負傷した指と個性




第1種目50m走
これに対し私は個性を使うか悩んだ上で少し個性を使い6.5秒という記録を出した。

少し消えてまた現れる。
私の2つある個性のうちの一つ、瞬間移動だ。

多分傍から見たらこの人消えて現れておかしくないか?という疑問だと思い皆に聞かれたので、個性ですと言っておいた。
なんて言う名前の個性だ!?とか色々と聞かれたけど曖昧に誤魔化しておいた。
瞬間移動なんて言ったら注目の的になるし私は注目されるのが嫌いだ。
だから曖昧に笑い誤魔化すしかなかった。

眼鏡をかけた入学当初の時に怖かった生徒は3.04秒だった。
個性はエンジンだとか。
周りが騒いでるのを聴きながら私は次の種目について考えていた。

お腹からレーザー出してる人もいたし色々な人がいた。


次は握力検査で私は特に使える個性ではないのでグッと力を込めたら右が32左が28だった。

極々平凡的な握力だと思うし中学生の頃と大差なかった。

(でもあの緑髪モサモサの子…なんだか把握テストが終わる度にガッカリしてるような気が…、大丈夫かな?)

不安に思った私は思わず声をかけていた。

「……あの、大丈夫ですか?」

「へ!?」

「もしかして上手く個性使えないんですか…?」

「へっ!?あ、あの…」

「そういう時は無理しないで体、個性に身を任せてゆっくり楽にするといいですよ」

「あ、ありがとうございます…」

私はそれだけ言って去っていった。

(突然話しかけるなんてなんて恥ずかしいことしちゃったんだろ…今になって顔真っ赤だよ……恥ずかしい)

火照る顔を隠すように私は両手で頬を挟んだ。


最終種目はボール投げで最初の50m走みたいにボールを投げる振りして個性を使い850mの記録を出した。

すげぇと周りから歓声が上がった。

「……すいません…」

私は1人謝りながら人気がいない所にぽつんと立った。
次は緑髪のモサモサの子だった。

どうやら覚悟を決めたようで緊張した強面をしながらも凛と立っていた。

そして腕に赤の模様が入り個性を発動して投げたと思った。

ならその個性は消されたようだった。
ーー担任の相澤先生に。

「46m」

「な…今確かに使おうって…」

呆然とする緑髪のモサモサの男の子の前で相澤先生と緑髪のモサモサの子は話していた。
どうやら個性の制御ができていなくまた誰かに助けてもらうのかって話してるようだ。

(それは…確かに困るけど個性消さなくても…)

そこから何か話していたけど聞こえなくて肩をぽんと叩いて相澤先生は緑髪のモサモサの子から離れていった。
どうやらもう1球投げれるようだ。

もう1度立った彼はさっきより凛として立っていて何かの覚悟を決めたようだった。

ーーーーそしてボールは飛んで行った。

彼の人差し指を犠牲にして。

それを見た私は居てもたってもられなくて緑髪のモサモサの子にズカズカと近寄っていた。

そして担任の相澤先生と爆発頭の子が何か揉めてるようだったけど私は無視して相澤先生に一言言い放った。

「私、保健委員なのでこの子を保健室まで連れていきます」

緑髪のモサモサの子の腕を掴みながら言った。

「ああ、ババア(リカバリーガール)の所まで連れて行ってやれ」

私はそれを聞くと緑髪のモサモサの子の腕を引っ張りながら保健室へと向かった。
緑髪のモサモサの子はなにか言っていたが私は無視してグイグイと腕を引っ張った。

後ろでは除籍は嘘だとかなんだかんだと話していたが私には全く関係ない。
運動場から出て角を曲がった私はすぐに個性の瞬間移動を使い保健室の中へと飛んだ。

緑髪のモサモサの子は驚いていたようだがリカバリーガールは驚いてないようで私はそこで2個性のうちのもう1つ完全治癒を使った。

緑髪のモサモサの子は人差し指がみるみるうちに治っていくのに驚いて声が出ないようだ。
完全に治癒できた頃私はハッとして慌てて腕を離し距離を取った。


「ご、ごごごすすすすす…すいません!!!」

「え!?あ、いやお礼と謝罪を言うのはこちらで…!」

「嫌でも私貴方の腕を勝手に引っ張って…」

「え、でもそれで治して貰ったし寧ろお礼を言いたいぐらいだし…」

ああだこうだ言う私達を見てかリカバリーガールが助け舟を出してくれた。


「まぁまぁ2人共お茶でも飲んで落ち着きなさんな。ほれ、そこに座った座った」

と言いながら椅子を2つ出してくれお茶の準備をしだした。
私達は素直にその言葉に従いゆっくりと腰掛けた。