
『ほんまに?』
「ほんまに」
『私も好き』
ギュッと腕の力が強くなった。
『亮苦しい〜』
「ずっと一緒に居ってな」
『そんな事言うたら離してあげへんよ?』
「ええよ。俺も離さへんし」
クスリと笑うと身体が離れて引き寄せられるように唇が重なった。次の瞬間身体がふわりと浮いて、『うわっ!』と亮の首に腕を回す。
ベッドに優しく降ろされて見えるのは亮の顔と天井で
『明日ライブやねんけど』
「俺も」
『踊れなくなったらどうすんの?』
「俺が支えとく」
『アホ』
愛鍵
(好きの大きさは)
(貴方には負けないくらい)
(大きいかもしれません)