short | ナノ




朝起きたときに、隣に見える綺麗な横顔が好きだった。
色素の薄い長い睫毛がぴくりと動く。寝息を立てる君の顔は、あどけなさが残る。

――もしも世界が終わるその時が来たら、―――


――その時が来たら、君と一緒に死にたいな。――――



笑った君のあの顔、忘れない。忘れられない。
たとえ世界中が死で埋め尽くされてしまっても、この命を投げ出してでも君には生きてもらいたいと言うのが僕の願い。

他の誰でもない。
君が、君が生きていてくれるなら、僕は幸せなんだ。
でも、君は僕の出した答えには不満を抱くだろうね。
口を尖らせて、“二人一緒じゃなきゃ意味が無い”って言うんだろ?

知ってるよ、そんな事。

だから、


「俺の、酸素で、生き延びて」


ゆっくり重ねた唇から、酸素を奪って。
僕の命で君を繋ぐ。
そしたら君は寂しくないだろ?
君の体内(なか)には、俺がいるから。


ぴくりと睫毛が震えた。
少し冷たい頬に滴が落ちる。
馬鹿な俺を、許して。


「…生きて、」


俺の命を奪ってでも、生きて。



終わりのくちづけ
(死因がキスで窒息死ならそれも悪くないや)




……ねえ、応えてよ。




20120103



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