「生徒会室の片付けしてたらこれ見つけたんだけどー」
「お!人生ゲームだな!」
「随分ほこりをかぶっているようですが…どこにあったのですか?」
「本棚の上ー」
「面白そうだな!俺やりたい!」
「おっ、いいな、それ!父ちゃんの華麗なルーレット捌きを見せてやる!」
「まだたくさん仕事が残っているのですが…」
「諦めよう、颯斗」
そういうわけで、突然始まった人生ゲーム。どうしてこれが生徒会室にあったのかは分からないけど、おもしろそうだから全員強制参加で始める。ちなみに月子は保健係の仕事があるらしく、今日は来ていない。
人生ゲームなんて何年ぶりにするんだろう…。とりあえず、各自で好きな色の車を選ぶ。会長が赤で、翼が青、颯斗が緑で、あたしは白にした。あたしはピンク色で、他の三人は青色の棒を車につける。
「名前さん、棒は左側ではなく右側につけるんですよ?」
「ああ、あたし左ハンドル設定だから大丈夫」
「なんだその無駄にイケメンな設定」
「俺からルーレット回していいか?」
「待て翼!俺が先だ!こういうのは先輩に譲るのが普通だろ」
「えー!ぬいぬいずるいのだー!」
「ルーレット回して数が大きい人からやっていこうよ」
「それがいいですね。一樹会長、翼くん、分かりましたか?」
「「はーい」」
ルーレットを回して決まった順番は、颯斗、あたし、翼、会長の順になった。順番も決まったことだし、さっそくゲームスタートといきますか!
「会長がタレントとか似合わない」
「そういうお前のスポーツ選手とかもっと似合わないぞ」
「年俸高いからいいの」
「そらそら、さっきから8か9か10しか出さないのだ…」
「ふふ、日頃の行いのおかげですね」
「見ろ、颯斗と翼がもうあんな遠くにいるぞ…」
「一緒にしないで。あたしはまだ3を出しているけど、会長はさっきから1ばっかりじゃん」
「クソッ…!」
今のところ、一位は颯斗、二位翼、三位あたし、四位会長という結果になっている。会長はルーレットに嫌われているのか知らないけど、華麗なルーレットさばきで、さっきから1しか出していない。もう何ターン目になるのか分からないのに、会長はたった今職業が決まったばかりだ。
颯斗はというと…車の上にピンクやら青やらの棒がいっぱいささっている。いつの間にそんな大家族になったんだ…。あたしなんて旦那一人しかいないのに…。颯斗には勝てないとしても、会長には勝ちたい。とりあえず、ルーレットの3地獄から早いとこ抜け出さないとね。
「1、2、3…っと、ぬはは!ゴールしたぞ!」
「おめでとうございます、翼くん」
「「………。」」
「ぬいぬいと名前遅いぞ!」
「月の土地って…え…」
「お前はまだいい方だろ、俺なんか…さっきから罰金しか取られてねぇ」
「会長のこれからの人生みたいですね」
「じゃあ名前は借金まみれだな」
「「………。」」
見事一位でゴールした颯斗は、大家族だし、豪邸に住んでるし、なんちゃらのお土産とかいっぱい持ってるし…やっぱり人生ゲームも魔王の恐ろしさに気づいたのかな…。翼はというと、安定した人生を送って二位でゴール。あたしはゴールの手前で月の土地を購入せざる得なくなった。最下位にいる会長は、ついさっきやっと結婚したばかりだし…。なにこの人生ゲーム…。
「もう、終わりにしよっか!」
「…そうだな!見ろ、雪が降ってるぞ!」
「ぬわ〜!雪合戦したいのだ!」
「みなさん、片付けてからですよ?」
「颯斗、片付けはあとだ!校庭に出て雪合戦するぞ!」
「翼、あたしのコートは?」
「ぬ?ああ、ここにあるぞ」
「行くぞ!お前ら!」
「「おー!」」
「…まったく、さっきまで落ち込んでいたと思ったら…ふふっ、元気がいいですね」
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人生ゲームって、ときどき無性にやりたくなりますよね。
12/12/06