「あ、ナツキくん」

「…ひひひ久し振りだなミフユ、かかかかん」

「いや、観覧車には乗らないからね」

「!そうか、それは残念だ!ミフユが私が苦手を見事克服する勇姿を見れなくて、本当に残念だ!」

あははは!と笑うナツキくん、すごく安心した顔で言われてもなぁ…。なんかナチュラルに名前呼び捨てにされた。ま、いいけどね。


「そんなに乗りたければ、乗る?私はいいけど?」

「な!?べ、別にいいだろう!エリートトレーナーである私が」

うんたらかんたら、話は続く。が、若干顔色が悪い。別に高所恐怖症治さなくてもいいんじゃない?…プライドの問題、かな


「ふふ、じゃ、私と乗る?」
「……!」

ん?青かった顔が赤く…?カミツレの脈あり発言が頭の中を横切った…いや、違うでしょ。ナツキくんは女性に耐性がない、とかでしょ。

「ミフユがどうしても!と言うなら仕方ないな!」

「言ってない言ってない」

若干顔が赤いナツキくんと再び、観覧車に乗ることになった。




「ナツキくん…」
「……………」

無言を貫くナツキくん。顔は下を向いている…やっぱり乗せない方がよかった…いくら高所恐怖症の克服だからって…居心地が悪すぎる、空気が重い。と、突然ナツキくんが口を開いた。

「あれから、」

「うん?」

「彼氏には…会ったのか、」

「……ううん、会ってない」

結局私は会えずにいた。メールとかは普通にしてるんだけど、あれから会っていない。あいたく、ない。

「…さっさと…」

「…え?なに」

「な、なんでもない!」

…?なにか言い掛けたようだけど…聞き取れなかった。ま、いっか。







(さっさと…別れてしまえばいいのに。そうしたら、)