INFINITY | ナノ



「んわあ!」
「あっつ!!」


楽屋にいる全員が肩をビクつかせた。亮ちゃんがいつも車に積んでいるという噂の寝袋で身体を覆い、ヨガマットの上で寝ていた名前ちゃんがいきなり叫んだからだ。何事かと章ちゃんは目をぱちくりさせ、裕ちんは持っていたコーヒーを白いシャツにガッツリこぼした。寝袋から顔だけ出した完全にイモムシ状態の名前ちゃんが起き上がり、大きな目を更に見開いて呼吸を荒らげていた。


「なんやなんや!」
「びっくりしたー」
『あぁ、なんや夢か』
「お前ふざけんなや、零したやんけ!」


コーヒーのシミを一生懸命ふいている裕ちんだけど、そんなに大きなシミはもう諦めるべきやと思う。


「名前ちゃん、どうしたん?」
『んっ、変な夢みた』


聞いてみると、ミノムシのままの名前ちゃんが顔をこちらに向けてれた。ミノムシでもかわいいな。顔だけを出した名前ちゃんの額は汗をかいていて、大きな溜息をついた。


『おっきなカマ持ったマルちゃんに追い掛けられた』
「えっ、僕!?」


まさかの自分の名前に驚きながら、カマを持った自分を想像したけど...名前ちゃんを追い掛けるなんてそんな、


『へへへへって笑いながら、黒いマントにフード被ってた』
「怖っ、マルちゃんやめたって」
「もうそれストーカーや」
「丸ー、危ないでカマは」
「最低や」
「いや、やってへんし!夢やんか!」


いやいやいや!
みんなに冷たい目をされてるけど、何もしてへんし。カマなんか持ってへんよ?!


「丸もついに血迷ったか」
「いやいや!」
「お前シャレにならんで」
「いやいやいや!」
「末期やな」
「いやいやいやいや!」


からかい続けるは主に年長組で、すばるくんに至っては本気じゃないかと思うくらい眉間のシワが深い。


『もう丸ちゃんに近づかれへん』
「えっ、そんな」





「うおっつ!」

いくら夢でも、ショックやな。俺がそんなことするはずないのに。方を丸めていると、背中に勢いよく衝撃と重みを感じた。もう不意討ちおんぶは慣れたもんで、反射的に腰あたりに現れた脚を掴んだ。頭の後ろから「まぁるちゃん、」と声がして、首に回った腕に少しだけ力が入ったのを感じた。名前ちゃんいい匂いする。

『今日和食デートしよ』
「和食?」
『そ、和食食べたいな』
「2人?」
『誰か呼ぶ?侯くーん!』
「あぁ!いやいやいや、裕ちんなんでもないよ!」
『ふふっ』


俺は簡単な男やなー、いや、名前ちゃんに弱いねんなー、


いじわるしないで、


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