INFINITY | ナノ


『どぅあーーーーー!』

「なんや!何事や!」

『もう頭沸騰しそうや』

ソファーに座ってギターを抱え背もたれに踏ん反り返った。

「名前どないしてん?」

『今度私ソロコンやるやんか、その前にシングルだすんやて。曲考えなあかんねん』

「あぁ、出来たんか?」

『いや、なーーーーーーんにも思いつかん!!』

「胸張って言う事ちゃうアホ」


ずっと考えても考えてもなんにも思いつかん。歌詞も曲も。こんなこと今までなかったのに・・・

「名前ちゃんがめずらしいな」

「スランプってやつ?」

『...やっぱり?』

「まぁそういう時もあるやんな」

名前のテーブルにあった紙を亮が手に取ると眉を寄せた。

「一文字も書けてないやんけ。いつまでなん?」

『・・・明日の12時』

「明日!?」

「アカンやん!」

『それでも甲斐くんが頼んでくれて延ばして貰ろた』

チーフマネージャーである甲斐くんに相談したら少し期限を延ばしてくれるように頭を下げて頼んでくれた。「無理言って延ばして貰ったんだからちゃんといいもん作れよ」と言われていたから出来ませんでした、ごめんなさいなんて言えるわけがない。

「お前この後仕事か?」

『ないけど』

「よし、この後何もない奴挙手」

「はい」
「はい」
「はい」

「おぉ、亮と安がおるんやったらなんとかなるやろ」

「俺は?」

「名前ん家行って作るぞ曲」

『え・・・ええの?』

「ええよ、明日も昼からやし一緒に作ろうや」

「俺明日オフやし、4人居ったら明日までには出来るやろ」

「・・・だから俺は?」

『ありがとう!』

「えー、俺も行きたい!」

「大倉お前ドラマの撮影あるんやろ。俺も仕事やねん、名前ごめんな」

「俺も撮影やねん。名前ちゃんごめんな」

『謝らんといてよ、私がぎりぎりまで出来んかったのが悪いんやし気持ちだけ、ありがとう』

「いやいやー行きたい!」

「ほな終わったら行ったらええやん」

「・・・地方なんやもん。戻ってくんの明日やねんもん。嫌や。俺も名前と曲作る」

『仕事穴開けたらあかんやろ?今度2人で曲作ろうな』

「2人で?」

『うん、2人で』

「・・・約束やで?」

忠義に頷くと拗ねていた顔はニターっと笑顔になる。


「よし、じゃあ一旦家帰ってギター持って集合や」

「おう!」

『お腹空くしなんか作っとくな』

「俺生姜焼き〜』

『よっしゃ、曲の為や、何でも作ったる!』

「旨いもん頼むで。よし、お解散退散お疲れさん!」



SLUMP
(やっぱり嫌や〜!名前の生姜焼き食べたい〜)
(我が儘言うな!)
(俺...)
(侯くん行くで〜)
(はい、お嬢!)



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