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綺麗に鳴く鳥がいた。
自由に空を羽ばたいて、伸び伸びとする鳥。
手に入れたいと、思った。


「…歌わないの?」


苦労して苦労して、漸く僕の元にやってきた小鳥さん。
中々懐く気配はない。


「…私は、籠の中の鳥ね」
「不満?」


そう聞くと、小鳥さんは可笑しそうに笑いだした。


「自由にしているから、私は私でいれるのよ」


僕にはわからない。
空を飛んでいようが、籠の中にいようが、僕が好きな小鳥さんには変わりないのに。


「…まあ、あなたにはわからないのかもね」


ぽつりと、小鳥さんは寂しそうな顔で呟いた。

わからない。
僕には同じ事だ。
来る日も来る日も僕は小鳥さんの元へ足を運んだ。
彼女は日に日に痩せ細っていった。


「ご飯を食べてよ。」
「食べたくないの。」
「死んじゃうよ?」


そう言うと、彼女は瞬きをぱちぱちと繰り返してから笑った。
何故だかわからないけれど、とても悲しい笑い声で。


「どうしてそんな悲しい笑い声を出すの、」
「だってあなた、」


くすくすと笑いながら、彼女は続けた。


「私はもう死んでいるようなものなのに。」


僕は笑った。
彼女の言葉の意図がわからなくて。
彼女の言っていることが可笑しくて。
つられて笑った彼女は悲しそうな声で笑った。
彼女の薄く紅の差した頬にそっと触れる。


「変なの。」


君はこうして、僕の手が触れる距離にいるのに。
温もりが感じれるのに。


「…そう、君にはわからないよね。」


悲しそうに笑った彼女。
わからないよ、笑っているのに悲しい顔をする理由なんて。




飼い殺し
(あなたの愛は私の自由を奪ったの)



ああ、とうとう君は歌う事無く逝ってしまった。




20121207


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