INFINITY | ナノ


『亮』
「ん?」


夜も深くなってきた時間。間接照明で薄暗いリビングのソファーに横になりながらPCをいじっていた亮の隣に座った。ワイングラスを片手に持って、横になっている亮の足に寄り掛かると、PCに向いていた目がチラリとこちらに向く。


「どうした?」
『今日な、スタッフに言われてん』
「何を」
『人気商売やのに、そんなことしててええんかって』
「どんなこと?」


PCをテーブルに置いた亮がソファーに向き合うように座りなおした。


『うん、メンバー同士で付き合ったり、同棲したり、それを堂々と公表してテレビでしゃべったり。そんなことしてお前はいいけど、男はどうなるんだって。女は結婚して家庭に入ったらいいけど、錦戸はこれからもこの世界で仕事していかないといけないんだから、お前はそれを考えて公表したのかって。ファンのことも考えてない。グループのことも、相手のことも考えてない。勝手なことして浮かれてるから、芝居に集中できてないんちゃうかって』
「誰やねん、そのスタッフ」
『んー、私が言い返せないくらいちょっと偉い人』
「気にせんでええどそんなん」
『でもさ、その人に言われたことって、よく考えてみたらその通りなんかなって。亮と付き合ってるって噂があってから、ストーカーも出た。女の子たちに手も出された。少なからず、3人はファンが減った。表だって見えてるのが3人だけで、離れてるファンだって多いと思うねん。だってアイドルって、女優とか俳優と違って恋愛感情もってるファンも多いわけやんか』
「まあそうやな」
『うちらが一緒に居ることで、いろんな人に迷惑かけてるんちゃうかなって。わからんけど、ファンの心理としては付き合ってるだけならまだ別れるかもしれないって望みがあるわけやん。でも、結婚となったらまたちょっと違うんかなって』
「うん」
『これでええんかなって…』
「結婚、辞めたいか?」
『辞めたないよ』
「俺も辞めたないよ。それでええんちゃう?」
『え?』
「確かに、応援してくれてる人は減ったかもしらん。傷ついてる人もたくさん居るかもしらん。でもさ、俺らも人間やん。恋愛もするねんで」
『うん』
「それに、付き合うとか結婚するとか、メンバーに言うてみんなが反対したか?」
『してへん』
「当事者が喜んで祝福してくれてんねんで。グループの今後を考えた奴も居るかもしらんけど、それでも俺らのこと祝福してくれんねん。ジャニーさんも、応援してくれてる」
『うん』
「それに、俺が嫌や。例えば、結婚して人気が落ちてグループに居られへんようになったとしても、でもそん時は、俺お前のこと食わせるためなら何でもするよ。この世界から追い出されても、名前と別れる気なんか1ミリもないで。まあ、そうならんように一生懸命頑張るけどな」
『亮…』
「もぅ、そんな顔せんでええの。今度そんなこと言われたら、お前にそんなこと言われる筋合いないんじゃ、ってちゃんと蹴散らしてこい」
『…っうん』
「アホ、そんなこと気にして今日暗かったんか」
『っ…』


亮の指が頬を伝う涙を拭うと、肩をグッと抱かれた。本当は、今日言われたことが的を得ているような気がして、自分勝手なような気がして、仕事中もそのことがずっと頭の中をめぐっていたんだ。

「ホンマにお前アホやな。俺と結婚せえへんなんて死んでも許さん」
『うん…っ』
「お前は俺と結婚すんねん。応援してくれてる人もいっぱい居るやろ」
『うん』
「アホ」


かけてくれる言葉に涙が止まらなくなって、亮の首筋に顔をうずめると、肩に置かれていた手が背中に周り、ギュっと抱きしめてくれた。何をされても、どうなってしまっても、きっと私も亮と離れることなんてできないんだ。だって愛している人だから。


「名前」
『ん?』
「籍やけど、いつにする?」
『8月8日がええかな』
「何で?」
『∞の日やん、一応。私達は、ジャニーズ事務所で出会って、関ジャニ∞で付き合った。結婚も、これからも、ずっと関ジャニ∞。私大好きやねん、このグループが。やから、8月8日」
「いいやん」


涙が止まって顔を上げると、涙の跡を拭いながらニッコリと亮が笑った。


「結婚式はどうする?」
『来年中にはしたいな』
「そうやな」
『亮は海外がいい?』
「やっぱりハワイがええかな」
『じゃあそうする』
「名前」
『ん?』
「ちゃんと幸せになろうな」
『うん』
「好きやで」
『私は愛してるよ』
「ずるいわそんなん」
『亮は?』
「俺も愛してるよ」


亮を好きな気持ちは、きっと誰にも負けません。


誰にも負けない
(エッチする?)
(昨日したやん)
(愛してる人とは何度でもしたいねんもん)


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