「名前ちゃーん!」
『んはっ!!この声は!』
事務所の廊下を歩いていると後ろから天使の声が...
「名前ちゃーん!!」
『博貴ー!んぐっ』
振り返ってみると満面の笑みで走ってくる内さんちの博貴くんで、手を広げて待ってたら抱きしめる力の強いこと強いこと。
『博貴っ、くっくるしい』
「えっ?あぁごめんごめん」
『ひろくん全然連絡くれへんのやもん、お姉ちゃん寂しかったで』
「お姉ちゃんごめんな、ちょっと忙しかってん」
『頑張ってるみたいやね。頑張って稼いで家買ってもらわんと』
「家?」
『小ちゃい頃売れて名前ちゃんに家買うたる!って言うたの忘れたん?』
「えーそんなこと言うたー?」
『この薄情もんが!』
「あははっ、覚えてるよ」
『まぁ、可愛いお嫁さん見つけて買ったり』
「それならもうおる」
『えっ!博貴彼女おったん!?』
「えー、忘れてもうた?大きくなったら博貴のお嫁さんなったってもええで言うたの〜」
『姉弟では結婚出来ひんやん』
「本物の姉弟ちゃうしー」
「その夢は叶えられへんな」
「亮ちゃん!」
『あれ?亮』
「迎えに来た」
『ええよって言うたのに』
「俺が来たかったんやからええの」
『ありがとう』
「えっ、何?このピンクオーラ...えっ」
「そうゆうこと」
後ろから亮の腕が首に回されると博貴が驚きながらも嬉しそうに笑った。
「亮ちゃんよかったやん!8年片思いしとってよかったやんか!」
『8年!?』
「お前ちょっ言うなや!」
「なんやー、名前ちゃん亮ちゃんのになってしもたんやね」
「おん、せやから嫁にすんのは無理やで」
「2人が幸せならそれでええわ!でも泣かされたらいつでも待ってるで」
「泣かせへんわ」
「内さーん!行きますよー!」
「はーい!これから打ち合わせあんねん。2人ともまたご飯行こな」
「近いうちにな」
『たまには連絡してや』
手を振りながら廊下を歩いていく博貴の背中を見ながら亮と顔を見合わせて笑った。
「よっしゃ、帰ろか。腹減ったー」
『買い物して帰らな冷蔵庫の中なんもないねん』
「じゃあどっかで食って買い物して帰ろ」
『うん』
姉弟
(何食う?)
(ヒロちゃんのお友達がお好み焼き屋さんやってんだって)
(行ってみる?)
(うん!)