INFINITY | ナノ


「最高で、最強の、関ジャニっ、」

「「「「エイトーーー!」」」」


ライブが終わった。
いつものエンディングを迎え、ステージからバックステージに順番にはけてきた。その時事件は起きた。

「名前!」

と大きな声がバックステージに響いた。先にはけてきた亮と僕が振り向くと、階段で倒れそうになった名前を、後から帰ってきた信ちゃんが支えていた。亮と駆け寄ると名前は、はぁはぁと肩で息をしていた。村上くんの後ろからすばるくんが顔を出していて、おでこに手を伸ばした。


「あっつ、」
「また熱上がった?」
「よう頑張ったわ。とりあえずこのまま楽屋運ぶから」


名前が高熱を出して会場入りをしてから、解熱剤で少しは熱は下がったものの、まだまだ平熱とは遠いままステージに立った。移動は全て台車かおんぶ。ステージに上がれば、なんにも無かったように、いつもの笑顔の名前やった。満面の笑みでステージに立ち、全力でギターを鳴らし、かっこよく歌い、ヒールがある靴でも完璧にダンスもこなした。ステージが暗くなったりする時は、少しは辛そうな表情をしてたけど、きっとお客さんは分からんかったと思う。

「寒いか?」
『ん、寒い』
「毛布ある?」
「持ってきます」

信ちゃんが名前を楽屋まで運んで、ソファーに寝かせた。高熱が出ている時に、あんなにハードに動いて歌っていれば、下がる熱も下がらないのは当たり前やと思う。渋やんが体温計を持ってきて脇に挟んでいるけど、そんなことせんでも確実に熱は高い。


「よう頑張ったわ。な、プロ根性や」
「だからってヒールで踊らんでも良かったんちゃう?」
「なんかあったんかなって、勘づく奴も居るやろ。な?」
『ん、』
「名前ちゃん、かっこいいわ」
「無理しすぎや」

亮が頭を撫でると、目を瞑っていた名前の口角が小さく上がった。

「とりあえず病院連れていく」
「病院開いてるん?」
「時間外のとこ探してもらったから。亮、おんぶ出来るか?」
「ん、ほら名前、乗れ」
『迷惑かけて、ごめんね』
「何言うてんねん。誰もそんなこと思ってへんよ」
「そうやで、なーんも迷惑なんてかけられてへん」
「ゆっくり休むんやで」
「病院行って、点滴でも打ってもらてこい。治ったら、焼肉連れてったる」
「よう頑張ったな」
「安静にしとけよ。どっくん、頼むで」

みんなの手が名前の頭を撫でた。その度に名前の顔は、とても嬉しそうやった。

「今日は亮ちゃんにベッタリやったなー」
「寂しいん?」
「そりゃー、いつもならライブの時はテンション上がってるから、背中に飛びかかってきてくれるし」
「受け止められるようになったもんな」
「あれがないと、最近なんか背中寂しなんねん」
「毒舌もなかったしな」
「亮ちゃんと重なった時は半端じゃないんやから。ほんまに心折れんねん」
「今日は仕方ないって、熱ある時は人恋しくなるし」
「そこに亮が居ったら誰も勝たれへんよ」
「そらそうやろ、夫婦なんやから」

ニコニコした笑顔が見れなかったのはすごく寂しかったけど、名前の貴重な姿を目に焼き付けながら、亮の背中に乗った名前をみんなで見送った。仕事し過ぎやねん、という信ちゃんに珍しく「あんたが言うな」とみんなが総ツッコミを入れながら、角を曲がった名前の回復を祈った。

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