「名前!」
『ん?』
「なんやこれ!」
「説明せえ!」
「どうゆうことや!」
楽屋に入った瞬間大声で迫ってくる赤いのと黄色いのと緑。赤い奴の手には週刊誌。
『あぁ...』
私の名前と熱愛の文字。お相手は人気絶頂俳優の小栗旬で手を繋いでいる写真がバッチリ1ページ大きく飾っていた。
「聞いてへんぞ!」
『つきあ「わかるように説明せえよ!」
『だから「あの日俺の誘い断って男と一緒に居ったんか!」
「名前の話聞いたれよ」
「何で撮られてんねん!何とか言えや」
『うるさいな』
「あ?」
『あんたうるさいねん。説明しようとしてんのにやいやい言うて人の話聞かんのそっちやろ!自分はどこぞの女連れ込んで寝顔まで撮られとるくせに人のことやいやい言わんといてよ!あんたと付き合ってるわけちゃうんやから誰と一緒に居ようが私の勝手やろ?あんたが女と居ようがなんだろうが私今まで何か言うた?人の気も知らんで勝手な事ばっかり言わんといてよ!』
「名前!」
「今のは亮が悪いで」
人の話も聞かずに一方的に話す亮に腹が立って楽屋を飛び出してきた。旬とはただ飲んでフラフラしてたから引っ張ってもらってただけで、付き合ってないって、何もないって言いたかったのに...
『はぁ...』
「名前」
『章ちゃん...』
「何もないんやろ?あの記事」
『うん。でも酷いこと言うたやんな亮に』
「まぁ、あんな言い方されたらキレるよな。でも亮も心配なだけやねん、悪気があって言ってるわけちゃうねんで」
『それはわかってるよ』
「ほら、来たで」
章ちゃんの言葉に顔を上げてみると廊下の向こうのほうに亮の姿が見えた。
「先に戻るな」
頭をポンポンと叩くと立ち上がり歩いてく。すれ違いざまに亮の肩を叩き何かを言っているようだった。再び視線を足元に落とすと黒い靴が視界に入ってくる。
「名前」
顔を上げると、タレ目がさらに下がり、泣きそうな顔をさた亮がいた。
「ごめんな。何か...心配やってん」
『私もごめん、言い過ぎた』
「付き合ってるん?あれ」
『付き合ってへん。酔っ払ってフラフラしとったから引っ張ってもらってただけやねん。旬彼女居てるし』
「そっか。うん、そっかそっか。あー、焦った」
『何で亮が焦るんよ』
「あぁいや、何でもない」
『変なの』
「名前この後飯行かへん?ってか名前の冷やし中華食べたい」
『うちもう冷やし中華1ヶ月くらい前に閉めてもうたんやけど』
「冷やし中華に季節は関係あらへん」
『仕方ないな。名前ちゃん特製冷やし中華作ったろ』
scandal
(亮、帰ろう)
(どっか行くん?)
(今日だけうちで冷やし中華始めましたやねん)
(俺も行く!)
(あかん!!)