リンの首には、白い包帯が巻かれている。先日、ミヨさんに首を絞められた痕がまだくっきりと残っているからだ。痕は見えずとも、包帯を見るだけで痛々しい。あのとき、もう少し早くリンを助けていればと後悔している。それでも、リンは充分だと言って笑うんだ。


「マツバくん綺麗だね」

「そうだね」

僕たちはスズネの小道を歩いていた。赤や黄の紅葉が降り注ぐ。リンの頭に乗っかった紅葉を払ってやる。暫く紅葉を見ながら歩いていると冷たい風が吹いた。


「…くしゅっ」

「寒い?ならもう帰ろうか、陽も落ちてきたし」

「うん、そうだね。風邪引いたら大変だもんね」

首に巻いていたマフラーをリンに巻きつける。そのままリンの手を引いて歩きだす。「え、ちょっとマツバくん、マフラー!というか手…」なんて言葉は無視だ。
ふと、視線を感じて後ろを振り向いた。すると男が立っていた。彼は僕に向かって言った、僕はそれに答えずにまたリンの手を引いて歩きだした







(彼女を、大切にするんだよ)


当然じゃないか。リンを守るのも、幸せにするのは僕なのだから。


もうすぐ、秋が終わる。