「え?」


ふと臨也君に問われた。



私は臨也君が大好きで、大好きで、ずっと傍にいる。彼女って訳じゃない。そりゃあなりたいけど、臨也君はダメって言う。

なれないなら傍にいるだけは許してくれるかと問いかけたら「どーぞ?ご勝手に」と適当に返された。

それから傍にいるけど、臨也君は私を煙たがるような事はしない。話しかければ答えてくれるし、いつも離れないのに用事があって傍にいないときも理由を聞いたりしない。つまりは私に対して無関心なのだとわかっていた。

それでも好きだから、そばにいたいから、と私が彼の傍を離れる事は無い。



そんなある日の今日、臨也君に問いかけられた。

自分の大切な人が死んで、その後チャンスが与えられたらなまえはどうする?と。



「もし、なまえの大切な人‥父親、母親、兄弟、姉妹、友達‥誰でもいい。きっとなまえには大切な人がいるだろうから、その中で誰か1人死んじゃったとするよね。」


人差し指を立てて、提案するかのように私の方を向いた。いつも通りの笑顔のまま臨也君は続ける。



「神様が悲しんでいるなまえを見かねて『1週間だけあなたの大切な人を生き返らせてあげますよ』って言ってきてくれたらどうする?」


生き返らせてください、ってお願いする?



臨也くんは酷く面白そうに口端をあげて問いかけた。

哲学的なことをよく口にする臨也君の話は大体難しくて理解できない事が多い。

珍しく今回のは問いかけの内容としては至極単純だった。でも、答えを出すのは難しい。

一瞬だけ迷ったけど、私はすぐ答えを出して口を開いた。



「お願いしないよ。」

「・・・へぇ。」


どうして?とさらに嬉しそうに聞き返す。

普段から私が近づいても決して近づいてきてくれない臨也君が近づいてきてくれた。



「だって、例えば今私が大好きなのは臨也君だから、臨也君が死んじゃったとするでしょう?」

「・・・・死ぬってことを議題にあんまり俺で例えてほしくないんだけどね・・。」


苦笑しながら続けて、と私の説明をうながす。



「神様が私を気遣って臨也君を1週間生き返らせてくれるとしても、私はありがとうってお礼だけ言って終わらせるの。だって・・、」

「だって?」

「1週間なんて、短すぎる。仮に1週間片時も離れないで一緒にいたとしても、1週間なんてすぐに過ぎちゃう。それで、すぐ私の前から消えちゃうんだ。」


そんなの悲しすぎるでしょう?と聞けば臨也君は何も言わなかった。


1週間じゃなくて・・例えば一緒に老衰できるくらいまで生きていてくれるなら私は迷わず神様にお願いする。けど、たった1週間なんて、1度臨也君を失った悲しみをまた味わうだけ。

もしかしたら最初に失った時より辛いかもしれないでしょう。



「生き返らせるのもエゴだけど、私は私がこれ以上辛くならないようにきっともう会わない。生き返らせてもらわない。それも、エゴだよね。」


臨也君はそう言われて悲しい?臨也君が好きだけど、自分が傷つきたくないからって拒む私が憎らしい?

そう問えば臨也君はとっても満足そうに笑んでいた。



「いーや、一番不快じゃない答えかもしれないね。」


エゴで生き返らせず、エゴで自分を守る。

嫌いじゃないよ、その答え。と微笑まれた瞬間、涙が零れた。

臨也君はそれを見て一瞬だけビックリした顔をしたけど、またいつもの皮肉っぽい笑顔に戻った。



「何で泣くの?」

「い、臨也君が死んじゃったら・・って思ったら、か、悲しくなった・・!」


そんな私の答えに、ナニソレと笑いながら臨也君は私の涙をコートの袖で拭う為に初めて私に触れてくれた。



例えば、なんて
(嫌いな答えじゃなかったからもう少し優しくしてあげてもいいかな)
(ほ、ほんとう!?じゃあ手を繋いでい・・!)
(それはイヤ)


***
初臨也。これが臨也で合っているのかわからない。

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