INFINITY | ナノ





「んあっ!9時や!」


ある日の楽屋。ソファーに横になっていた丸がいきなり飛び起きて、テレビをつけた。赤い電源ボタンの次に押したのは6。どうやら、お目当ての番組があるらしい。画面に登場したのは我らがお姫様だった。


「おお、名前ドラマか。」
「丸、9時やで!」
「もう見てるでー」


勢いよく楽屋の扉が開いて、大倉が飛び込んできた。先にテレビの前のソファーを陣取っていた丸の隣に座って、2人仲良くテレビ鑑賞だ。信ちゃんは後ろの方で新聞を読みながら。渋やんはスマホを弄りながら。よこちょは、きっと、あの二人の隣に座って見たいんだろうけど、恥ずかしさが勝ってかコーヒーを啜りながらチラチラと見ている。僕はと言えば、渋やんの隣でギターを鳴らした。


「静かに!」
「うるさい!」
「ごめん」
「今は無理やでヤス、あと1時間は」
「みたいやね」


我が家は名前のドラマは毎週自動的に録画されるようになってるし、帰ったら観れるからと思ってたけど「んしゃ、視聴率に貢献せな」と張り切る大倉を見ていたら、微笑ましくなった。今回のドラマは名前の鉄板恋愛系で、おほほほ!と叫びたくなるシーンも数多い。


「いやーーー!」
「ちょっ、あっ!」


やっぱり、前に座る2人はキスシーンがある度に奇声を上げていた。わかるよ、なんか恥ずかしいねんなメンバーのキスシーンって。コーヒーを啜ったしゅんかんに、楽屋の扉が開いた。スマホを弄りながら入ってきたのは亮で、テレビを見た瞬間、眉にしわ寄せたのだ。


「アイヤー!」
「いやーー!」
「あっか...っん!」
「こいっ、あっ!今絶対舌入れたで」
「ちょっ、とー!それはあかんでこの人!」
「えろっ、」


相手役の人も可哀想に。ヤイヤイ言われて。渋やんまで身を乗り出し始めた。まぁ、舌入れたのは許されへんけど。そのまま雪崩れ込んでベッドシーンなんて珍しいものではないけれど、やっぱり目を覆いたくなる。キャーキャー言うテレビ前の2人の声をかき消すように、楽屋の隅でバナナと牛乳を混ぜるミキサーの音が響いた。いつもなら白く美味しそうなバナナジュースが、今日はドス黒く感じる。


「あっ、亮ちゃん。ええとこやのに」
「そうやで、今名前ちゃんがエッチ「あ"?」
「...」
「...」
「はぁ...」


亮の眉間の皺がMAX深くなった時、何度地雷を踏んだら気がすむのだろうという村上くんの溜息が、やけに大きく聞こえましたとさ。ちゃんちゃん。


毒を飲ませよう


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