INFINITY | ナノ


あの手紙がうちに届いてから少ししたオフの日、お腹が空いてコンビニに出向く。
帽子を被ってマスクをして、徒歩3分くらいだし、パパラッチの姿もなくて安心してた。
お弁当とビールを買って家に向かっていると


「あれ、名字名前じゃない?」

「みつけた」


という若い2人組の女の声が耳に届いた。俯き加減でその場を通り過ぎようとすると後ろから肩を掴まれて足を止められる。


「あんた名字名前でしょ?」

『何ですか?』

「錦戸亮と付き合ってんだって?」

「色目使ってジャニーズ入ったくせに調子のってるよね」

『色目?そんなの使ってへんけど』

「ってか錦戸くんに迷惑かけんなよ」

「釣り合わないしね。ってか関ジャニ辞めろ。ってかジャニーズ辞めろ。芸能界やめろ」

『何でそんなこと言われなあかんの』

「は?口答え?売るよ、週刊誌に。本当ムカつく」


暗くて見えなかったけど、あぁ、よく見るとどっかの雑誌で見たことあるモデルだ。この間亮に擦り寄ってたな片方は。そんな事を考えていると


ドスッ

『ッ...いった...』


鈍い音と共にお腹に痛みが走った。


「顔はまずいから」


ドスッ


今度は脇腹を蹴られる。


「私のがお似合いじゃない?」

「こんな奴より全然似合うよ!」

「別れなさいよ?」

「「あはははははは」」


甲高い笑い声をあげながらヒールをカツカツ言わせて去っていった。ぶん殴り返せばよかった?いや、これで正解。立ち上がろうとすると痛みが走って、地面に落ちたコンビニの袋を拾ってみるとお弁当が袋の中で散乱していた。


『あーあ...』


痛みを堪えながら帰宅しお弁当なんか食べる気にもならなくてゴミ箱へ捨てた。鏡の前でTシャツをめくってみると大きめの痣があって、お腹を出す仕事はなかったかと考える。


『ヒロちゃんにはバレるやんな...』


ため息と共に視界がボヤけた。


『...っ...泣いたらあかん』


経験のあることでも慣れるには難しいものってある。


piriririri


『はい』

(俺。仕事終わった?)

『うん、もう家。亮は?』

(帰宅中〜名前)

『んー?』

(なんかあった?)

『え?何にもないよ』

(...ならええんやけど)


声を聞いて分かっちゃう亮はやっぱり凄くて


『あ、亮浮気してへんやろね』

(してへんよ!名前の方が心配やわ)

『なんでよ、仕事終わったら直帰やで。浮気する時間なんてあらへんよ』


隠すように話を変えた。


(なぁ)

『ん?』

(好きやで)

『知ってる』

(なんやそれ)

『私も好き』

(知ってる)

『なんやそれ』

(早よ会いたいな)

『明後日会えるやん』

(待たれへん)

『...っ...』

(どした?)

『んーん...っお風呂...入ろかな』

「名前?」

『じゃあね』

「えっ、名前『おやすみ』


声を聞いたら会いたくなって、苦しくなって、溢れて止まらない涙を隠す為に電話を切った。


piririri

piririri


亮からの電話が鳴り響くけど今出たら甲斐くんの会うなって言葉なんて無視して来ちゃいそうで。


『っ...会いたいよ...亮っ...』


静かな部屋にすすり泣く音だけが響いた。


青い痛み
(神様...)
(この愛を貫いたら)
(幸せはありますか...?)


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