INFINITY | ナノ


"各自、仕事が終わり次第我が家へ集合!"とグループラインを送信したのは先週のこと。甲斐くんにみんなのスケジュールを確認して、集まりやすい日を選んだ。「用事あるねん」と言われたらどうしようという不安もあったけど、みんなからは「了解」と返信があったからきっとみんな来てくれるだろう。夜になると、まずは亮が帰ってきて、章ちゃんと隆ちゃんがお惣菜をたくさん買ってきてくれて、侯くんがオードブルを頼んでおいてくれて、信ちゃんと忠義とすばるはお酒を持ってきてくれて、やっとみんなでテーブルを囲んだ。


「ちょっと大倉、それ取って」
「今日甲斐が来てくれたから飯行ってんけど、アイツの食欲相変わらず衰えへんな」
『甲斐くん人の3倍食べるねんもん』
「そういえばさ、急に集合なんてなんかあったん?」
「そうや、急にみんな集合なんて珍しいな」
「そのことなんやけど」
「どうしたん?」
「うん、みんなにご報告というか、相談というか」
「なんやねん、改まって」


亮が隣で背筋を伸ばしたのを見て、グラスを置いて同じように背中を伸ばした。


「うん、あの、名前と結婚しようと思います」
「おお、おめでとう!」
「いいやん、そろそろそんな頃ちゃうかなと思っててん」
「大丈夫なんか?」
「何が?」


すばるの拍手を打ち消すように話し始めた侯くんに、みんなの目が集まった。


「付き合ってるだけなら別れてもまだなんとかなるかも知らんけど、結婚したらそういうわけにはいかんやろ。同じグループでやってんねんから」
「大丈夫やんなぁ。そんなこと言われんでも、まあ色々あったけど4年付き合ってきてんねんから。なあ」
「そうやで。結局さ、いろんなとこでイジってきてんねんから、その先は結婚やん」
「大倉珍しいな、名前ちゃんがなんかなった時にはブーブー言うやん」
「名前が幸せやったらそれでええねん」
『忠義ありがとう』


ニッコリ笑いながらワインを飲む忠義に、胸が熱くなった。


「みんなに迷惑かけることはこの先、いっぱいあるかも知らん。でも、名前と一緒に居りたいねん。今まで以上に仕事頑張るよ。この仕事してて結婚なんて、何言うてんねんって言われるかも知らんけど、このままズルズル付き合うよりはけじめつけたいねん」
『侯くん、亮が言ったみたいに迷惑はいっぱいかけると思うねん。それはごめんなさい。でも、みんなが許してくれるなら、亮ともう1つ先に進みたいねん』
「別に反対してるわけちゃうねん。俺が心配なんはどっくんと結婚して名前が泣くんちゃうかなって」
「散々泣かされてきたからな」
「ぶん殴ったったらええねん」
「そういう時の為に俺らがいるんちゃう?」
「そうなったらちゃんと言いや?」
「まあ名前もそんな軟な女とちゃうからな」


背中を思いっきり叩きながらガハガハと信ちゃんの笑い声が部屋に響いた。


『関ジャニどうすんねんとかっていうことかと思った』
「そんなん大丈夫や。今までかてやってきてんねんから。俺らなら大丈夫や。心配なんかしてへん。前科があるやろ」
「まあ男はな」
「ちょっと待てって、なんで俺が浮気する前提やねん」
「浮気するん?浮気なんてひところも言うてないけど」
「やって…そうやってさー」
「「「「「「あはははは」」」」」」
「名前ちゃん、ちゃんと幸せにしてもらいや」
『うん』
「おめでとう」
「まあ、離婚したら俺がもらったる」
「縁起でもないこと言わんといてよ」
「名字名前やなくて錦戸名前になるんやな」
「大倉名前もいい感じやねんけどな」
「絶対あかん」
「まあ、おめでとう」
『ありがとう』
「ありがとう」
「お祝いやな今日は」
「よっしゃ、たつ、酒買うてこい!」


ソファーにふんぞり返りながらチーズを頬張る忠義に、信ちゃんが命令を下した。


「なんで俺?ってか信ちゃんあそこに自分で買ってきたやつあるやん」
「乾杯しよか」
「よし、じゃあみなさんグラスをお持ちください」
「なんでお前が仕切ってんねん」
「ええやんか別に」
「ほんならヤス」
「僕でいいんですか。じゃあグラスを持ってください、持ってますね。では、錦戸亮くんと、名字名前さんの婚約を祝して、乾杯」
「おめでとう」
「うえーい」
「幸せになってな」
「いつでも離婚して俺のとこ来てな」
「お前さっきと言ってること違うやんけ」
「おめでとう」
『ありがとう』
「ありがとう」
「社長には話したんか?」
「まだ。明日事務所行って話するつもり」
「とりあえずそこクリアせなあかんな」
「大丈夫やろ。ジャニーさんかて反対するんやったら最初から付き合ってんのも公表なんかせんと思うで」
「とりあえず、明日話したらまた報告します」
『まずは、メンバーに許可もらってからね』
「誰も反対なんかせえへんよ俺らは」
「そうやで、幸せ分けてもらってるもん」
「随分ネタにもさせてもらってるしな」
「ひとまずおめでとうやな」
「うん、ありがとう」
『みんなありがとう』


反対させたらどうしようと、ちょっとドキドキしていた自分が馬鹿らしくなるくらい、みんな笑って祝福してくれた。「めでたいな、」と言いながら焼酎をがぶ飲みしているすばる、少なくなった料理を一か所にまとめる章ちゃんに、その背中をまたバシバシ叩きながら笑う信ちゃん、ソファーを降りてプロレス技をかけあっている忠義と隆ちゃん、お酒が回ってきて「あはははは」と笑いながら亮に絡む侯くんに、それを嫌がりながらもどことなく嬉しそうな亮。私と亮だけじゃなくて、みんなが幸せになれますように。


ご報告いたします。
(どっくうん。幸せになってな)
(横山くんしつこい)
(俺嬉しいねんで、すごい嬉しいねん)
(わかったって、ありがとう)


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