朝起きると、二日酔いも無くすっきり目が覚めた。…気持ちはすっきりしてないけど。カーテンを開けると、空が憎いほど青かった、なんかむかつく。私はこんなにイライラしてるのに、なんで空はこんなに青いかな…。なんか、空に向かって馬鹿野郎って叫びたい。そうだ、観覧車に乗ろう。天辺で空に向かって馬鹿野郎って叫んでやろう。そう思ったら即有言実行、私は素早く着替えて外へでた。やっぱり憎いほど空は青かった。






「え、乗れない?」

「申し訳ありません。お客様一人では…この観覧車は二人以上で乗ることができるのですが…」

うわ…リア充専用ですか。たぶん誘えばカミツレが一緒に乗ってくれるだろうけど、カミツレはこの街のジムリーダー、きっと忙しいだろう。こんな馬鹿馬鹿しい行動に付き合わせるのも…馬鹿馬鹿しい行動だということは自覚してる、でも叫びたいのだ私は。
誰か、暇そうな人は…あ、

「連れ、います。この人」
「…は?」

「お連れ様がいらっしゃるのでしたらどうぞ」
「え?」

「ごめんなさい、1周だけでいいんです、付き合ってください。お願いします」
「な、ちょ」

観覧車近くにいた男の人を捕まえる。巻き込んでごめんなさい、でもここまで来たらそう簡単に引き下がりたくない。意地でも叫びたい。すごく何か言いたげな(と言うか止めろー!と叫んでいる)彼を引きずり込んで私たちは観覧車へ乗った。ぱたん、と観覧車の戸が閉まった。何故か絶望的な顔の彼、とりあえず私は座った。天辺までは叫ぶつもりはない。


「……」
「………っ」
「あ、あの…」
「な、なんだ…!?」

観覧車に乗って3分、カップラーメンが出来上がった頃、無理やり観覧車に乗せた彼…めちゃくちゃ震えてる。まさか、とは思うけど

「高所恐怖症だったり…」
「な!べべべ別に私はたたた高いところなんて、こここここ怖くない、ぞ!」

…図星だった様子。これは悪いことをした。まさか彼が高所恐怖症だったなんて

「ごめんなさ」
「ちょ、揺らすなぁ!落ちるでしょーが!!」
「いや、落ちな」
「高い高い高いアハハハ揺れる揺れる落ちる落ちる!!!」
「………」
「フハハハハ落ち」
「五月蠅い」

ゴッと頭を殴った。落ちる、とか言わないでもらいたい。本当に落ちたらどうするのよ。
いっそ思いっきり揺らして気絶させてやろうかと思った。静かになりそうだし。