INFINITY | ナノ





「なんやねんこれ」



年末の特番が重なる1年の中で1番忙しいこの時期、歌番組出演前の楽屋にどっくんの声が響いた。ソファーに座ってすばると頭を寄せて音楽雑誌を読んでいた名前の前に、1冊の本が乱暴に置かれた。



『何?』
「なんやねんて」


何度も「なんやねん」とくり返すどっくんが放った雑誌の表紙には、【元KAT-TUN赤西仁 関ジャニ∞名字名前 堂々不倫肩抱きカフェデート】の文字が並んでいた。なんや、そういうことか。どっくんのイライラの火種はこれやな。


「なんやねんて」
『何よ』
「お前仁と不倫してんのか」
『は?何それ』
「見ろこれ」


今日発売されたであろう某週刊誌。長年付き合っていても、いち早く名前の情報をキャッチするどっくんの癖は、ホンマに尊敬するわ。


『この間、仁に奥さんへのプレゼント選ぶの手伝ってって言われて行ったの』
「それでなんで肩組むねん」
『亮やっていつも一緒に居るんやからわかるやん。いつも仁がやることやろ』
「そんな感じちゃうやん、肩に頭預けてるやん」
『このときはちょっとノってあげたの。肩抱かれたからちょっとだけノったけど、すぐ離れた。その後すぐ智久来たし』


俺たちはこの2人が付き合ってから何度この光景を見てるやろ。1回2回ちゃうな。2人が白熱してしまっている時は、大倉はシャットアウトするように昼寝を始めるし、丸はその場から動かず目だけキョロキョロするし、ヒナは何も気にしてへんし、ヤスは心配そうに見てる。すばるはというと、いつもならシャワー浴びに行ったり歯磨きに行ったりしてその場から去ることのが多いけど、今日は運悪くどっくんと名前の間に挟まれてしまったらしくて身動きが取れずにいる。


「じゃあなんでPが写ってないねん」
『知らんよそんなん。そういうとこだけ週刊誌が切り抜いて記事作ったんやろ』
「俺たち別れてんのか?」
『は?』


突然のどっくんの発言に、さすがの名前も今日1アホな顔になった。あんな名前の顔久しぶりに見たな。


『どういうこと?』
「書いてんねん。2人はもう終わってるのに別れたって言われへんから付き合ってるふりしてるって」
「え、そうなん?結婚するんc「お前ちょっと黙っとけ」
「ああ、ごめん」



そうやな。そこは2人のことなんやから、2人だけで話するのが1番やのに、ごめんな、ちょっと黙っといてなヤス。



『私ら別れ話なんかした?いつしたん?してへんやん。昨日やってエッチしたやろ』
「なっ」
『何を考えてそんな雑誌真に受けてんねん。小学生か。結婚するよって仁に報告したら、1回どう?って肩抱かれただけ。それに「じゃあ1回だけ…」って乗っかったけど、すぐ離れたてん。そのあとすぐに智久が来たし、何もないよ』


名前が大きなため息をついた。さらっとエッチといった名前にすばるが思わず声を上げた。あいつホンマに女なんかな。今回は名前が肩を抱かれている写真が出てしまっているけれど、元々仲よかったわけやし、あんまり信憑性のない記事だと思うのに、どっくんはそこいらのミーハーおばちゃん並みに週刊誌を信じる。ああ、テーブルに置いてあったチョコレート、名前がスナック菓子みたいにパクパク食べてる。イライラしてるわ。すばるそれ見て目見開いてるわ。…なんや、これ。


『私が言って不安なら仁と智久にも聞いてみたらええよ。何もないってわかるやろ』
「ちゃんと結婚するねんな」
『せえへんの?』
「するに決まってるやろ!なんのためにあの寒い中プロポーズしたと思ってんねん」
『あんな寒い中?嫌やったらせえへんかったらよかったんちゃう?』
「そんなこと言うてへんやろ」
『いうたで、その口が。なあ、すばる』
「言うてへんやんな?すばるくん」
「俺を挟むなや、夫婦喧嘩なら外でしろや」


よう言うた。ってかどっくんは寒空の下でプロポーズしたんやな。どこでしてんやろ。


「まあええわ。結婚準備進めてええねんな?すんねんな?」
『するよ。その為に来週亮の家に挨拶行くんやろ』
「うん…」
『結婚してからも仁とか智久と2人で出かけることはあるかも知れへんけど、亮にとって2人が親友なように、私も大事な親友やねん。男女の関係になることは神に誓ってないよ。それだけは絶対。約束』
「うん、そうやな」
『帰ったら冷し中華作ってくれる?』
「うん、ええよ」


結局、2人はお互いやっぱり好きってことでよろしいでしょうか?挟まれていたすばるも安堵のため息が漏れてます。喧嘩が終わった瞬間、大倉が伸びをしながら目を開けた。嘘や。起きてたやん絶対。ちょっとしたことですぐに喧嘩になる2人やけど、名前が上手くふどっくんを手の上で転がしているからやっていけるんやな。長いこと一緒に居るから名前もどっくんの性格ようわかってるわ。さ、仲直りもしたことやし、仕事や仕事。


仕事は喧嘩のあとで
(忠義、アンタよだれ)
(えー、拭いて)
(ホンマに寝てたんか)


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