「名前」
「名前、もう時間やで」
朝、仕事いかなあかんのにまだ寝てる名前。いつもは俺よりも早く起きて朝ごはん作ってくれるけど昨日遅かったせいかまだ起きひん。
『ん...』
「もう甲斐くん来るで...お前具合悪いんか?」
被っていた布団を顔が見えるように剥ぐと、白い肌がやけに赤い。
『...起きな』
「お前ちょっと待っとけ」
リビングの棚の中にある救急箱から体温計を持ち、名前のところに戻った。ベッドの中でおとなしくしてる名前は肩で息をしていて、体温なんて測らなくても辛そうなのがわかる。右腕を布団から出して服の隙間から体温計を差し込んだ。測定完了の機械音が聞こえて取り出すと、小さな小窓は38.7℃と表示される。
「お前めっちゃ熱あるやん」
『大丈夫、いける』
「アホか、甲斐くんに電話してくるからちょっと待っとけ」
ポンポンと頭を撫でて寝室をでる。テーブルの上に置いてあった携帯で甲斐くんの番号を探した。事情を説明すれば仕方ないから寝かせとけと、今日は仕事ずらせるから休みをもらえた。
「名前、休みにして貰ったから大人しく寝とけ」
『でも...』
「その身体で撮影したら倒れる」
『ん...』
「ダルいんやろ」
『ん、ちょっとね』
「こんだけ熱あればダルいわな」
『ごめんね、亮』
「謝らんでええ。ほんまは一緒に居てやりたいねんけど、甲斐くんもう来るから俺はいかなあかんから、大人しく寝てるんやで」
『うん』
「何があったらすぐ電話せえ。スーパーマンよりは遅いかもしらんけど、できるだけ早く帰ってくるから」
『ふふっ、何それ』
「...とにかく、ちゃんと寝とけよ」
『うん、ありがと亮』
ほんまは俺も休んで看病してやりたい。でも仕事穴あけるわけにもいかんし、後ろ髪ひかれながらもおでこにキスをして部屋を後にした。
撮影の合間にLINEがきていて、開いてみると名前からだった。
"スーパーマン、今日は早く帰ってきてね"
しんどいのに頑張って打ったんかななんて思いながら小さく笑う。今日は超巻きで撮って、プリンでも買ってはよ帰ろ。帰ったら、お粥作ったろ。寂しかったやろうからいっぱい抱きしめたろ。
スーパーマン
(お手を拝借、よーっ)
(お疲れっしたー)