INFINITY | ナノ




共演者の人が急遽来れなくなって泊まりで予定されてた撮影が延期になった。
スケジュールが変更されるのは大変なんやけど、今日は嬉しい延期。



『さて、どうしよ』



日付が変われば亮の誕生日という日やったから。夕方には仕事が終わったけど、亮はドラマの撮影中で夜まで帰ってこない。


『やっぱり唐揚げは必需やんな』


スーパーでカートをガラガラおしながら買い物をして、ケーキは作る時間がないとヒロちゃんが美味しいと教えてくれたケーキ屋さんで買った。

帰宅して早速調理に取り掛かる。1年に1回の誕生日だから亮の好きなものをたくさんテーブルに並べて、小洒落た飾り付けもして、大きなプレゼントも用意して、時計を見ると21時間を丁度回ったところだった。


亮には仕事がズレた事は言ってなくて、21時には終わるって言ってたけど何時に帰ってくるかわからない。ガチャッと玄関のとびらが開く音がしたのは23時を過ぎたころ。


「電気点けっぱなしやんけ...うわっ!」


リビングのドアが空いた瞬間に手に持っていたクラッカーを鳴らせば驚いた声が部屋に響いた。


『まだちょっと早いけどhappybirthday!』


「うえっ、ありがとう。えっ何で名前居るん?」


『仕事ズレたの』


「言えや、もっと早く帰って来たのに」


『サプライズ』


「凄いやん!全部これ作ったん?」


『ごはん食べて来ちゃった?』


「飯食うのめんどくさなってそのまま寝ようと思っててん」


『じゃあ食べよ?』


部屋着に着替えた亮がいただきます!と手を合わせ、うまっ!と言いながら食べる姿を見て頬が緩んだ。


『亮、present for you』


「でかっ!なにこれ?開けてもええ?」


『ええよ』


壁に立てかけてあったモノを指せば嬉しそうな顔をしながらラッピングに手を掛けた瞬間、亮の携帯が鳴った。


『出えへんの?』


「こっちのが先」


『おめでとうの電話かもしれへんよ、早よ出な』


渋々ラッピングにかけた手を引っ込めて、はい。と電話に出た。


「あっ、ありがとう。今?家...切ってもええ?...名前?居るよ。...名前ん家なんやからそら居るやろ。...うん...ホンマや。...撮影延期になったんやて。...名前がご飯用意してくれてたんで」


『誰?』


「ん?レコメン」


名前ちゃん!


電話をスピーカーにすると隆ちゃんの元気な声が聞こえた。


軽くあしらうように電話を切った亮は携帯を置くと、口元を緩めながら大きなプレゼントの前まで来てビリビリとラッピングを破いていく。ヒロちゃんに中身がわからないようにせっかく綺麗にラッピングしてもらったけど仕方ない。ビリビリ破くのもプレゼントを開ける時の醍醐味だ。


「サーフボードやん!ってか俺がカッコええ言うてたやつ!」


この間亮がかっこええって言ってたなと思い出したやつで、オフの日にサーフィン好きなTOKIOの山口くんに一緒に付き添ってもらって買いに行った。


「名前ありがとう!」


嬉しそうにサーフボードを触る亮が何だか愛おしくなって後ろから首元に抱きついた。


『今年は一緒に海行かれへんかったから、来年はこれで行こうね』


「絶対行く!一緒にオフ無くても絶対行く!」


『楽しみにしてる』


「俺も」


『亮、好き』


身体が向かい合わせになってから亮の胸に顔を埋めた。


「俺も、好きやで」


腕が背中に回されて亮の顔を見上げると唇が重なった。


「お風呂一緒に入る?」


『私もう入っちゃった』


「ええやん、もう1回入ろうや」


『...ええよ』


2人で顔を見合わせながら笑うと、気持ちが暖かくなった。




surprise
(あー、俺幸せや!)
(良かった、喜んでくれて)






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