short | ナノ


ずっと、待ってる。

最後に聞いた言葉。
交わした何気ない、たった少しだけ先の未来を誓った約束が、いつしか足枷となり僕を苦しめる。

永遠の別れを告げるつもりは、お互いに微塵もなかった。
離れざるを得ない状況に涙を呑んで、また二人共に寄り添う未来を夢見て、あの言葉を送りあったんだ。

なのに。


永遠を誓うはずだった二人の未来は、永遠の別れによって引き裂かれてしまった。
何が悪いわけでも、誰のせいでもない。
ただ、運命の悪戯としか呼ぶ事の出来ない出来事が起こってしまった。それだけだ。

最後に交わした言葉のせいで湧かない実感。
生活の中から突如消えた君の姿。
いつか、チャイムを鳴らして訪問して来るかもしれない。
メールが届いているかもしれない。
夜中に電話をかけてきて、いつもみたいに会いたい。と駄々をこねるかもしれない。

積もっていくそんな淡い期待たちは、時の流れと共に現実の残酷さを僕に自覚させ、現実に気付いた僕はひたすら、泣き続けた。
ぶつけようのない怒りと悲しみを神様にぶつけて喚いた。
あなたを恨みます。
何回呟いたかわからない言葉。
呟いたからって君が帰って来るわけないのはわかってたけど。


ずっと、待ってる。
それってどれくらいずっと?
十年、二十年、三十年先も君は僕を待っていてくれるのかな。


「ずっとはずっとだよ。」


そんな、声が聞こえた気がした。


「これから先、君が人生を終えるまでずっと。」


ずっと待ってるから。



ああ、君が見える。
君を感じる。
僕は早くその時が来るのを祈りながら、白昼夢を彷徨い歩く。



夢から醒めるとき
(僕は初めて眠りにつける)




20120315



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